5: 「目の見えない世界を理解する:視覚障害者の日常と挑戦(3)」続き
目次
11. 視覚障害者と情報機器
11.1 情報機器の役割と利便性
11.2 視覚障害者向けのアプリ
11.3 未来のテクノロジー
12. 視覚障害者の福祉制度
12.1 現行の福祉制度
12.2 支援の種類と受け方
12.3 福祉制度の改善点
13. 視覚障害者を支援する法律
13.1 法律の現状
13.2 法的支援の種類
13.3 国際的な視点からの法整備

11. 視覚障害者と情報機器

11.1 情報機器の役割と利便性

視覚障害者にとっての情報機器

情報機器は、視覚障害者にとって日常生活や社会参加を支える重要なツールです。視覚情報を音声や触覚情報に変換することで、情報取得やコミュニケーションを円滑に行うことができます。
情報アクセスの拡大
音声読み上げソフトや点字ディスプレイを利用することで、書籍やインターネット上の情報にアクセスできます。
音声読み上げソフトは、画面上の文字を音声に変換して読み上げます。
点字ディスプレイは、画面上の文字を点字に変換して表示します。
近年は、AI技術を活用した画像認識ソフトも開発されており、画像の内容を音声で説明したり、人物や物体を認識したりすることが可能になっています。

参考情報
情報処理推進機構「音声読み上げソフトの選び方と使い方」
https://www.jipdec.or.jp/eventseminar/event/20230803seminar.html
視覚障害者情報センター「点字ディスプレイ」
https://barrierfree.nict.go.jp/topic/service/20140912/page2.html
IPA「AIを活用した情報アクセシビリティ技術の開発」
https://english.jipdec.or.jp/
コミュニケーションの支援
スマートフォンやパソコンを利用した音声入力や音声出力機能は、視覚障害者が他者とコミュニケーションを取る際に役立ちます。
音声入力は、話した言葉を文字に変換して入力できます。
音声出力は、画面上の文字を音声に変換して読み上げます。 SNSやビデオ通話などのオンラインツールを活用することで、時間や場所にとらわれずにコミュニケーションを取ることができます。

参考情報
総務省「情報バリアフリー・テレワーク推進ポータルサイト」
https://www.soumu.go.jp/
テレワーク推進事務局「情報バリアフリーテレワークガイドライン」
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/suisinkyo/dai10ki/10_bukai_5_giji.files/20151102_03.pdf
情報機器の利便性
情報機器は、視覚障害者の自立生活を支援し、移動の安全性向上や教育・学習のサポートにも役立っています。
自立生活の支援
音声付き家電製品やスマートスピーカーなどの情報機器は、日常生活での様々な活動をサポートします。
音声付き家電製品は、音声で操作できるため、視覚障害者でも簡単に操作できます。
スマートスピーカーは、音声で情報収集や家電製品の操作などができます。
音声ナビゲーションシステムや音声付き段差検知器などの福祉機器は、視覚障害者が安全に移動するためのサポートを提供します。

参考情報
テレワーク推進事務局「情報バリアフリーテレワークガイドライン」
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/suisinkyo/dai10ki/10_bukai_5_giji.files/20151102_03.pdf
厚生労働省「バリアフリー情報通信機器の開発・普及促進事業」
https://www.mhlw.go.jp/stf/english/index.html
移動の安全性向上
GPS機能付き携帯端末や音響案内付き信号機は、視覚障害者が安全に移動するための重要なツールです。
GPS機能付き携帯端末は、現在位置や目的地までのルートを音声で案内します。
音響案内付き信号機は、信号機の状況を音声で案内します。
近年は、ウェアラブルデバイスやAR技術を活用したナビゲーションシステムも開発されており、より精度の高い案内が可能になっています。

参考情報
国土交通省「バリアフリーナビゲーションシステム」 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/sogoseisaku_soukou_mn_000002.html
情報通信研究機構「ARを活用した視覚障害者向け歩行支援システム」
https://jbict.net/survey/at-survey-03

教育と学習の支援

オンライン学習サービスや遠隔教育システムの普及により、視覚障害者も場所や時間に制限されずに、質の高い教育を受けることができるようになっています。

主なメリット
時間や場所の制約を受けずに学習できる
通学の必要がなく、自宅や外出先など、好きな場所で学習できます。
自分のペースで学習を進めることができ、理解度に合わせて繰り返し学習することも可能です。
多様な学習コンテンツ
映像授業、音声教材、点字教材など、様々な形式の学習コンテンツが用意されています。
専門性の高い講義や、レアな分野の学習も可能になります。
双方向型のコミュニケーション
オンラインチャットやビデオ通話機能などを活用し、講師や他の学生と交流することができます。
質問や疑問をリアルタイムで解決できるため、理解度を高めることができます。

