JR西日本「万葉まほろば線」と名づけられた桜井線

 大和は 国のまほろば 畳たなづく 青垣 山ごもれる 大和し 美(うるわ)し

  倭建命(やまとたけるのみこと)
  大和(やまと)し美(うるわ)しは、『古事記』に記された倭建命の有名な歌だ。「まほろば」とは「素晴らしい場所」の意で、桜井線はそんなまほろばの風景を車窓の友として走る。
  「万葉まほろば線」と名づけられた桜井線の沿線はことごとく、万葉の記憶をとどめる古代史の舞台である。奈良駅を離れた列車の次の駅は「京終(きょうばて)」。この難読の名の由来は、平城京の南の端ということらしく、次の「帯解(おびとけ)」や「櫟本(いちのもと)」もとっさには読めない。そうこう思案する間に、列車は古事記の世界に誘われるように南下していく。
 車窓の東側に眺めるのは、古事記に詠まれる青垣の山並み。その優美な山々に寄り添うように列車は軽快に走る。西に目を向けると、陽に照らされて輝く大和盆地が視界いっぱいに広がっている。法隆寺のある矢田丘陵、その向こうに生駒山、信貴山、さらに二上山、葛城や金剛の山が屏風のように連なる。まったく晴れ晴れとした豊かな風景だ。

「大和は 国のまほろば たたなづく 青垣 山ごもれる」

 

桜井線(さくらいせん)は、奈良県奈良市奈良駅から奈良県大和高田市高田駅までを結ぶ西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線地方交通線)である。2010年3月13日から「万葉まほろば線」(まんようまほろばせん)の愛称が使用されており、「桜井線」と案内されることはほとんどない。

 

桜井線(万葉まほろば線)は全線が奈良県内にあり、起点の奈良駅で関西本線大和路線)、終点の高田駅で和歌山線に接続している。

「万葉まほろば線」の起点はJR奈良駅

開業時は、大阪市京都市などから橿原市桜井市天理市方面へ向かう重要な交通機関として位置づけられていたが、近畿日本鉄道(近鉄)の前身である大阪電気軌道および奈良電気鉄道によって現在の近鉄大阪線京都線橿原線天理線などが建設された(天理線は天理軽便鉄道が建設したものを買収)ことにより、利用客の多くはそれらの路線に流れた。そのため、当線はローカル線の趣きが強くなっている。特に、近鉄大阪線とほぼ並行する桜井駅 - 高田駅間は利便性の面で近鉄に劣ることもあって、利用者が少ない。しかし、2004年に金橋駅近くにイオンモール橿原が立地したことにより利用客が再び増えている。

2両編成の新型車両227系を28編成、計56両を順次導入してきましたが、9月30日(月曜日)に全車両の導入を完了した。

 

近畿統括本部が管轄する奈良駅をのぞき、全線が大阪支社王寺鉄道部の管轄であり、旅客営業規則の定める大都市近郊区間の「大阪近郊区間」、およびIC乗車カードICOCA」エリアに含まれている

愛称の制定

2009年11月時点では路線愛称はなく、旅客案内上でも正式路線名がそのまま使用されていたが、2010年に「平城遷都1300年祭」や、「奈良デスティネーションキャンペーン」といったイベントが開催されることから、より親しみをもってもらえるように愛称名を公募していた。

選考の結果、沿線に日本最古の歌集である「万葉集」に多く詠まれた名所・旧跡が点在していること、「まほろば」は奈良を連想させる言葉として全国的に広く浸透しており、沿線のイメージと重なることから「万葉まほろば線」に決定した。愛称は2010年3月13日のダイヤ改正から使用されている。なお、富山県高岡市にある路面電車「万葉線」とは、由来は同じであるが資本・人材等の関係は一切ない。

路線データ

  • 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道
  • 路線距離(営業キロ):29.4 km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:14(起終点駅含む)桜井線所属駅に限定した場合、関西本線所属の奈良駅と和歌山線所属の高田駅が除外され、12駅となる。
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:全線電化(直流1,500 V)
  • 閉塞方式:自動閉塞式(特殊)
  • 運転指令所大阪総合指令所
  • 最高速度:85 km/h

 JR西日本227系新型電  桜井腺運用

●沿線概況

 沿線には、万葉集に詠まれた名所や史跡が多く、車窓からは三輪山大和三山を望むことができ、奈良駅から桜井駅までは山辺の道(山の辺の道)に沿っている。

山辺の道(山の辺の道)より大和三山を望む!

