私は将棋については全く明るくないのだが、三浦弘行九段の「将棋アプリ使用疑惑」についてはとても気の毒に思う。
対局中に不自然な退出が多いとのことで、スマホの将棋アプリでカンニングをしているのではないかと一部の棋士から疑われ、連盟からもクロ扱いされ、マスコミも連盟の発表を鵜呑みにし報道した一件だ。
連盟は第三者委員会を組織し、不正があったかどうかを調査した。
その結果、不正の証拠はないという判断が下され、三浦九段のシロが確定した。
スマホの解析もしたということだし、さらに使用が疑われたアプリの手と、対局で実際に打たれた手とを比較しても、特別に合致率が高かったわけではなかったらしい。
その程度の調査、なぜ疑いがかかった段階ではすぐにやらなかったのか。
なぜいきなり犯人扱いしたのか。
そしてなぜそれを大々的に発表したのか。
これは要するに冤罪事件だ。
「あいつが怪しい!」と誰かが大声で言ったが為に、すっかり犯人になってしまったただの通りすがりの人。
「怪しい人を逮捕しました」
「怪しい人が逮捕されました」
「ふーん、逮捕されたんだから悪い人なんだろうな」
こればかりだ。
本当にウンザリする。
今回の場合は将棋界の中での不正であって、決して犯罪を疑われたわけではないが、構図としては同じだ。
誰かに疑われた瞬間にアウトになってしまった。
結果的にシロと判明し、わりと大きく報道されたが、おそらく失ってしまったものは大きい。
それはそう簡単に取り戻せるものではない。
ある意味ではマスコミは、三浦九段の生命の一つを奪った人殺しと言える。
なぜちゃんと検証して報道しないのか。
なぜ無罪の可能性を無視するのか。
軽率な判断をした連盟の罪はもちろんだが、発表を垂れ流して思考を停止させてしまったマスコミの罪も重いと私は思う。
一人の人の人生を狂わせた事実を重く受け止めろ。
それはマスコミにとってお客様となる私達についても同様だ。
私達がバカだと舐められているから、マスコミは分かりやすさばかりを追求するのだから。
メディアリテラシー教育をもっと本格的に。





ではまた。