C56形蒸気機関車の開発から引退まで、

北海道から九州まで全国各地で活躍!

さよなら83歳のSL「ポニー」 地球を35周走ったC56形160号機、本線から引退

国鉄C56形蒸気機関車は、国鉄の前身である鉄道省が製造した小型軽量テンダー式蒸気機関車(テンダー機関車)である。愛称はシゴロク、または高原ポニーである。

C56形の開発

1872年明治5年)以来続いた鉄道の建設も、主要幹線の整備の目処が立つと、政治的圧力を背景に輸送需要の大きくない閑散支線区の建設促進へと移行していった。しかし、閑散支線区の蒸気機関車は、幹線の需要増大と速度向上に対応できずに幹線から撤退した旧型機、充てられていた。幹線用機関車は旧型機であっても大き過ぎて支線へ転用不可能である。

そこで昭和初期に至って、閑散支線に最適化された、小型軽量で保守の容易な機関車が計画されることとなった。

 

上記のとおり本線より著しく低規格な簡易線には、大型機関車は入線できない。このためまず短距離線区向けには1932年(昭和7年)にタンク式C12形が開発された。軽量で前後進の容易な小型機である。

しかし比較的長距離の線区では、C12形では石炭と水の搭載量が少ないので、運用に適さない。このためC12形から水槽と炭庫をはずし、テンダー式に設計しなおされたのがC56形で、両形式は共通部分の多い系列設計となっている。

C56形 蒸気機関車

軸重の制限を受け、比較的長い簡易線に使用できるように製造された客貨両用の機関車。C12の後輪を省略し、テンダーを別に付けた構造であるほかは、ボイラー、弁装置の小さな部品にいたるまでC12と共通となっている。テンダーはバック運転にも便利なように両側をナナメに切ったのが特長である。1935年から1939年に川崎、汽車、日立、三菱で164両が製造されたが、1号機から90号機までは戦争のためにビルマなど南方へ送られた。全長14325mm。

C5644
タイから帰ってきた大井川鉄道の C5644


C5691
昭和47年10月「鹿児島太陽国体」のお召し機(重連本務機) C5691


C5692
昭和47年10月「鹿児島太陽国体」のお召し機(重連次位補機) C5692


C56130
長野式集煙装置の C56130


C56136
回転火の粉止め付きの C56136


C56153
シールドビームのC56153


C56156
中込機関区時代の C56156

 

これは制式蒸気機関車系列化の先達であるドイツにおいて支線区向けに設計された、64形タンク機24形テンダ機の設計手法を参考にしたと思われる。両形式は形態もC12形、C56形にそれぞれ類似している。

 

当時は簡易線には、転車台が設置されている箇所が少なかった。C12形はタンク機関車のためバック運転(逆機)は容易であるが、C56形はテンダー機関車のため後方が見にくくならないよう、炭水車の炭庫側面を大きく欠き取って後方視界を確保したスタイルが特徴的である。しかし、実際にはC12形と異なり従輪がなく、逆機時の走行特性が著しく低下した。これが原因で脱線が多発したため、低速での入換を除けば、逆機はあまり行われなかったといわれている。

現在動態保存されているC56形蒸気機関車は、JR西日本のC56-160号機と大井川鐵道のC56-44号機の2両のみである。

↑↑JR西日本の山口線でC57 1号機とC56 160号機の重連運転で「SLやまぐち号」を牽引し、先頭を走るC56 160号機。

↑↑JR西日本の北陸本線(米原~木ノ本間)雪の中を走るC56 160号機

↑↑JR大和路線第5大和川橋梁を渡るC56 160号牽引の「SL大和路号」、龍華(久宝寺)から王寺までは営業列車ではなく回送でした。「SL大和路号」の営業運転区間は王寺~高田経由~奈良でした。1986年8月撮影

↑↑さよなら83歳の「ポニー」の愛称を持つJR西日本のC56形160号機が、本線運転を終了。“誕生”から83年、地球35周相当を走ってきた蒸気機関車の“人生”に、ひとつの終わりがやって来ました。「海の上を走った」ことが自慢だといいます。

↑↑大井川鐵道の大井川本線沿線の茶畑の中を走る、タイ国から帰ってきたC56 44号機。

↑↑大井川鐵道の「きかんしゃトーマス」仲間「ジェームス」に扮装したC56 44号機。

↑↑大井川鐵道のC56 44号機

C56形はバック運転の見通しを良くするため、テンダー車の両側を前から後にかけて斜めにカットしてある。

 

吉松を発車する山野線の軽貨物490列車。内地向けトップナンバーのC56 91号機牽引。

吉松~栗野・1970年 8月 8日撮影

肥薩線栗野駅から西へ薩摩大口まで山野線が分岐していた。 一往復の貨物列車が健在で、C56がけん引していた。筆者が見たのはC56 91だった。 吉松を発車し ...今日も山野線での貨物運用に忙しい吉松機関区C56の仕業番号31薩摩大口行き490列車がトコトコと機関庫前を走り抜ける。

九州から木次線にやってきたC56 91号機・蒸気機関車

C56~木次線・スイッチバック(出雲坂根駅)の動画

大井川鐵道に2機目のC56形蒸気機関車、動態復活へ_半世紀ちかい眠りからいつ覚めるか 大井川鐵道は、兵庫県加東市滝野の県立播磨中央公園で静態保存・展示されていた C56形蒸気機関車135号機を譲受。 同社の営業運転で活躍するC11形などと同様に、この C56形135 も動態保存をめざして整備していくという。

 大井川鉄道(本社・島田市)は、兵庫県加東市内に保存されていた蒸気機関車(SL)「C56形」135号機の搬入作業を行った。整備を進め、一般車両としての運用を目指す。SLの新車両搬入は21年ぶり。

SL C56形135号機搬入 大鉄に21年ぶり「新車両」動態復活へ整備。

 

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