昨日、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の協定案の全文が公開されました。
TPPを日本の経済成長戦略として期待している人達もいますが、ぼくは、食の安全から考えるとより問題が深刻化していくのが心配です。

 一昨年に「海辺のアウトドア料理研究所」を開設して以来、食について考えることが多くなりました。
我々は食事という形で、毎日、動物・植物の命を頂いて生きています。
「いただきます」とは命をいただく感謝の気持ちを表す言葉です。

 健康的な食事の基本は「身土不二」と「一物全体」です。
*「身土不二」とは、身体と環境(土地)は切り離せない関係にあり、その土地の旬の食材を食べること(地産地消)で気候風土にあった生命力をいただくことが健康の基。
*「一物全体」とは、食べ物の命を丸ごと頂くこと。無駄にしないこと。

豊かな自然の中で育った健康な命を無駄にせずにありがたく頂くことが、食物連鎖の頂点にいる人間にとっても最も大切なことだと思います。

 現代の食材の多くは、農薬や化学肥料を使った農業、ブロイラー飼育された畜産、食品添加物、遺伝子組み換えなど、「より早く、より大量に、より安く、見栄えだけは良く」生産するために、明らかに不健康で、目をふさぎたくなるような生産方法がとられています。

 TPPに参加することで、更にグローバル化した市場競争にさらされ、日本の国内食料自給率がさらに下がり、食品の質もさらに下がる可能性が大きいと思います。

 また残念なことに、このブログを書いている間でも、ニュースで「JAが東日本の11の県で販売した有機肥料の成分が偽装されていた問題」が扱われています。

 経済成長したところで、偽造された実態のわからない食品を食べさせられるのではなく、自然の中でじっくりと育った本物の生命力のある食事を安心して食べられる社会になって欲しいものです。