その時は案外早く

突然にやってきた…


1月19日朝

いつものように起きて

「おはよう」と母に声をかける

見ると

母は『てんかん発作』を起こしていた!ガーン

完全な寝たきり状態になって家に連れて帰ってから、1度も起きていなかった てんかん発作!

すぐ姉にTELするが出ない

「お母さん!お母さん!」と声をかけながら、呼吸ができるようにしてあげなければならない!

横に向ける…いまいち!

吸引器を出して鼻から、喉にあるかもしれない痰を吸引…何度か繰り返して

なんとか落ち着くが、呼吸がしんどそう

すぐ訪問診療の先生に電話する

 点滴の用意して行きます と

1時間ほどして先生診療

念のためコロナとインフルエンザの検査もされるキョロキョロどちらも陰性

採血して、また後で結果報告するとのこと

肺炎おこしていると思われる

酸素濃度が低い

身体の状態が悪い時にてんかん発作は起こるとのこと 

 抗生剤注射と生理食塩水を点滴

酸素吸入の手配もすぐにして頂いて、何とか落ち着きひと安心

 夕方には訪問看護の看護師さんが入って、酸素濃度が上がっているのも確認してもらった

 土日も訪問看護が緊急時対応して下さるとのこと。先生も日曜に診療して下さるとのこと照れひと安心

 夜いつものように

「お母さんオムツ替えて寝ようか」と普段通りオムツ替え…点滴の針が刺さってるから気をつける

 …と母は新しいものに替えている最中に排尿(時々あることだが)

 あれま~みんな おじゃんだよ

 しかも、寝巻の上の裾まで濡れた

「お母さん替えてる時にするのは

ひどいと思うわ~もったいないし

寝巻も着替えな~」

なんて言いながら…点滴の管を引っ掛けないように、私にしては手際よく上手く着替えさせられたかなぁ…なんて思っていると

 ふと点滴の液が落ちていない

 母の顔を見ると

 静かに静かに てんかん発作が

 起こっていた!やばい!

「お母さん!お母さん!」と声をかけながら、また吸引器の用意をする

 間に合わないかもしれない!

 姉にTELする…今度はすぐ出た!

「お母さんやばい!」そしてすかさず先生にもTEL

「すぐ行きます!」

「気道確保して!吸引して!」

吸引するも…痰はそれほど吸えなくて…母の唇の色がどんどんなくなっていく


…アカン間に合わへん!

なすすべがなくて…


姉が到着

「お母さん!お母さん!

行ったらアカン!」

と泣きながら揺さぶる


     すっ


と母は最期の息を吸って

逝ってしまいました


あ~

お父さん

今じゃないって

言ったのに…


聞くわけないか、父が

私の言うことなんかな…


泣いている姉の横で私は

着替えが母の身体には大きな負担だったんだな…とか

てんかん発作に早く気づいていれば…とか

どうしようもないことばかり考えていた


先生到着

残念そうに…そうですか

死亡診断をされ

経鼻経管も外して


先生はクリニックを開設され同時に訪問診療を始められてから、

1番長生きだった母に

  「勉強になりました」

  「ありがとうございました」

と告げ一礼して帰っていかれた


鼻チューブの無くなった

母の顔は とても穏やかで

     きれいでした


お母さんお疲れさま

お母さん充分頑張ったよね

鼻チューブなんかして

無理矢理栄養入れてね

ごめんね

ありがとうね


母はやっと

痛みや苦しみ

介護されるつらさ

色んなことから

解放されたんや


母はきっと

みんなのことを優先して

考えてくれる人だったから

 なにをぐずぐずしてるんや

 はよ せんか

なんてせかす父に

抵抗してたんだろうな

そんな目だったし

そんなうなり声だった

母は拒否感が強くなると

てんかん発作を起こしていたから…

 今逝ったら、みんなが

 迷惑するから

って父と話し合ってたんだ

自分ファーストの父が

聞くわけないよ

それに天国行きの車は

そんなに何度も来てくれないんだ

もう何回もやり過ごしたし

これを逃したら

今度はいつになるかわからない

仕方なかったんだ

父も必死だったんだろう

母が家に戻った時には

父は高血糖で緊急入院…

脳血管性認知症も発症して

老健から老人ホーム

父はずっと家族と離れて

ひとりで頑張った

寂しかったんだと思う

旅立ちに母の支えが

必要だったんだ



また他ならぬ

姉とふたり

母を看取った


母のいなくなった介護ベッド
支えてくれた
抱き枕の“ぶたこさん”
 ひとり寂しく…

4日後にはレンタル介護ベッドも
引き上げられ…
 すべてがまぼろしだったよう


あの日

ちらほら咲き始めていた梅の花

今は満開

 お母さん見てる?


昨日は

母の誕生日だった