出国前のお話。
僕は、お見送りにきてくれた《しょうすけ君》のお母様と
ある約束をしました。
術後、ご本人は麻酔の影響でほとんど寝ています。
(個人差があります。)
日本で無事を祈り、待っているお母さんからすれば、
連絡が取れないことは、とても心配。
無事に手術が終わった時、代わりに
「連絡をお願いします」という約束です。
もちろん、快くお受け致します!
私たちアテンドは、こういったご依頼を受けることが多く。ご家族のお気持ち、お話を伺う機会が多いです
いつもいつも、思うこと
個人的な意見も大きいのですが。
手術により、性別変更により、私たちは
未来に大きな希望を持ちながら、手術を決断しています。
(個人差があります。少なくともご自身で決断して、手術、性別変更を望むほとんどの方は、希望をもっています。)
かつて僕自身も同じ気持ちでした。
手術、治療をする前。女性として生きていた時代ですね。
未来に一切の希望を持てませんでした。
女性として就職し。
女性として結婚し。
女性としてこれからの人生を過ごす。
何一つ、現実味がなく。
自分ごととして考えることが不可能でした。
それは、脳の性自認が(自分の性別を認識している部分)
生まれつき男性だったんだ。と今になって明確になりました。
以前、当時の自分は、そんな自覚もなく。
自分自身がよくわからないまま、
ひたすら現実、周りとのギャップに苦しんでいました。
手術をして性別を男性に変更し、
社会的にも男性として生活している今。
初めて自分の人生を歩き始めた実感があります。
もちろん、手術は絶対ではございません。
手術には必ずリスクがあります。
また、精神面でも個人差があり。
一人一人、それぞれに幸せの形はあります。
手術をしたからといって、
全員が必ず幸せになるわけではございません。
その上で希望を持ち、自ら手術を望む人たちのお手伝いがしたいと思っています。判断が難しいのですが、未来に希望のない、
人生に幸せが訪れない手術、アテンドは受け付けておりません。
こちらからお断りさせて頂くケースも数件ございました。
お父さん、お母さん、ご家族の方が心配されること。
「手術をして無事に目覚めるのだろうか?」
「性別を変えて、結婚できるのか?一生孤独か?」
「わざわざリスクを犯して手術する必要ないんじゃないか?」
たくさんのお言葉を聞いてきました。
これは、愛があるからこそ、心配だからこそのご意見で
決してないがしろにしてはいけない気持ちです。
中には、こういったご家族の心配する意見と対立し、
喧嘩をしてしまったり、疎遠になってしまうケースもたくさん見てきました。
結局は、ご家族で話し合い、和解するしか方法はないのですが。
たくさんの方の経験、たくさんの家族の形を見て、
直接お手伝いをしてきた私たちアテンドが言えること。
手術をして、戸籍を変更することで
お子様の人生の道は開けます。
明るい未来のために治療を選択しています。
「20年、30年以上、女性(男性)として生活できたから、
きっとこのままでも生きていける。」
と、こう思う気持ちも十分に理解できます。
愛情を持ち、一番近くで見てきた人達ですから
ただ、その数十年間は、性同一性障害の僕らにとって
計り知れないほどの孤独と。
生きるより死んだほうがましだと思うほどの苦しさです。
未来への希望なんてこれっぽっちもありません。
「いやいや、普通に女性(男性)として
それなりに楽しそうにしていたじゃないか。」
と思うかもしれませんが。
正確に言うとそうするしか生きる方法がなかったからです。
誰にも言えないかった。言わなかった。
誰に言っても理解してくれないとわかっていたから。
みんなとは違う自分を、自分が一番受け入れきれていなかった。
自分を殺して生きる以外、道がありませんでした。
性別を変えたいという気持ちは、当事者にしかわからない気持ちです。理解はできなくても、否定はしないであげてほしい。
間違いなく言える事は未来は明るいということ。
手術の選択は未来の希望のための選択です。
アテンドをやっていながらこう言うのはおかしいのですが。
ゆくゆく、近い将来は、手術をしなくても性別が変更できたり。
そもそも性別という狭い枠でとらわれない生き方ができたり。
結婚など、国の制度自体が大きく変わってほしいと思っています。
以前に比べて、認知も、理解も広がり
確実に良い時代になってきました。
より、我々の未来は明るいです。
確かに大変なことは多いですが、決して不幸ではありません。
ご家族の方は、当事者とは別の悩みがあります。
ご家族同士をつなぐイベントや、団体もご紹介可能です。
当事者以外の方のご相談も大歓迎です。
少しでもお役に立てれば嬉しいです。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
長文になりましたが。
ご家族含めて、前向きに生きていけるように。
安心して任せて頂けるような、アテンド会社を目指し続けたいと思っています。
それでは、お母さんとの約束の話から。
タイヤンヒー病院、手術記録ブログに戻ります!
つづく
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