和泉川には、かつて「逆川（さかさがわ）」と呼ばれる支流があった。

一般用語の「逆川（さかがわ、さかさがわ、さかさまがわ等）」とは、
（ア）潮位の上昇や河川の合流により、逆流することがある河川
（イ）地形等の影響で、周辺の他の河川とは逆の向きに流れる河川　などである。

武蔵野台地は、東南に傾斜しているので、河川は、西→東が通常の流れとなる。

しかし、和泉川支流の「逆川」は、東→西に流れる（上記（イ）類型）。

（明治42年測量地図）

・赤線が「逆川」

・水色線　一番上：和泉川、二番目：玉川上水新水路、三番目：玉川上水旧水路

・逆川は、笹塚駅の南で「旧水路」から分水し北上、甲州街道を西進し、萩久保手前

　で北進、新水路を越えて和泉川源流下で合流している。

（現在の地図）

・現在は逆川の痕跡はほぼないが、川の跡を探してみた

甲州街道を渡った玉川上水（旧水路）

・住民運動により開渠のまま残った旧水路部分。

世田谷代田駅ホームの下を潜っていく

ゆずりは橋から、上流方向を振り返る

稲荷橋（ここから開渠化）

・手前の左岸に鎮座する稲荷神社に由来する橋の名前

看板「たこの吸出し」

・大正12年創業の町田製薬。主力製品の「たこの吸出し」はおできの薬。

・なお、令和6年末をもって全製品の製造終了、令和8年末をもって営業終了。

逆川の痕跡（和泉川に向かう分水路跡・第2号橋の手前）

・かつて、左のマンション敷地に弁天様が祀られていた（明治42年測量図にそれら

　しき神社マークがあるのだが、特定はできない）。面白い経緯は後日アップ予定。

旧水路は消えているので、迂回していく。当時の地図と重ね合わせると、甲州街道の笹塚郵便局あたりまで北進し、そのあと、西進していくように見られる

笹塚庚申堂（渋谷区笹塚２丁目２０−１）

・1700年に地元民により建てられた庚申堂。分水路と甲州街道の交差点近く。

甲州街道を代田橋方面（西）に向かうが、逆川の痕跡は皆無。

暗渠を発見

・旧地図で推定していた場所。業務スーパーを越えて、賃貸マンション２軒の間

こんな道に出る。後でわかったのだが、この手前を右折した民家の間に旧水路跡らしきものがある。上り坂は水道道路（玉川上水新水路廃止後に道路利用）。かつてはこの下側を通過していたと考えるほかなし。

水道道路を渡って、和泉川の源流域に出たところ

この階段下あたりで合流していたかな、と思う。

前回も出てきた「十三号路の橋跡」

なぜ逆川になったのか

・甲州街道につき、代田橋駅付近から幡ヶ谷駅付近までの累積距離と標高を示した

・概ね50mくらいで実際は進むについて標高を下げていくのだが、最高点が笹塚郵便

　局前、低地は１つが業務スーパーの先の暗渠で、もう一つが笹塚交差点。なお甲州

　街道はかなり改良されているため当時の標高よりかさ上げされているかも。

・玉川上水からの分水は、標高51mから48mまで東から西に流れる（逆川）。さらに

　和泉川源流域の43mまで流れ落ちる。

・なお、旧水路は笹塚付近で甲州街道から南に大きく迂回している理由は、この図か

　らも判明する。低地２か所は、和泉川の支流の谷が入り込んでいるため。特に笹塚

　交差点付近は、「牛窪」と呼ばれ、現在でも窪地地形がわかるほどである。

（和泉川を歩く③）逆川の遺構