高校時代の或る冬の話し


午後から吹雪が強まって

僕は高校から家に帰るすべを失った

私が使う路線の電車(ディーゼル車)はすべてストップしていた



この吹雪では

父に車で迎えに来てくれとはとても言えない・・・



困り果てていると

或る同級生が

【良かったら・・・僕の家に泊るか?】

と声をかけてくれた

私はその申し出をありがたく受けることにした

駅のそばのバスターミナルの公衆電話から

家へ連絡

【今日○○村の同級生の家に泊るから・・・】



彼の家は駅前のバスターミナルからバスで1時間弱ほどの所だったと思う



バスはのろのろと出発した

車窓は一面結露で濡れていた

指で冷たい窓を拭うと

外は一面白い雪

行き交う車もまばらだ

バスは吹き溜まりを避けながら進んで行った



彼の家にやっとの思いで辿り着くと

長くて暗い廊下を進んで

中二階だと記憶しているのだが

彼の部屋へ通された

しばらく会話をした

今では何を話したのか思い出せない

ただ彼の楽しそうに話す笑顔と笑い声がとても印象に残っている

彼は笑顔を絶やさない人だった

家を揺らし唸るような風の音・・・

吹雪はますます激しくなっている様だった


その後

夕餉と風呂をもらったのだろうか・・・記憶にない







朝になった

古いが綺麗に掃除のいきとどいた部屋

ストーブの中で揺れるオレンジ色の炎

大きなガラス窓から

まだ止まない吹雪に

裸になった一本の木が

遠くで揺れているのが見えた



外の吹雪を眺めながら

朝餉をいただく

ハムエッグ・味噌汁・・・

美味しい

幸せとは

この様な事を言うのだろうか・・・

とふと思った






家に帰って父へ報告

○○村の大きな家・・・

土蔵が有った・・・

父【それは○○村長という人の家だ】



○○村長とは私の地域ではとても有名な人だったようで

カツラを着けカツラが取れない様に鉢巻きをしていた人で

【鉢巻き村長】と呼ばれていた様だ



○○村長は私の家のひい爺さん(僕から見て)と友人で

良くお互いの家を行き来していたようだ

床の間の写真でしか見たことのないひい爺さん

彼と私のひい爺さんたちが友達で

何十年もたった後に

ひ孫たちが同級生になったわけだ



感慨ひとしお・・・



父【彼との付き合いを大事にしなさい・・・】



明治生まれの昭和の豪傑たちの武勇伝はおりにふれてブログにアップしようかと思います
(たぶん)