8月31日。
その日はダハブからエルサレムへ移動すべく朝からバスに揺られていた。
やたら厳しいと悪名高いイスラエル国境も無事に通過し、
バスターミナルでエルサレム行きのバスの出発を待っていた僕たちは、
ここで2通のメールを受け取った。
「父が危篤…。」
「間に合わなかった…。」
病もほとんど煩ったことのない父が急に逝ってしまったらしい。
なにがなんだかわからず、頭が真っ白になった…。
すでに走りだしてしまっていたバスを止め、
ついさっき越えたばかりの国境からエジプトに逆戻り、
カイロまでのバスチケットと日本までの航空券を急いで買って、
二日後には眠る父に対面し、三日後には葬儀も終わった。
すべてがあっという間すぎて、
ほんの数日前まで言葉もわからないアラビアの真っ直中にいたことが信じられなかった。
今日本の見慣れた風景のなかにいる自分、
ついさっきまで見知らぬ世界を旅していた自分、
そして父のいなくなった家のなか…。
どれもが現実なんだろうけど、どれもが夢のような変な気分のまま毎日が過ぎていった。
僕たちのやりたいことを誰よりも応援し、このブログも頻繁に見ててくれいた父。
ちゃんと最後までやり遂げて「ただいま」を言いたかった…。
年末の正式帰国まで本当にあともう少しだった…。
早いものであれから一ヶ月が経ち、
我が家は少しずつだけど落ち着いた日常を取り戻し始めています。
たくさんの方に、この旅をこれからどうするのかと聞かれますが、
今は、ひとり遺された母を置いて旅を再開しようとは思わないし、したくもありません。
でも、心の片隅に「こんな形で終わりにしてしまっていいのか」という気持ちがあるのも事実です。
僕たちにとってこの旅は、かなりの覚悟を決めて挑んだ大勝負だっただけに、
良い形で締めくくりたい、良い思い出として残していきたいという希望は今でもあります。
FBにアップされる旅友の楽しそうな写真を素直に喜べないのも、
きっと心のどこかで「悔しい!」って感じてるからなんだと思います。かっこ悪いけど…。
だから何年後か、何十年後かわからないけど、
もしかしたらまたいつかこの旅の続きをスタートさせる日がくるかもしれません。
行きたくなったら、またいつでも行けばいい!
世界は決して遠いものじゃなく、「行こう!」と思った瞬間からすぐそこにあるもの。
これは、この旅で僕たちが心底実感してきたことです。
そしてもしそのときが来たら、
僕たちが見た世界の素晴らしさを改めて父に話してあげようと思います。
最後に…、
この旅で出会ってくれたすべての旅仲間にありがとう。
この旅で出会ってくれたすべての旅仲間にありがとう。
日本で応援してくれたすべての友達にありがとう。
このセカイスケッチを見てくれたすべての人にありがとう。
僕たちのわがままをあたたかく見守ってくれた家族と、父にありがとう。
そして、1年7ヶ月間もの長い時間を一緒に旅をしてくれたyumiにありがとう。
いつかごまた、セカイのどこかで…☆
本当にありがとうございましたーっ!!
本当にありがとうございましたーっ!!
ken
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