木を見て、森を見て、山を見て、それでも海や大地は見ず。 | blogsan of kenzousan.

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アウトプットの場として。割と自分に酔ってます。

もうすぐ7月が終わる。

2012年は半分を過ぎ、季節は夏の真っ盛りである。

今年の前半戦について少し振り返ってみると

現在の状況を的確に表す表現が浮かんだので

それを今回の題名にしてみました。

箱根駅伝後、チームは「箱根優勝奪還」を目標に動き始める。

昨年の4年生が抜け、一時は浮き足立った状態であったが

佐々木主将の丸亀ハーフマラソンでの自己ベストを期に

少しずつではるが、「形」になってきた感が出て来る。

平賀の初マラソン、果敢な挑戦。

大金星とはいかずも、今年に向けた気持ちの強さを伺えた。

西城のクロカンにおける快走、新たな自信の創出。

28分台ランナーに劣らない快走で、チームに活気をもたらす。

日本代表には届かずも、日本のトップで戦える選手がまた一人増えた。

そして何より、大迫の覚悟。

今年に入り、幾度となく口にしていた、「ロンドン五輪」の言葉。

目標を現実にすべく、様々な試み、気持ちを高める毎日。

時にその鋭さは周りを威嚇し、恐怖を覚えるものではあったけど

それほどまでに五輪に対してコミットしていた、その気概は

気付けば彼自身を、日本陸上界を牽引する存在へと成長させていたように思う。

チーム内ではなく、外部と。

大学生ではなく、シニアと。

日本国内ではなく、世界と。

そんな風に野望を抱く者が多くいた気がする。

それは一般種目も同じで

実際にディーン、九鬼はその野望を現実のものとし

今夏、世界を相手に日の丸を、そして臙脂を背負って戦う。

何はともあれ

「外の世界を見る」

という風潮の浸透は

この春に多く見られた傾向であり

これは監督は掲げる

「個」の成長

というフォーカスが

大きく影響している気がする。

チームは「外」を見ていた。

そんな気がする。

だがしかし、今はどうだろうか。

長距離に限定し、今はどうだろうか。

果たして外の世界に可能性を見いだしているものはどれだけいるのか?

比較対象を誤ってはいないか?

戦う相手を間違えてはいないか?

「外」ではなく、「内」に固執していないか?

今、チームは激戦下にある。

大きく力が突出しているものが7名。

あとは誰が上がってきてもおかしくはない。

チーム内は競争意識で一杯だ。

上は見えやすく、同時に下も見えやすい。

自分の存在意義を示すためにも、その中から這い上がって来る必要がある。

一見すると、非常にいい傾向ではないか。

ライバル心を燃やし、切磋琢磨しながら向上しようとしているではないか。

個々の力はブラッシュアップし、ボトムアップが実現されているではないか。

殻に閉じ籠る間を与えない程、チーム内に流動性が出てきているではないか。

そして何より、「恐怖心」が漂っているではないか。

もちろん、上記の状況はいい点もある。

実際にみんな「向上心」を持てているし

「恐怖心」によって突き動かされている傾向は存在する。

だがその「恐怖心」は

「このままでは優勝出来ないのではないか?」

というものというより

「このままでは部にいられないのではないか?」

もしくは

「このままではメンバーに入らないのではないか?」

そのようなものである。

この状況をまさに

「木を見て、森を見て、山を見て、それでも海や大地は見ず。」

という表現に見事なまでに合致する気がする。

「向上心」はある。

それはチームのレベルが均一化してきた事もあり

上を目指しやすくなった。

ブロックの細分化も功を奏し

あいつには負けない。

上の舞台で戦って見せる。

そのような気概が伺える。

しかし、これは「恐怖心」にも言える事で

いつ下に落とされるか分からない状況下において

自分の役割を守る事に必死になるのもまた事実である。

「向上心」と「恐怖心」

上手く作用すれば大きなシナジーが生まれる。

その両者に板挟みになれば

自ずと努力を迫られる。

しかしだな

だがしかしだな

その2つの感情が

「内向き」な現在のままで

果たして「箱根優勝奪還」は

実現するのだろうか?

外を見ず、内を見てばかりで

チームはもう一つ上の舞台に上がれるのだろうか?

これまで通りの上昇傾向で

頂点に立つ事は可能なのであろうか?

何度も言うけど

チームに「向上心」はある

木を見て森を見ない奴はいない。

むしろ更なる高み、山の存在を意識に入れているものも少なくはない。

でもこれは我々の世界だけの話ではないか?

「早稲田」という世界、歴史、伝統の中だけではないか?

その中で比較し、一喜一憂し、何が得られるのか?

「一流の山」になる事が目的なのか?

違う。

目的は言うなれば

「自然界のナンバーワン」になる事。

東洋大学という「海」にも負けず

駒沢大学という「大地」にも負けない

そんな存在になる事ではないか?

ならば見るべき先はそのベクトルでいいのか?

より比較すべき、意識すべき対象があるのではないか?

内ばかり見て、内向きな動機付けで

実現出来るようなヤワな本懐か?

足りないものは補わなければならない。

幸いにも、いせさきナイター、そしてトワイライトと

「外」を意識せざるを得ない試合が続いた。

これを踏まえ、何を思うか。

どう行動するか。

外を見て、意識の転換を行えるか。

「向上心」「恐怖心」を

外向きに感じる事が出来るのか。

夏合宿を前に、大きな分岐点になるはずだ。

「365日分のフルコミット」

掲げたはいいが、まだ不十分。

満足したい、やり切りたい。

そしてみんなで笑顔になりたい

そんな事ばかり考えて生きてきた。

でも最近は

少しだけ、ほんの少しだけ

その幻想がリアルに、より具体的に

考えられるようになってきた気がする。

これは私が「内」を見ていた結果なのか

それとも「外」を見始めた結果なのか

今は明確に分からない。

幻想がリアルになった時期と

私の価値観、判断基準が変化した時期が

明確に思い出せないから。

それでも今はやれる事をやり切りたい。

まずは目先の夏合宿。

良くも悪くも変化し易い期間。

「木を見て、森を見て、山を見て、海も見て、大地も見る。」

そんな超人的な存在に

みんなが成長する。

そんな季節にする。

今年の夏は、そんな季節にする。