今さら説明するまでもないが、今期のオリンピックでフィギュアスケートの
日本ペアがなんと金メダル。
それにより、川原泉さんが1986年に描いた少女まんが
「銀のロマンティック…わはは」が再注目されました。
あ、「…わはは」までがタイトルです。
なーんと40年(!)も前かあ。
当時は日本ではペアは全くといっていいほどおらず、
作者も「本人の努力と、ペアの相手次第で、全日本チャンピオンぐらいには、
なれるかもしんない。なんたって競争相手が「いない」
…ただし、世界チャンピオンともなると、話は全く別だが」と述べている。
いやあ、月日は流れたねえ。そら40年だもんねえ。
そんなわけで久々に再読しました。
昔から思っていたのですが、この方、いったいどんなまんがに影響を受けたのだろう。
あまりにも前例がないタイプの作家さんだ。
全体的にどこかおとぼけムードなのだが、それだけではない。
冷静で辛辣な部分もおおきな魅力でもある。
「それを言っちゃあおしまいですよ」みたいなことをするっと言うのだな。
例えば主人公の更紗(さらさ)はバレエダンサーの父から
ずっとバレエを習っていたが、いまいちやる気が出ない。
そのことについて更紗はこう思っている。
「自己陶酔型のとーちゃんと違って 私の場合 理性が優っているから
人前で自分だけ 情緒の世界を 展開するのは ちょっち…」
ははは~それを更紗ちゃん、それを言っては…この世のすべてのゲージュチュが
成り立たなくなりますわ~。
まあ、こんなふうに身も蓋もないセリフがどんどん出てくる。
他にも、滑る技術はあるが、抒情性や情緒のなさを指摘されると、
ペアを組んでいる影浦さんとともに
「しかし…一心不乱に滑っている時に…
色恋沙汰なんて…どやって表現しろとゆーんだ」
全くだ。
私はスケートなどやったことはないが、
人がまじめに滑ってる時に、客はあんまりなんもかんも要求したるなよ、とも思う。
80年代、こんなことを言う少女まんが家って、まずいなかったのよねえ。
ひと昔まえよりは現実的な内容のものが増えていた気はするが、
まだまだ正統派ロマンティックが主流であった、と思う。
(少女まんがの流行についてはもっときちんと検証する必要がありますが。
とりあえずここは個人の感覚として)
あ、「…わはは」がタイトルにつくのも川原流の照れとロマンスのバランスであり、
時代でもあったな。
冷笑的なものが流行っていたとも言える。
若者向けのテレビドラマとかはそういうものが多かった…ような気もする。
何かをななめから見て、少し笑う、というような。
だが、やはりいいものは時代を超えるのだ。
主人公たちが自分たちなりの情緒の世界を作り上げていくさまは、
やっぱり永遠に輝くロマンティックなドラマなのだ。
このあたりの展開はぜひ原作を読んでくれい!!!
説明すると陳腐になりそうなものを
美しく、面白く、静かに描いている。
カーラ先生にしかできないことである。
そしてカーラ先生の作品は、ぶっとんでいるようで
意外にもボーイミーツガールの部分では正統派というか。
更紗と影浦さんペアは、恋愛感情があるのはどうかは不明。
だが、けんかをしつつも信頼関係はあるし、対等であることは確かだ。
カーラ先生はどんな作品でも「信頼関係のある対等な男女」だけは
ほとんどはずしていないのではないか?
こういうところも色あせない魅力なんだろうなあ。
先生は最近はすっかり寡作になってしまいましたが、
また気分が乗ったらぼちぼちでいいから描いてほしいな。
ところで。
前回や前々回のブログあたりから、
しばらく取り上げる作品を「メディア化などはあまりされていないが、
ちょい昔の優れた少女まんが」にしようと思っていたのですよ。
そしたら急に?カーラ先生ブームですよ。
あら~。私ったら先見の明がありすぎ?
いや、カーラ先生の素晴らしさがあってこそなんですけどね。
てなわけでしばらくはいにしえの少女まんがについて書くと思います。
もちろんそれ以外の本についても書く予定ではありますが。
えーと、たぶんこの文庫本に収録されています。
私はふつうの単行本で持っているもので…
