脳みそをそのまま
シリコンでできた自分のアンドロイドに移す夢を見た
アンドロイドになれば
永遠に変わらない肉体が持てるという軽い誘いに乗って
私はアンドロイドになった
体が重くてちっとも動かなかった
そうだ
脳みそはそのままでも
私の魂はどこにいったんだろう
私はあんなに自由に自分の体を動かしていたのに
自分の体だと思って動かしていたのはただの入れ物に過ぎなかった
なのに
私の魂と一体化した私の生の肉体はあんなにも自由だった
ゴムみたいに神経の通わないぶよぶよの体を引きずって
鏡の前に立ったら
ビニールみたいにまとまりのない髪の毛が
広いゴムのおでこの上でぼさっと広がっていた
無表情の顔と絵の具の肌色みたいな皮膚
整えても整えてもまとまらない黒くて安っぽく光る髪
すごく後悔した
一回しか着れない生の肉体を
何であんなに早く脱ぎ捨ててしまったのだろう
あれほど自由で
自分という生き物を感じれる入れ物はなかった
脳みそだけ生きていても
私の魂は死んでしまった
恐ろしくて目が覚めた
疲れていたのだろう
あまりにリアルな夢だったので書き残すことにした