特急タンゴ・エクスプローラーの

今 走れば話題の

レア車 3セクきっての豪華列車だった!

「現役だけど定期運用を持たない車両」京都丹後鉄道のKTR001形気動車は、かつての北近畿タンゴ鉄道の看板特急「タンゴ・エクスプローラー」として誕生しました。しかし現在は運行自体が話題になる超レア車両です。

第三セクター初の本格的特急気動車

 WILLER TRAINSが運行する京都丹後鉄道の西舞鶴駅(京都府舞鶴市)に、2編成の特急列車が長く野ざらしとなっています。↓↓

同社以前に宮津線(西舞鶴~豊岡。現在は宮津を境に「宮舞線」「宮豊線」の通称が使われる)を運行していた北近畿タンゴ鉄道の看板列車だった特急「タンゴ・エクスプローラー」です。

 この「タンゴ・エクスプローラー」は3編成あり、うち1編成は現役です。ただし定期運用はないため、運行される際にはファンのあいだで話題になるレア車両となっています。人気の高い車両ではあるものの、なぜこうした状況になったのか、歴史を振り返ります。

国鉄時代、特定地方交通線に指定された宮津線は廃止対象となっていましたが、JR西日本に引き継がれたのち1990(平成2)年4月1日に、第三セクターの北近畿タンゴ鉄道へ転換されました。

 その時に特急形車両として、KTR001形気動車が新製投入されました。当時非電化だった北近畿タンゴ鉄道線内へ、JR京都駅から直通する特急「タンゴ・エクスプローラー」用として登場したのです。

 KTR001形の足回りは、1988(昭和63)年に登場したJR北海道のキハ183系550番台をベースとしたものです。第三セクター鉄道の有料列車用車両は当時、秋田内陸縦貫鉄道のAN-8900形と、のと鉄道のNT800形が存在しましたが、JRの特急形気動車に匹敵する高性能気動車は全国的にもKTR001形のみであり、JRの電車特急にも劣らぬ俊足を発揮。最高速度は120km/hでした。

 運行開始時はJR京都~久美浜間で1往復のほか、JR京都→西舞鶴間の下り1本、網野→JR京都間の上り1本という、変則的な運用に就いていました。

リゾート特急の客室は設備ヨシ!眺めヨシ!

 KTR001形はリゾート特急らしく、客室の床が高いハイデッカー構造です。また客室の側窓には天窓も設けられ、ワイドな車窓を楽しめるよう配慮されています。この天窓と側窓は誕生当時、世界的にも珍しかった複層高反射率ガラスを採用しており、眩しさと熱線を軽減し、外からの目線をある程度遮る効果がありました。

 ちなみに1・3号車客室の最前列からは、運転台越しに展望を楽しめる構造となっています。これは運転席に、大型の1枚ガラスを採用しているためです。

KTR001形は3両編成で、全車両が普通車ですが、2+2列回転式リクライニングシートのシートピッチは980mmと広く取られ、座席背面にテーブルと跳ね上げ収納式のフットレスト(荷物置きを兼ねる)を備えていました。ベースとなったキハ183系550番台の普通車はシートピッチ940mmでしたから、ゆとりを持たせた設計でした。また、先頭車両の前部にはメロディホーンを装備しています。

「タンゴ・エクスプローラー」は好評を博し、1992(平成4)年には2次車が増備され、「タンゴ・エクスプローラー4号」が豊岡駅(兵庫県豊岡市)発になるなど、活躍範囲が広がっていきます。

しかし路線が電化されたので…

 そのようななか、路線の「電化」という大きな変化が訪れました。運行開始当初は京都~園部間だけだったJR山陰本線の電化区間が、1996(平成8)年には京都~福知山間まで拡大し、これと接続する北近畿タンゴ鉄道宮福線(福知山~宮津)も併せて電化されたのです。「タンゴ・エクスプローラー」は、大部分で電化区間を走る気動車特急となりました。

 さらに1999(平成11)年、JR舞鶴線(綾部~東舞鶴)も電化されたことで、運転系統の見直しが行われました。「タンゴ・エクスプローラー」は新大阪発となり、新大阪~久美浜・宮津間で2往復が運行されるようになります

 しかし2011(平成23)年に再度、北近畿地区で特急列車の再編が行われ、特急「タンゴ・エクスプローラー」は廃止。KTR001形は北近畿タンゴ鉄道線内の限定運用に従事しますが、車内に階段のあるハイデッカー構造によりバリアフリー対応が難しいこと、またJR乗り入れをしないのなら3両編成は過剰なこともあり、2013(平成25)年に定期運用から外れました。

2018年5月3日から6日にかけて、京都丹後鉄道での「丹後の海」の運用がKTR001形「タンゴエクスプローラー」車両にて代走されて運転されました。運転区間は宮津→福知山→宮津→福知山→網野→福知山→網野→福知山→網野→西舞鶴で特急「たんごリレー」などが代走されました。「タンゴエクスプローラー」の営業運転は久しぶりのものとなります。イベントバナー

 2022年現在は2次車のみが現役であり、特急「たんごリレー」の予備車として年数回だけ本線に出るため、「走ることが話題となる超レア車両」として注目を集めているわけです。北近畿タンゴ鉄道が京都丹後鉄道になってからも、「タンゴ・エクスプローラー30周年記念企画きっぷ」が販売されるなど人気車両ではありますが、老朽化も進んでおり、いつまで現役かはわかりません。

 

北近畿タンゴ鉄道KTR001形気動車は、1990年北近畿タンゴ鉄道が導入し、2015年4月からはWILLER TRAINS(京都丹後鉄道)が運用する特急形気動車(ディーゼル動車)である。製造は富士重工業

特定地方交通線に指定された宮津線を、第三セクターの北近畿タンゴ鉄道が引き受けて開業する際に、同社の看板車両たるべく意匠を凝らして新造された、第三セクター鉄道では初の本格的リゾート特急用気動車である。「タンゴエクスプローラー」の車両愛称を持ち、2011年3月までは同名の特急列車に充当された。

各車の定員は、車両番号末尾1と末尾3の両先頭車が52名、末尾2の中間車が48名で、編成定員は152名となっている。両編成とも普通車のみの編成でグリーン車は設定されていない。二つの編成には製造時期に2年の差があることから、仕様が若干異なる。外観は先頭部の傾斜が異なり、第1編成の外板塗色がゴールドであるのに対し、第2編成はやや白っぽいシャンパンゴールドとなった。内装では車内の座席モケットの模様などが異なり、中間車の設備も変更されている。

 

 

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