山辺の道(山の辺の道)山辺の道/奈良県天理市付近。道はアスファルト舗装されてはいるが、往時の趣をかなり保っていると感じられる。

 

高架駅の奈良駅を出て関西本線(大和路線)と分かれ大きく左にカーブし、奈良県道754号を渡ると地上へ降りる。

 奈良駅から一駅、1.9km南に行くと京終駅(きょうばてえき)だ。変わった読み方をする難読駅だが、奈良時代の都・平城京の東側半分「左京」と、続きの小さな出っ張り「外京」から外れた場所に位置し、「京が果てる」という響きがとても合う駅名だ。

改修された京終駅は、待合室ももちろんきれいに改修されていた。縦長の窓がホーム側、正面側の両側にあり、明るく開放的な雰囲気だ。 広めの待合室の真ん中には、ピアノが置かれていた。

 

右にカーブする曲線部に京終駅があり、南下をはじめる。長い下りこう配を降りると帯解駅

JR帯解駅(おびとけ)から安産祈願の帯解寺がすぐ。7月23日、24日の2日間は「地蔵祭り」が行われ、

帯解寺から南へ200~300mの間の通りで午後6時頃から0時頃まで夜店があり、特に初日は多くの訪問客で賑わう。

 

そこからほぼ真っ直ぐに進むと櫟本駅である。

 桜井線の駅の一つに櫟本(いちのもと)という駅がある。JRのはるか前身、奈良鉄道時代の1898年(明治31年)築の駅開業時以来の木造駅舎が未だに現役だ。あのJR九州・肥薩線・嘉例川駅駅舎の1903年(明治36年)築よりも5年も早く建てられた駅舎で、私鉄最古1907年(明治40年)築の浜寺公園駅駅舎(南海電鉄本線)よりも古い。1886年(明治19年)築と言われている亀崎駅(JR東海・武豊線)には及ばないながらも、現役駅舎の中では相当古いものと言えるだろう。しかし現在は無人駅である!

跨腺橋もある櫟本駅であるが無人駅!

櫟本駅を出てすぐに西名阪自動車道を潜り、右手に広い留置線が見え、天理市の中心部、高架駅の天理駅に着く。近鉄天理線との接続駅で、近鉄天理線とは直角方向に位置している。日本で唯一宗教団体の名称が自治体名となっており、駅周辺にも天理教の施設が多くある。駅構造は島式ホーム2面4線であるが、通常は東側の1面2線しか使用されておらず、西側の1面2線は団体列車または留置線の入出区に使用されている。

天理駅を出て高架を降りてしばらく南下すると長柄駅柳本駅巻向駅と続く。

JR巻向駅のホーム

邪馬台国の宮殿であった可能性のある纒向遺跡

 

巻向駅は左カーブの曲線部にあり、駅の目の前は邪馬台国の宮殿であった可能性のある纒向遺跡がある。現地説明会が行われた際には、多くの考古学ファンが詰めかけた。

大神神社のご神体「三輪山」は、太古の昔より神さまの鎮まる神聖なお山です!

大神神社は、日本最古の神社で大和国の一宮である

巻向駅から緩やかな下り勾配を進み、右手に大きな鳥居が見えてくると三輪駅に至る。大神神社の参道が駅前まで続いており、特に年末年始は多くの初詣客が訪れる。

 

大和川を渡り、中和幹線を潜ると、やがて右にカーブして近鉄大阪線と鋭角に交差すると桜井駅に着く。近鉄大阪線との接続駅で、かつては近鉄との共同使用駅であったが1995年に改札が分離されている。日中の奈良方面からの列車の半数はこの駅で折り返している。

桜井駅で南下を終えて、ここから先は近鉄大阪線と並走して西進する。右手に近鉄大阪線が見えるが、住宅によりその景色が遮られると香久山駅である。駅のホームからは大和三山の一つの天香具山が見える。

大和三山の天香具山

その先で国道165号と交差して左手に広大な空き地があるが、これが日本史上最初で最大の都城である藤原京跡で、当線はその北端を走る。右手には耳成山が見え、国道165号を高架で越えると、相対式2面2線の畝傍駅につく。

大和三山の耳成山

畝傍駅は橿原市の市街地にあり、橿原神宮や神武天皇陵の最寄り駅であったため、参拝する皇族のために駅舎内には貴賓室が設けられている(現在は閉鎖され、公開もされていない)。かつて畝傍駅からは近鉄吉野線の旧線でもある小房線が分岐していた。

大和三山の畝傍山

畝傍駅を出てすぐに近鉄橿原線を越えると、西進を続けると左手に畝傍山が見えはじめ、奈良県を南北に貫く国道24号橿原バイパス)を高架で越えるとイオンモール橿原の最寄り駅金橋駅、そして右にカーブしながら進路を北に変えると、左手から和歌山線から合流してきて終点の高田駅に着く。なお列車は大半が和歌山線(王寺和歌山方面)に直通する。

 

年末年始の桜井線運行形態

年末年始の多客時期と通勤通学時間帯は221系が運用される

大晦日から元旦にかけて、終夜運転が奈良駅 - 桜井駅間で約30 - 60分間間隔で行われる。多客に対応するため全列車に車掌が乗務している。

 

2009年から和歌山線と桜井線を走り、私達の目を楽しませてくれた105系のラッピング車。

数種類のデザインの車両が同線区を行き来していたが、車両の検査を機に1つ減り、また1つ減り、ついに最後まで残っていた
「旅万葉」編成が検査工場へと回送されて行った。

つい最近まで走っていた105系電車

以上、「万葉まほろば線」桜井線の紹介でした!

 

 

Wikipedia : 資料参考


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