【花の祝宴】は我らが藍屋先生wの花エンド後です。(※しつこいようですが、ケロは土方さん推しですwww)


今回は珍しく幸せ満開な話www



…ですが( ̄∀ ̄)



いや、まぁ…とりあえずどうぞ。


一気に書き殴りしたものをそのままUP!(^o^)/

勢いって大事!←言い訳www







【花の祝宴】



 明治三年、三月のおわり。

静岡が桜の花でみたされたころ、私は正式に秋斉さんの妻となった。


 慶喜さんは立派な祝言を。と言ってくれたけれど、秋斉さんは首をよこにふって、私はただそのすこし後ろでだまっているだけだった。


 それでも秋斉さんが私に用意してくれたのは触れなくても一目で上質のものとわかる純白の白無垢だった。


「やっと。…だな」


 よかったじゃん。と、ほんのすこしだけかわった祝言をわたしたちに提案してくれた翔太君は笑顔をみせた。

新政府軍で活動している翔太君は時折、おしのびで静岡の慶喜さんの屋敷にやってくる。



 年が明けてまだまもないころ。

無事に慶喜さんの謹慎が正式にとかれ翔太君が、お祝いってわけじゃないスけど。と、まだこの時代には珍しい赤ワインを持ってあらわれた。


『たしか…バージンロードが夢だったっけ?あと…フラワーシャワーだったっけ?』


 そろそろ祝言を。と、慶喜さんが言ったのをうけて、翔太君が私に顔をむけた。


『そうだけど…。そんなの無理にきまってるじゃない』


 私と翔太君のかわす会話のなかにおりこまれている、聞き慣れない言葉にはすっかり慣れていた秋斉さんと慶喜さんも、この翔太君の言葉にはさすがに顔をしかめていた。

そんなあっけにとられている二人を尻目に、通学路にあったちいさいけれどとてもオシャレなチャペルと、そこでほんのときどきおこなわれていた結婚式をこっそりながめていたのを私は思いだした。


 私もいつか、あんなふうに結婚式をあげたいなぁ。

なんてつぶやくランドセルを背負ってチャペルの黒い柵にしがみついていた私に、おなじくランドセルを背負っていた翔太君はふぅん。と、興味なさそうに道端にしゃがみこんで行列をつくるアリをながめていた。



『ねぇねぇ、なぁに?それ』


 覚えてたの?とか、あんだけ何回もしつこく言えば覚えてんに決まってんじゃん。とか会話をしていたわたしたちに慶喜さんが割ってはいった。


『それとさ…あんまり二人で盛り上がってると、○○の"旦那"が嫉妬にくるって結城君を刺しちゃうかもよ?』


 え?とあせった顔をした翔太君は秋斉さんに目をむけ、私は苦笑いをうかべた。

秋斉さんはいつもの穏やかな表情をしていて、私はほっと胸をなでおろしたけれど、

『かましまへん。…○○はんにはあとでよう言って聞かせますさかい』

と、こわいくらいの笑顔を秋斉さんはうかべて、ははは…。と翔太君は顔をひきつらせて笑い、次は私があせる番となった。




「あのあとさ…オレと慶喜さんがもどったあと、どうなったの?」


 うすい障子越しに翔太君のからかう声がして、鏡で姿を確認していた私は眉根をよせた。


「…言いたくありません」


 ま、だいたいの想像はつくけどさ。翔太君の声に私は目をつりあげて、襖をあける。


「翔太君、おこるよ?」


 一瞬、目を見ひらいてから、翔太君はまるで自分のことのようにうれしそうに笑顔をうかべた。


「キレイじゃん。…花嫁が怒ったら台無しだって」





 慶喜さんのお屋敷に仕えているほんのすこしの人々に見守られながら満開の桜の木のある庭に面した、戸を開け放した廊下を翔太君に手をひかれて私は少しずつ歩いていた。

私と翔太君の歩く先には、襖をおなじく開け放している広間があって正面には慶喜さんの姿があり、その入り口には紋袴を着た秋斉さんがこちらに背をむけて座っている。



『ばぁじんろぉど?』


 慶喜さんは首をかしげ、翔太君はていねいに説明をしたあと、からかいの言葉を私にむけた。


『ま、○○はとっくにバージンではないだろうけど』


 翔太君っ!と、私は怒ったけれど、その意味がわからない慶喜さんはさらに首をかしげるだけだった。


『へぇ。とっくに…どすな』


 さらに説明をおえた翔太君ににっこりと笑みをうかべて見せた秋斉さんに、その場にいられなくなった私は、失礼しますっ!と、くすっとうかんだであろう秋斉さんの笑みを背中に感じながらその場をはなれた。





