・・・ 195 | 小説「無題」 - Never Despair, Over the Fate -

小説「無題」 - Never Despair, Over the Fate -

傷つけた人へ・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ ・・・佐々木 愁也












大学を辞めた後





僕は、相変わらず


アルバイトをしたり





たまに、ちょろっと


サポートメンバーとして


バンドに参加してみたり





好きな景色を探しに行ったり・・・・・・・











ふらふらと?





「えり」や、母親に話していた


通訳を目指す、というのは、どこへ行ったのか?







そんな生活を送っていたが






その嘘は、結局、最後まで


ばれることはなかった。









・・・・・・・・・・・・・









なぜならば






その、僕が言っていたことは


半分、嘘で、半分は本当だったからだ。










子供の頃から、国語や英語


「言葉」が・・・・・・僕は好きだった。







話す「言葉」や、書く「言葉」






言ってしまえば、ただの「線」の集合体と


多種の「音」、なのだが






それらは、それだけに留まらない


何か?不思議な魔力を秘めている・・・・・・・・・・・









千人が、同じ「言葉」を書き


そして声に発したとしても


それぞれの意味、込められた想いは違う。







それらは、時に誰かを


誤解させ、傷つけるが


喜びや、幸せな気持ちを


生み出してくれるものでもある。








言葉は・・・・・・人々の歴史







遥か昔に、人々が垣間見た


希望や・・・・・・絶望







未来へと託された


そんな想いの渦が


僕たちに力を与えてくれる・・・・・・・・・・










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










本当に正しい「言葉」とは





誰もが理解出来るほど


易しく、そして単純で





簡素で早く、短く、「心」へ届く。









だが、この世界には


そんな正しい「言葉」は、決して多くはない。






わざと難しく書いてあるんじゃないか?


わざと、難しく言っているんじゃないか・・・・?






そんなものが、巷に溢れ


大手を振って歩いている。









・・・・・・・・・・・・・・









だから・・・・・・・









わかり合えないのだ









と、僕は思っていた。











この世界の、全ての人々が


自分の想いを、漏れなく伝えられるような






そんな「言葉」、「言語」があれば・・・・・










争いは、無くならないかもしれないが


世界は、もっと平和に






人々は、もっと優しくなれるはずだ。









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












そんな、思想を持っていた


僕だったから





「通訳」を目指す、という嘘も


信ぴょう性があったわけだ。








正直、興味はあった。






「言語」や、「言葉」を扱う仕事は


今にして思えば、僕の天職に成り得たはずだ。









僕の頭が、おかしくさえ


なければ・・・・・・・・・・・・・・・







きっと、その道に進んでいただろうな。