普段の買い物、必要な物だけを買う事が習慣になっていた。


あの子がいた頃のような買い物をして、食べきれない。消費できないことに気づかされ、習慣化した。


何気なく美味しそうなケーキに目が留まり、お互いはっきりとは何も言わない。

美味しそうだね。でも、2人では食べきれないね。と言いながら帰り道、お菓子屋さんに寄った。


色々見て、お互いに好きなやつをと決めていたのに、最終的にはあの子の喜びそうなやつを買っていこうと、夫が言った。


夕食後、酔いが回っていたのか、言いにくそうに戸惑いながら、俺で良かったのか?とここ数年考えると。自分じゃなければ幸せだったのでは?と。


消えたい、長生きしたくないと思いながらひきつり笑いをしている私のせいだと思った。


時薬なんてないと思う。

喪失感や虚無感は静かに時を重ねて蓄積されていく、目に見えなくなるだけ、静かな深い所に深々と積もっていっているだけだと思う。