誰かが歩いているの
暗くて雨が降る中を
たった一人で歩いているの

道は延々進んでいて
その道の曲がり角に出たの
そしたらね
いきなり人が現れて
ぶつかってしまったの
慌てて謝罪をする少女
(歩いていた誰かは少女だったみたい)
それに答える優しい表情をしたおばあさん

おばあさんはね
傘をさしていなくて
少女は傘を差し出すの
それと温かくて大きな毛布も
少女は持っていて
二人でそれに包まって少しお話をするの

お『あら、ありがとう。』
少『^^』
お『私はね、今日でちょうど
1000年生きたことになるのよ。
貴女みたいな人に会えるなら
もっと早く戻ってくればよかったわ。』
少『おばあさんは1000年も
生き続けているのですか?
どうして?
こんなに暗くて寒くて怖い世界にいるの?』
お『そうね…。
自分でも、よくわからないの。
でも、誰かをずっと待っていた気がするのよ。
この延々と続く道を歩み続けることで
その誰かに会える気がして…。』
少『…』
お『ふふ。
温かい毛布とお気持ち、ありがとう。
そろそろ行きましょうかね。』
少『はい』

おばあさんと少女はそこでお別れをするの。
おばあさんは初めて見た時より
もっと穏やかで満ち足りた
優しい表情をしていて
私は恐怖心とか不安とか無くなっていたの
人の温かみに触れた気がして
私の心も温かくなって…


……雨はまだ止まない
ずっと暗いまま
だけどもう怖くないよ
前を向いて歩いていける気がするよ
…おばあさん


--------------♪----------------

…パチ
少女はゆっくりと目を開ける
((朝だ、夢を見ていたのね))
いつも通りに支度を始める
キッチンに下りて行く
お母さんが作ってくれた朝食を食べるために

そこには既に妹がいて食べていた
妹『おはよー♪』
少『おはよう^^』
朝ご飯を食べ始める、私
すると、その時
…ップルルル、プルルル~
電話が鳴り始めた
私が立ち上がり出ようとしたら
お母さんが
『私が出るから早く食べちゃいなさい』
と言った。
私はそれに素直に従った。


数分後、
電話を置いたお母さんと妹が
キッチンに戻って来た
二人とも悲しそうに泣いていた
私は状況がわからずに二人に聞いた
『どうしたの?』

お母さんが答える。
『おばあちゃんがね、御亡くなりになられたそうよ。』


私は目を見開く
夢で会ったあのおばあさん…
……おばあちゃん?
ずっと、私を待ってたって言ってた
あの夢の世界は冷たく暗い
でも
おばあさんは日だまりのような温かさだった
今にも消えて無くなりそうなくらい
はかない優しさを持って…

私は思わず叫んでいた
『夢でおばあちゃんに会ったの!!
一緒に話したの!
おばあちゃん、1000年生き続けてるって言ってた!
だからこれからも生き続けるよ、
死んだなんてそんなの嘘だよ、
だって昨日、夢の中で会ったんだから!!』


夢の始まりは暗くて雨の降る世界
現実はつらいよ、おばあちゃん

ねぇ、おばあちゃん?
私に何を伝えたかったの?
お別れを言いに来てくれたの?
あの時はわからなかったよ
ただ、ただ
おばあちゃんの優しさにすがっていられて
とても、安心だったから

あぁ、おばあちゃん
前に進めというの?
辛くて暗い世界でも
その先に待っている誰かの優しさを
探せというの?
歩み続けろと…?


今はまだ不確かな答えだよ

がんばるね、おばあさん
ありがとう、おばあちゃん