11月13日の金曜日、パリで起きた同時多発テロに対して、オランド大統領は「戦争行為」と非難し、あらゆる手段を使って反撃すると声明を出し、シリアのISの拠点を空爆し全面対決の様相を示しました。
対してISは「同様のテロ攻撃を行う」と警告し、「必ずアメリカの中枢ワシントンを攻撃する」と新たな攻撃を行うと警告してきました。
そして16日、トルコで行われていたG20サミットでは「テロとの闘いで協働する」声明を発表しました。

 このように今回のテロは、中東の地域戦争から海外での大規模テロへ「世界規模の戦争」に広がったことを示しています。
オバマ米大統領はイスラム国(IS)を「悪の化身」と表現し、各国首脳も「国際社会が連携して立ち向かう」として、最終目的をイスラム国(IS)を壊滅させることだとしています。

 このイスラム過激派のテロとの闘いが、新しい時代の世界戦争に広がってしまう、恐ろしい時代に突入してしまいました。

 今年の始めにISにより日本人二人が拘束され殺害された際に、ISは声明を出し「安倍(首相)、お前はイスラム国から8500キロ離れているにもかかわらず、自発的に十字軍に参加した。」「おまえの無謀で決して勝てない戦争への参加という決定のせいで、このナイフは○○を殺すだけでなく、おまえたちがいるところは、どこでも虐殺が続いていくだろう。日本にとっての悪夢を始めよう。」と宣言しました。
 対して、安倍総理は「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わさせるために国際社会と連携していく。日本がテロに屈することは決してない。」と、相手の神経を逆なでするような声明を出しました。

 今後、われわれ日本人も日本国内でさえ、平和な日々を送れるとも限りません。
この争いが、どうすれば最小限の被害で沈静化できるのか?様々な角度から、みんなで考えていかなければいけません。

 ISの残忍なテロを決して認めることはできません。
その上で、先進国と呼ばれる欧米諸国を中心とした近代化文明の奢り、傲慢さが、このようなテロを生んでいるのではないか?という検証も必要です。

 十字軍のイスラム諸国での大量虐殺、大航海時代からの先住民の大虐殺と奴隷化による植民地支配、産業革命以降の近代化のグローバリゼーション…今の国際社会の価値観は、西欧列国が軍事力と経済力を武器に世界を支配してきた歴史の上に成り立っているとう側面もあるのではないでしょうか。
 
「自由と平等」そして「人権宣言」を掲げる市民革命発祥の地であるフランスのパリがテロの標的にされたのが象徴的でが、欧米が中心となって展開してきたグローバリゼーションの価値観の大きな転換期となるのではないか?と僕は思っています。
 
 環境問題を研究すると、「近代化」と呼ばれる西欧文明のグローバル化が成長の限界を超えて、環境破壊、地球温暖化、人口爆発、エネルギー問題、南北格差…など、持続不可能な社会を作り出しています。

すべての人々が「自由と平等」を謳歌して、成長と発展をめざす社会は素晴らしいと思いますが、そのための前提条件が「無限の空間と資源」があることです。
 しかし、宇宙船「地球号」と表現されるように、地球の生態系は有限です。
外周4万㎞の球体の表面、地球儀にニスを塗った程度の薄い生命圏の中で多様な生物が共存し、われわれは社会生活を営んでいます。

産業革命前は世界の人口が7億人でしたが、現在は73億人を超えました。
人口が10倍以上に増えたのだから、当然、一人当たりの生活水準は10分の1に下げなければバランスが取れません。
しかし、国際社会は果てしなく経済成長を目指しています。世界73億の人たちが、「何でも揃った便利で快適な生活」「自由で平等な社会」を求めて、今のアメリカ人と同じ生活水準で暮らそうとすると地球5.3個分の資源が必要となります。しかし、かけがえのない地球は一つしかありません。

日本も近代化する前の江戸時代は、鎖国をしていても持続可能な循環型社会が成立していました。
アメリカの先住民も、アフリカの原住民も、自然と共に自給自足の循環型生活を送っていました。植民地化されてコーヒーやカカオなどの輸出用作物の大量栽培をさせられたモノカルチャー経済、グローバル化が貧困・格差社会を生み出しました。

この閉じられた生態系である宇宙船「地球号」の中で、殺し合うことなく、愛と平和な社会を築くために、わたしたち人類は、どうすれば良いのか?
少なくても今の経済成長を第一とした近代化文明の先に未来はありません。
過去に学び、未来を夢見て、今をどう生きれば良いのか?
これからも研究し、答えを求めていきたいと思います。