米国で除草剤が効かない突然変異の雑草が大繁殖! 自然を弄ってはいけない・・・・ | 梵のブログ

梵のブログ

ブログの説明を入力します。




米サウスダコタ(South Dakota)州サーレム(Salem)近郊でのトウモロコシの収穫風景(2013年10月2日撮影、資料写真)。(c)AFP/Getty Images/Scott Olson

 

 

【1月15日 AFP】米国で除草剤が効かない「スーパーウィード」と呼ばれる突然変異の雑草が大繁殖している。環境運動家や研究者からは、遺伝子組み換え(GM)作物が原因だという声も上がっているが、業界の大手各社はこれを否定している。

 

 米科学誌サイエンス(Science )9月号に発表された研究報告によれば、除草剤に対する耐性をもったGM種子が開発されたために、除草剤が過剰使用されていることが原因だと、多くの科学者が指摘している。

 

「除草剤として世界で最も普及しているグリホサート系の農薬が効かない雑草が、米国内の大豆や綿、トウモロコシ農場の大部分で繁殖」している。多くは、除草剤耐性のあるGM種子を使っている農場でのことだという。

 

 アグリビジネスの市場調査会社、ストラタス(Stratus )の最新調査によれば、グリホサート系除草剤が効かない雑草が生えていると答えた農家は、2011年には米国の農家全体の34%だったが、2012年は49%と半分に迫っている。

 

■問題の除草剤とGM種子、共にアグリビジネスの産物

 

 グリホサートは米国で最もよく使われている除草剤で、1970年代に米アグリビジネス大手モンサント(Monsanto )が開発した。「ラウンドアップ(Roundup )」の商品名で市販されている。同社はまた1996年にグリホサートに耐性のあるGM種子を初めて開発した企業でもある。

 

 モンサントのライバル企業の一つ、米化学大手ダウ・ケミカル(Dow Chemical )も「(Durango )」の名称で同様の製品を販売している。

 

 しかし、アグリビジネス業界は、スーパーウィードの繁殖に関する責任を否定している。モンサントの広報は「除草剤の効かない雑草は、GM作物が開発されるずっと以前からあった」と反論している。米農務省(USDA )も同じく「数十年前から起きている現象」だという見解だ。「時間とともに作物が耐性を選択する結果、自然に起きることで、すべての除草剤でみられる」としている。



またUSDAは、GM作物ではなく「農家の除草の仕方」にスーパーウィード繁殖の一因があると強調する。GM種子と一緒に、モンサントや競合他社が開発したグリホサート系農薬を使っていることが問題だという主張だ。

 ダウ・ケミカルの広報も「問題は、過去の除草剤耐性作物の栽培システムが、グリホサートの過剰使用につながったことにある。他に有効な除草法を、農家が見つけられなかったからだ」と述べている。 

 

■耐性獲得の悪循環に関する指摘

 

 しかしGM作物に反対するNPOや研究者などは、GM作物がスーパーウィードの繁殖を大きく加速させたという立場だ。

 

 悪循環を指摘するのは、米ワシントン州立大学(Washington State University )の「持続可能な農業と天然資源センター(Center for Sustaining Agriculture and Natural Resources )」のチャールズ・ベンブルック(Charles Benbrook )氏だ。除草剤の投入量を増やせば増やすほど、グリホサート耐性の強い雑草が残るという説明だ。

 

 米化学大手デュポン(DuPont )の種子部門「パイオニア(Pioneer )」 のウェブサイトに公開された研究によると「グリホサート系除草剤は、グリホサート耐性のある作物の導入に先駆けて20年もの間、使用されていた。その間、 耐性に関する問題はなかった」という。しかし、やがて作物は耐性を獲得した。「最初は長年にわたって、1シーズンの間に何度もグリホサート系除草剤を使用 してきた地域から」だったという。

 

 ベンブルック氏よれば「スーパーウィードはGM作物に頼っている農家にとって大問題となっており、そうした農家は、除草剤使用量を毎年25%ずつ 増やさざるを得なくなっている」。さらに「今後、複数の除草剤に耐性のあるGM種子が新たに認可されることにより、除草剤の投入は平均使用量よりも、少な くとも50%は増えるというのが多くの専門家の予測」だという。

 

 米農務省は1月、ダウ・ケミカルが開発した複数の除草剤に耐性をもつGM種子の認可を検討することを発表した。その除草剤の中には、癌や筋萎縮性側索硬化症を発症させる可能性が指摘されている強力な農薬も含まれている。(c)AFP/Veronique DUPONT