 真っ白なウェディングドレスでたくさんの人に見守られながら、お父さんと腕を組んで歩くバージンロード。

そんなこどものころに憧れていたものとはぜんぜん違うけれど、翔太君に手をひかれて歩く廊下は私にとっては立派なバージンロードだった。


「翔太君…ありがと」


 泣きそうになりながら私がつぶやくと翔太君は、泣くのまだはやいぞ?と、笑顔をみせた。


 廊下のおわり。

秋斉さんの背中のある広間の入り口に私と翔太君があらわれると、慶喜さんは満面の笑みをうかべた。


「きれいだ。○○」


 ちいさなため息が聞こえて、秋斉さんがすっと立ち上がりこちらをふりかえった。


「慶喜はん、それはわてのセリフどす」


 そっと翔太君の手がはなれて、私の手はあきれた声をだした秋斉さんの手にうつった。


「○○、いままでで一番きれいだ」


 耳元でささやかれた抑揚のない言葉が私の頬をうっすらとあからめさせる。

ありがとうございます。と私がはにかみながら言うと秋斉さんもとてもうれしそうな表情をしてくれた。



 はなれた翔太君の手が広間の襖をしめ、私と秋斉さんは慶喜さんの仲介のもとで夫婦の杯をかわした。


「やれやれ。やっと"行き遅れ"の兄が片付いたよ」


 秋斉を頼むね、○○。慶喜さんは言って、私は微笑みをうかべてうなずいた。


「…行き遅れたんわ誰のせいや」


 言葉とは裏腹に、ひどく照れたような秋斉さんの言葉に私は胸の中が幸せで満たされていくのを感じていた。


 なかば強引に秋斉さんについてきてしまったことに私は時々、これで本当によかったのかと考えることがあった。

私がいなかったら秋斉さんはもっと楽に生きられたんじゃないか。

そう思うこともあったけれど、そのたびに秋斉さんは私の考えを見透かすように、○○がそばにいてよかった。と言ってくれる。


 これからは正式な夫婦として、私は秋斉さんの妻としてそばにいられる。

そう思うと、幸せに満ちた私の目に涙がうかんだ。


「慶喜さん、もういいですよー!」


 外から翔太君の声がして、私と秋斉さんは顔をみあわせる。

そんなおどろくわたしたちを置いて、慶喜さんは立ちあがり襖をあけた。


「秋斉、○○、こっちこっち」


 慶喜さんに言われるまま、秋斉さんに手をひかれ立ち上がるとそこにはかわらない満開の桜の木がある庭の光景があるだけだった。

すこしまえに翔太君と歩いた廊下も見えるけれど何もかわらない。

ただ、私と翔太君を見守っていた女中さんたちと慶喜さんを呼んだ翔太君がいない。


「慶喜はん…?なんや?」


 秋斉さんが私の手をひき廊下にでたとたんに、翔太君の満面の笑みがみえて、

「○○、おめでとう」

と、なにかをにぎりしめている手を開きながらふりあげた。


 ふわりと翔太君の手からたくさんの桜の花びらが舞って、あちこちからおめでとうございますと声が聞こえて私と秋斉さんはたくさんの桜の花びらにつつまれた。


「○○、フラワーシャワーだよ」


 翔太君は笑って言って、私はもう涙をこらえることができなかった。

ボロボロとこぼれる涙がせっかくのお化粧をおとしてしまうとわかってはいたけれど無理だった。

私と秋斉さんにむけられたたくさんの祝福の笑顔と、桜の花びらたちと、涙をこぼす私をそっと抱き寄せてくれるやさしい秋斉さんの腕。


「○○、夢…かなった?」


 慶喜さんが笑顔をむけて、俺も○○をお嫁さんにしたかったんだけどなー。と、秋斉さんの顔にたくさんの桜の花びらをぶつけようとした。

とっさに空いた腕で秋斉さんはそれをかわして、

「○○はわての嫁や」

と、私を抱き寄せる腕に力をこめて、慶喜さんはちぇっと舌打ちをして、翔太君はおかしそうに笑った。



「あとは…誓いの口づけやった…?」


 耳元で秋斉さんの声がして、私はかぶりをふる。


「はずかしいから…いいです」


 あかん。秋斉さんの声がして、私はその顔をみあげた。



くだらないことをだらだらと…-IMAG0052.jpg

illustrated byたまごかけごはん


「幸せなんを…ちゃんと見せつけてやらなあきまへん」


 ふわりと桜の花びらが舞って、それがわたしたちをまたつつみこんだ。

そのなかでちかづく秋斉さんの気配に私はそっと目をとじて、唇にやわらかな熱が触れたのを感じた。





【おしまい】



















【花の狂艶】(※公開日未定←まだ書いてない)につづく…





…姉さん、僕は禁忌を犯しますっ!←