娘が妻と一緒に出て行ったのは
娘が小学生の時だった


そのとき泣いて
いないものと諦めたからか
懺悔も後悔も
しつくしたからか


再び娘に会いたいと思うことは
薄情と言われようが
正直あまり無かった


とはいえ
養育費を払っているからには
会わねば損と連絡をとった


「へぇ~会いたいんだ」


と、意外そうに思われながらも
元妻は娘に会うことを了解してくれた


二年ぶりに会う娘とは
駅ビルの本屋の前で
待ち合わせた


そこには記憶の中の姿より
三十センチも背の高い
メガネまでかけた
中学生になったばかりの娘が
ヒョロヒョロと立っていた


「父ちゃんが本好きだから待ち合わせ場所を本屋にしたんだ」


娘は小さな声で言った

小学生の時は
小説家になるのが
夢だったほど
本好きの娘


娘の本好きは
オイラの影響だったのか


なんとも表現できない想いが
胸の奥深くをつついた

ような気がした


つづく…