【前回のあらすじ】

久々の新訳版発売にハイになり、

ろくに内容もキャラクターも紹介しないまま終わってしまう。

しかも翌週にはいきなり「ベルサイユのばら」の感想を

書くという適当ぶり。

 

無計画にもほどがある。

 

 

 

今週は心を入れ替えて、もう少し丁寧に書きたいものよ。(あくまで願望)

んで、翻訳家の方のことすら書いてませんでした~。

 

西永良成さんです。この方のご尽力があったからこそ、

私たちはこうして新訳バージョンが読めるのです。

 

この調子で全5巻よろしく~。

ははは~軽いぜ。

 

え~、まずはキャラ紹介からいきましょうか。

ふつうはもっと早くするもんだと思うが。

 

主人公エドモン・ダンテスくんは若く、将来有望な船乗りでした。

恋人メルセデスとの結婚も間近に迫り、まさに幸福の絶頂。

 

ところが突如、嘘の密告により逮捕され、孤島の牢獄に送られしまう…。

 

このエドモンを陥れる悪者たちをここで一挙紹介。

 

ダングラール エドモンの同僚。先に出世したエドモンに嫉妬

フェルナン  エドモンの恋人メルセデスに片思い。エドモンに嫉妬

カドッルス  エドモンの隣人。上記二人の悪だくみを知っていたが、

       恐くてなにも言えず。

ヴィルフォール 検事代理。エドモンが無実だと知っていたが、

        保身のために投獄する。

 

いやあ、こうして並べてみると、みんな悪いやっちゃ!

 

そして、きっかけは嫉妬とか、小心とか、自己保身とか、

いつの世も変わらない人間の欲望が見える。

 

これがしっかり描けているからこそ、

この物語は今でも色あせることなく、世界中で読み継がれているのだろう。

 

そして、この物語は一種の転生ものでもあるのですね。

つまり「転生したら伯爵だった件」てなわけだ。

 

もちろんいきなり転生はしない。

トラックにはねられるわけでもない。

 

まずは牢獄に送られ、そこで長い間かなり理不尽な苦しみを受けることになる。

転生は一日にして成らず。

(すみません、私ほんとは転生ものに詳しくないので

適当なこと言ってます)

 

この、エドモンの独房での苦しみシーンはけっこう長い

…ような気がする。

 

が、改めて読み返したらそうでもなかった。

でも、長いと思うよね~。

幸福の絶頂から、身に覚えのないことでいきなり地獄に突き落とされたんだから。

 

エドモンは、せめて自分の罪状を知りたい、あるいは話相手が欲しい、

と望んでも却下され、

神に祈っても何もどうにもならない。

 

この苦しいシーンがあってこそ、

のちにカッコよく伯爵として転生し、復讐していく展開に

説得力が生まれるのだ。

 

やがてエドモンは孤独と苦しみに耐えかね、

ついに絶食による自殺を決意します。

このあたりの描写もなかなかリアルで恐い

 

「目を閉じると、夜の沼地を駆けまわる鬼火にも似た、

きらきら輝く微光の群れが見えた。それは死と呼ばれる

未知の国の黄昏だった」(P240)

 

もう、死がエドモンのすぐそばまで迫っている。

…が! ここで大きな転機が訪れます。

 

「突然鈍い物音が聞こえた。」(P240)

 

この物音がエドモンにとって救いとなります。

実はとなりの独房の囚人が、コツコツと壁を掘り崩していたのです。

 

それに気づいたエドモンは、生きる気力を取り戻し、

自らも壁を掘り始める。

 

さっきまでの死を覚悟した絶望感からの、突然の巻き返し。

 

いやあ、うまいわあ。

 

この大胆なアップダウンが本作の最大の魅力で、

これから先もこの基本パターンが

手を変え品を変え繰り返されていく。

 

そりゃ面白いに決まってますがな。

 

長くなりそうなので続きはまた次回に。

(でもまたベルばらの感想書くかも。

もう1回観劇予定あるし、ライブ配信も見る予定だし)

 

で、おまけ

絶望から生きる気力を取り戻したエドモンは、

絶食を止め、食事を再開します。

しかし、いきなりがっついたりはしない。

 

「彼は勇気をもってそこまでにした。(食事を少しにしたという意味)

(略)不幸な男たちが、飢えに疲れはて、(略)がつがつ貪ったために、

死んだという話を聞いたことがあったのだ」(P243)

 

多くの人はそんなことはできないよ。

おなかすいてたら、がつがつ食べちゃうよ。

 

やはり、壮大な復讐をやり遂げる男は一味違う。

しかし、まだまだ転生への道のりは長い。