今日は妻に連れられて、梅田サイファーの金沢でのライブを聴きに行った。自分自身、曲をしっかり知っているわけではないが初めて参加する系統のライブということもあり期待して参加した。
結果的に、想像の10倍くらい良いものだった。
まず、ヒップホップトラックの重低音と、耳がジンジンするほどのビート。箱がそれほど大きくなかったので、文字通り心臓を震わすくらいの凄まじい振動がダイレクトにぶつかってくるのが気持ちよく、熱い気持ちが自然と込み上がってきた。やらされている感は全くなく、手を振り続けていた。
そして強烈なビートに巧みに乗っかってくるラップ。くさびを打つようにハッキリとリズムを強調してくる人もいれば、細かいフレーズを超高速で繰り出す人、メロディラインを担当する人、独特な声を持っていて声を発するだけで全体の中でフックとなっている人。身振り手振りのアクションが印象的で、体も大きく前に来るだけで存在感のある人。色々なタイプのラッパーがいて、面白かった。
音楽面では、繰り返しフレーズのおいしさに改めて気付かされた。タタタ・タタタという三連符のフレーズが繰り返されたり、タタッッタタッッという16分フレーズが繰り返されたりするパターンが多かったが、単調と感じることは全くなくむしろ気持ちの良いものだった。その考え方は、ギターでのアドリブに取り入れていきたい。
さてビジュアル面もみんなワルそうな感じがかっこよかったし、12人もいて系統があまり被っていないのが良かったな。
個人的に、ラッパーとして輝いていたのはテイクエムさん。声が個性的で、メロディを受け持つことも多く、歌うだけで曲の空気を支配しているような雰囲気があった。
そして、ステージの立ち振る舞いがとにかく楽しそうで輝いていたのがKGさん。終始ニコニコしながらメンバーと絡んだり、客席に目を向けている様子が印象的だった。
ラップが純粋に巧みだと感じたのはケニーダズさんだった。
全体を通して客のノリもよく、コールアンドレスポンスも含めてライブが完成している印象があった。(ヒップホップの客には、クラシックのようにただの聞き手ではなく、自分たちも参加してライブを作り上げるというマインドがあるのかもしれない。ジャズのライブのように、ソロが終わったら拍手や歓声があがるのとは違っていて、より積極性が感じられると思った)
他のアーティストに比べると曲間のMCの比重が高く、メンバーが大阪由来ということもあるだろうか話が面白かった。
その中で行われた即興のサイファーも、曲とは違う楽しさ、ライブ感があって面白かった。
中でも、テイクエムさんのMCから、内容がリンクする次の曲がスタートするというところがあまりに巧みで感動した。
そのMCの内容がとても良かった。
彼らは結成以来、夢をずっと純真に追い続けたわけではないということだそうだ。30歳を超えてみんな家庭を持ち、馴染みのクラブからはラッパーの先輩がポツリポツリといなくなる。辞めた彼らの中には、家庭のため、敢えて自分の意思でヒップホップを嫌いになり、好きであることを「卒業」した人もいるはずだ。そんな中でテイクエムさんは、好きであることを「留年」し続けてきたのだと。
思うに、卒業はその語感の通り決して悪いことではなく、生活のためには仕方ないことだし、世間からすると好きから卒業するほうが好ましいということはあるだろう。むしろ、人生を円滑に生きて行く上で、好きなことを自分の意思で嫌いになって決別し「卒業」する人は多いのだろう。自分も30歳を迎えるので分かるが、「まぁもう若くないんだから」という世間体が気になってくる歳なのだ。
留年というのは、卒業したくてもできない人というマイナスなイメージがある。彼らは、「この年齢で落ち着かずまだそんなことやってるの?」という世間体や、生活していけるのかという自分自身の中での焦りと向き合いながらも好きをやめられず、好きを「留年」してきたということなのだ。
自分自身、好きであるあまりに真剣に向き合いすぎて、その裏返しでうまく行かないことに腹を立て、自らの意思で嫌いになり、そして辞めてしまおうかなと思うことはある。でもそうじゃなくて、好きを卒業する必要はなく、好きはそのままに、留年すればいいのか。
周りから見るとかっこよくなくても、例え同情の目で見られようとも自分が好きなことを続け「留年」することは美しいように思うし、細々とでも続けていくことの意義を語っているように思った。
ライブ終わりにはメンバー全員のサイン会が開催されるという大盤振る舞いがあった。相当激しいライブだったのでお疲れのはずだろうが、非常に立派な姿だった。
観客のほとんどがサイン会に参加していたのではなかろうか。梅田サイファーのファン層は、髪をガンガンに染めてピアスやダメージジーンズを着用、パーカーはフードを被ってという人が大半かと思いきや(偏見で、すみません)
案外みんな普通の格好で、若者が多いものの、40代くらいまでの人はそれなりにいた。小さな子供もいた。
さて、つらつらと書きましたがライブの感想はこんなところです。とても良いライブでした。
