10年ほど昔、北関東の山での体験談!

そこは神気漂う幽玄さを残した山間部での出来事。
地元では天狗の山として古くから信仰のある場所でした。

早朝から入山して河原で禊をし、装束に着替えて、お神酒と塩と祝詞を背負ってどんどんと山奥深く進んでいくと、一時間少し行った処に大きな岩磐が見えてきました!
此処で祈祷しようと思い、荷物を置いて姿勢を調えて、祭壇を造り祝詞奏上を始めました。

祝詞を唱え、ひたすらに鎮魂帰神に没頭していると感覚に変化があらわれてきました。
周囲は益々幽玄な神気で満たされ、気は練れてきて、意識が静かにそして明確に成ってきました。そのとき、この奥深い誰もいない、そして道路もなにもないはずのこの場所で、大型バイクの排気音のような音が微かに麓の方から聞こえて来ました!

更に行を続けていると、今度は蝉の鳴き声のような声が響いて来ました!
その声がだんだんと近づいてきたかと思うまもなく、一瞬で私の周りいっぱいに鳴り響き出しました。

その当時の季節は冬から春になったばかりで、当然蝉などまだ出てきてもいないにもかかわらず?
声はどんどん大きくなって私の周りを回るかのように鳴り響いています!(実際に音がしました!)

その時です、真っ白い靄のような光るものが私の目の前の空間に現れひとつの大きな紅葉のような形を造り煌めいています。
私の全身と意識は鳥肌がたちそして動くことも呼吸さえも出来ないぐらいに緊張が走りました。

その物に釘付けになっているとそれは更に形を変え人間のような形になりました!(天狗です!烏天狗!)

そして、蝉の声が頭の周りをぐるんぐるんと響き渡り、意識が遠退いていきそうになったそのとき、『フッ』と一瞬で姿を眩まし、蝉の声も消えてしまいました!

現実に帰り辺りを見渡しましたが只の静かな森があるだけで、他にはなにもありません。

これが、昔私が体験した不思議な話です。皆さんは、どう思いますか?