どうしたニッポン! 最後のお家芸じゃないか!
【台北10日共同】剣道の第13回世界選手権は10日、当地で男子団体(5人制)が行われ、日本は準決勝で米国に2-3で敗れ、第1回大会から続いていた連覇が途切れた。日本は前日まで女子の団体、個人、男子個人をいずれも制し、この大会の全種目制覇を続けていた。準決勝で米国と対戦した日本は、今年の全日本選手権覇者の内村(警視庁)が勝つなど、2-1とリードしたが副将、大将がともに敗れ、逆転負けした。決勝は韓国が2-0で米国を下し、初優勝した。
・・・愕然 ∑(゚Д゚)
男子個人、女子が個人・団体優勝したのも束の間!剣道世界選手権で、しかも準決勝でアメリカに敗れるとは。ニッポンからも精鋭たちが出場しているため私には文句が言えないが・・・。
剣道は、柔道、相撲と共に並ぶニッポン古来の武道である。どちらかといえば武士の時代も長かったせいか「剣道」のほうがより親しみのある武道である。柔道、相撲は国際化もされテクニックもさることながら体重がモノをいう。しかし剣道は体格、年齢は関係ない武道である。まずは稽古の質と量、経験や遺伝子がモノをいう。
決勝の組み合わせは、日本×韓国だとばかり思っていた。
早くから韓国は剣道を取り入れ稽古も熱心であった。大学時代に、韓国の世界選手権の方たちと稽古や練習試合をさせていただいたことがある。印象としては、粗削りだが当てるのが上手いという感じだった。フェンシングのようなもので的に当てるといったほうが的確であろうか、いわゆるスポーツ剣道。まだそのレベルは大学生レベルであったと思う、私でも歯が立つという状況であった。その後の世界選手権の経過などを見ていると韓国がニッポンの座を脅かすのだろうなあと思っていた。
しかしである。ニッポンが負けた相手はアメリカである。
おそらく多くのニッポン人武道家がわたりニッポン文化の普及に貢献したのだろう。とても大変だったに違いない言葉、習慣・・・礼をする前の「蹲踞(そんきょ)」すら他国には習慣がないのだ。だから、世界に普及にしたのだから、ニッポンはまだまだ追いつかれてはいけないのだ。ニッポン内においても実力ある者たちの5年や10年間はそう簡単に埋まるものではない。毎日の地道な稽古と指導者の質、それに自分の精神力の積み重ねしかない。テクニックを覚えたからと言って、試合の本番で簡単に使えるものでもないのだ。
アメリカや韓国の選手達は相当な精神的鍛錬を積んできたに違いない。そしてモチベーションの高さに驚かされる(打倒ニッポンはモチを上げるにはもってこいなのだろうか?)
それはニッポンの代表選手は幼い頃から、質、量ともに群を抜いているからだ。サッカー王国ブラジルの子供たちのようなものと例えればわかりやすいだろうか。そして多くの選手は九州出身でもある。「剣道大国九州」といわれるほどに剣道は盛んで、中学、高校時代より全国に特待生として散らばっていくのである。その精鋭たちは剣道をできる環境を目指して職に就く。代表選手のほとんどは警察官や教員である。民間選手の場合は、本業も主であり、なかなか稽古に時間を取れない状況にあるのでそうはいかない。
剣道はまだまだマイナーだから民間でプロをやるには難しいのだろうが、ここにも一種の公務員的甘えがあるのかもしれない。サムライの国ニッポンであるならば、最後の砦は残しておかないとまずい。剣道の場合も技術的な部分においては鍛錬するほどに拮抗してしまう。それを補うのは稽古で育む精神力やニッポン人である誇りではないだろうか。