希少価値の高い郵便切手のレプリカを作り、ネットオークションで販売したなどとして、男女4人が警視庁に書類送検されたという報道がありました。
報道によれば、富山県在住の会社員(56歳)の男ら4人は、2019-2020年にかけ、本物の郵便切手の「レプリカ」を無許可で、ネットオークションで販売した疑いなどがもたれており、この富山県の男は、安い郵便切手の印刷面を洗濯洗剤で消した上に、希少価値の高い郵便切手の絵柄をカラーコピーして、レプリカを製造していた由。
金券として換金を目的とする横領などの事案はときどき事件化された報道を目にしますが、コレクター相手のレア・アイテムに絡む摘発は初めてみました。
件の富山の男性は、斯界では以前から「有名」な方で、少し知識のあるフィラテリストならば、彼の「商品」に手を出すこともないというお粗末な出来映えです。
しかし、知識が十分になかったり、好奇心が勝ったりすると、ちょっと面白そうだし、価格は本物よりも安いので、うっかり手を出してしまう人もいたのでしょう。
彼が巧妙なのは、ヤフーオークションでこれらの商品をホンモノとはいわずに、あくまで「参考品」、「レプリカ」ですといって販売した点です。
偽物をそれと承知の顧客に売るのですから、詐術を弄したものではないので、本人も油断したのでしょう。
しかし肝心の「郵便切手が額面を持つ有価証券である」ことや「未使用切手を無許可で模造してはならない」点を軽視したために、摘発されたのかもしれません。
以前からネットオークションには「怪しい品物」が常時、売り立てられおり、今回の出品者についても、ずっと野放しになっていたので、「やれやれ漸く摘発された」という感じではあります。
しかし、逮捕されず書類送検にとどまっているために、こうしている間にも、出来の悪い「参考品」がネットオークションの売り物として並んでいる点には注意が必要です。
例えば、「30円金色堂切手のカラーマーク付」は数千円もするアイテムですが、カラーマークでない普通の白耳付に上からカラーコピーでカラーマークを印刷した「参考品」が出品されており、これなどは切手自体の模造・偽造ではないからと、そのまま出品され続けているのかもしれません。
今回の事件化を契機として、こうした出品者は、オークション会社自体が「出入り禁止」処分を科すなど、自浄能力を発揮して排除して.欲しいところですね。