歴史に残る古典作品は、時空を越えて現代でも参考になる「永遠の真理」に満ちています。

今年の夏は、日本唯一のダンテ研究学者である藤谷道夫教授の解説で、中世イタリアの政治家・哲学者でもあった詩人ダンテの「神曲」を研究しました。
「ダンテの「神曲」からルネサンスが始まった」と言われるだけあって、旧約・新約聖書や古代ギリシャの叙事詩から中世までの思想や数学をすべてマスターした上で、より高次元の表現で真理を表わしていく、一人の人間としての力量の大きさに驚かされます。人類史の中で輝く偉人の一人だと改めて思いました。

その中で参考になったエピソードを一つ。

人間の持つ三つの悪への衝動を三匹の獣(豹・獅子・雌狼)をモチーフに描いています。

その三つの悪とは、「傲慢」と「嫉妬」と「貪欲」

特に中核となるのが「嫉妬」
旧約聖書の中では、アダムとエヴァの幸福なさまに嫉妬を覚えたルチーフェロ(堕天使)が蛇に化けてエヴァをそそのかし、アダムとエヴァに原罪を犯させました。
カインがアベルを殺した原因も嫉妬です。

「嫉妬」という感情が、様々な悪への衝動に繫がっていきます。

現在の日本に於ける政治の世界をみても
自分より優秀な者を潰そうとする「嫉妬」、少しでも多く利益にあずかろうとする「貪欲さ」、権限にあぐらいかいた「高慢さ」が、多くの政治家の間に渦巻いているようです。

政治の世界だけではなく、ビジネスの世界、そして日常生活全般でも言えることですが、自分の中に潜む己心の魔「嫉妬」「高慢」「貪欲」を注意深くチェックし、コントロールすることが大切だとつくづく思います。

「他人の不幸は蜜の味」と言いますが、「他人の不幸を共に悲しみ、他人の幸福を心から共に喜ぶ」人間でありたい。そう思います。

Be gentleman!