電車の中。 ![]()
そんなに混んでる訳じゃない。
座ってる私の前に立っているのは、サラリーマンとOL。
話している内容から察すると、
リーマンがOLに好意を寄せてるよう。![]()
話に夢中になりながら、
リーマンが傘を持ち直した。![]()
傘の先が置かれたのは、
私の靴の上。 ![]()
軽く置かれてるだけだから、
ま、いいかと思った瞬間、
電車が揺れた。
あうち ![]()
リーマンの野郎、吊革持ってなかったから、
体重が傘に。 ![]()
「痛っ」と声を出したのに、
リーマン、気付かず。
そのままOLに話しかけてる。
気付いたのはOLの方。
注意されたリーマン、
「あ?あぁ…」と言って傘を避けただけ。
謝りもしない。
スイッチON ![]()
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「あんた、今、体重を傘に掛けたよな?」
『は?』
「その傘が俺の靴の上にあったのは認識してたよな?」
『はぁ』
「どれだけ痛かったか、わかってるのか?」
『はぁ』
「姉ちゃんに夢中で謝る事もできんか?」
『何なんだ、あんたは?』
「それはこっちの台詞だ」
『何なんですか』
「謝る気が無いなら、傷害にするけど?」
『何、難癖付けてるんですか』
「ほう、謝る気は無いんだな」
『突然そんな事言われても』
「姉ちゃんに言われて傘どけたろう?」
『は?何の事ですか?』
「とぼけるのか、そっちの姉ちゃんは気付いたよな?」
『……はい』
「姉ちゃんは、どう思うね」
『すいません』
「姉ちゃんが謝る必要は無いな」
『…ですが、こちらが悪いですし』
「そうだな、でも本人はそう思っていないみたいだ」
『…』
「だから、この兄ちゃんには次の駅で降りてもらう」
『どうしてですか』
「言ったろう。謝らないなら傷害だって」
『…』
「警察を呼ぶ」
『不可抗力じゃ無いですか』
「不可抗力だったら人を傷付けても良いのか」
『だって…』
「謝る気は無いんだろう?」
『証拠は無いでしょう』
「お前、人間小さいね」
『…』
「足に痣くらいはできてると思うよ、まだ痛むし」
『…』
「姉ちゃんも見てたしね」
『…』
「ここまでの会話を周りの人も聞いてるしね」
『…』
「自分が正しいと思うなら、警察にそう言えば?」
『…』
「次で降りるぞ」
『すいませんでした』
「は?」
『すいませんでした』
「は?聞こえんな」
『すいませんでした』
「警察行くのは嫌か?」
『…』
「なんでだ?お前は悪いと思って無いんだろう?」
『だから、すいませんでしたっ』
「姉ちゃん、これ謝ってると思う?」
『すいませんでした、許してやってください』
「いや、姉ちゃんは悪くないから」
『でも』
「同僚?」
『はい、そうです』
「こいつ姉ちゃんに惚れてるみたいだけど、付き合っちゃダメよ」
『えっ…』
『なっ…』
「自分が悪いのに謝れない奴は、仕事でも大成しないから」
『はい…』
『…』
「警察って言われるまで態度変えないし」
『はい…』
『…』
「男として魅力無いと思うよ」
『はい…』
『…』 ![]()
「んじゃ、姉ちゃんに免じて許してやる」
「周りも不愉快だろうから、俺は次の駅で降りる」
『えっ…はい…すいませんでした』
『…』
「こいつ、最後までちゃんと謝れないのな、情け無い」
やり過ぎですか? ![]()