代表的なオンライン学習サービス・遠隔教育システム
大学開放型科目(科目等履修支援制度)
全国各地の大学が提供する公開講座を受講することができます。
オンラインで受講できる科目も多く、自宅にいながら大学の授業を受けることができます。
詳細は、文部科学省のホームページ 
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1423055_00015.htmを参照してください。
eラーニングプラットフォーム
民間企業が運営するeラーニングプラットフォームでは、ビジネススキルやITスキルなど、様々な分野の講座を受講することができます。
無料で受講できる講座も多く、気軽に新しい知識を身につけることができます。
代表的なプラットフォームとしては、Udemy、Schoo、Courseraなどがあります。
オンライン予備校
大学受験や資格試験対策のためのオンライン予備校も充実しています。
個別指導や模擬試験など、きめ細やかなサポートを受けることができます。 代表的なオンライン予備校としては、スタディサプリ予備校、東進オンライン予備校、Z会オンライン予備校などがあります。

その他、視覚障害者向けの学習支援サービス
視覚障害者向けオンライン図書館
点字本や音声朗読本などをオンラインで借りることができます。
自宅にいながら、豊富な蔵書を利用することができます。
代表的なオンライン図書館としては、国立国会図書館視覚障害者サービス、さいたま市立図書館視覚障害者サービスなどがあります。
視覚障害者向け学習支援団体
視覚障害者向けの学習支援を提供している団体があります。
学習方法や情報機器に関するアドバイスを受けることができます。
代表的な団体としては、全国視覚障害者情報図書館協議会、視覚障害者教育推進センターなどがあります。
情報機器の発展とオンライン教育の普及により、視覚障害者の学習環境は大きく改善されています。これらのサービスを有効活用することで、より質の高い教育を受けることが可能になっています。

参考情報
文部科学省「大学開放型科目(科目等履修支援制度)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1423055_00015.htm
視覚障害者情報センター「視覚障害者向け学習支援サービス」
https://barrierfree.nict.go.jp/
全国視覚障害者情報図書館協議会「全国の視覚障害者向け図書館一覧」
https://www.jla.or.jp/portals/0/html/lsh/

その他
上記の情報は、2024年5月時点のものであり、今後変更される可能性があります。
最新の情報については、各サービスのホームページ等でご確認ください。

11.2 視覚障害者向けアプリ

視覚障害者向けアプリは、日常生活の様々な場面で視覚障害者の自立と社会参加をサポートする強力なツールとして、近年注目を集めています。ここでは、2024年5月25日時点の最新情報に基づいて、代表的なアプリとその機能、利便性、さらに詳細な情報源をまとめました。

1. Seeing AI:AIによる多機能な視覚支援
機能
周囲の環境やテキストをカメラで捉え、音声で説明してくれる
テキスト認識、人物認識、物体認識、バーコード読み取り、顔認識、感情認識など、多機能
リアルタイムの音声ナビゲーション 音声ガイド付き操作
シーン認識による最適なモード選択
写真撮影と音声説明の保存
翻訳機能
利便性
視覚障害者が周囲の状況を理解し、日常生活を安全に送るのに役立つ
外出先での情報収集やコミュニケーションをサポート
読書や学習に活用できる
趣味や娯楽の幅を広げる
詳細情報
Seeing AI 公式サイト: 
https://www.seeingai.com/
Seeing AI 使用ガイド: 
https://hadleyhelps.org/sites/default/files/2020-05/Seeing%20AI%20App%20Low%20Vision%20QSG.pdf

2. Be My Eyes:ボランティアによるリアルタイム支援
機能
視覚障害者と視覚支援を提供するボランティアをビデオ通話でつなぐ
視覚障害者が困難な状況に直面した際、ボランティアがリアルタイムで支援を提供
翻訳機能
チャット機能
音声メモ機能
ソーシャルメディア共有機能
利便性
困ったときにすぐに支援を求めることができる
さまざまな言語に対応
ボランティアとの交流を通して、社会とのつながりを深めることができる
詳細情報
Be My Eyes 公式サイト: 
https://www.bemyeyes.com/
Be My Eyes ボランティア登録: 
https://support.bemyeyes.com/hc/en-us/categories/360000920938-Sighted-Volunteer

3. Eye Navi:歩行を安全にサポート
機能
目的地までのナビゲーション
障害物の検出
警告音による危険回避
音声ガイド
歩行レコーダー
過去の歩行履歴確認
利便性
安全に歩行できる
目的地まで迷わずに行ける
障害物を事前に把握することで、転倒などの事故を防ぐことができる
歩行履歴を振り返ることで、歩行改善に役立てることができる
詳細情報
Eye Navi 公式サイト: 
https://apps.apple.com/jp/app/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%93/id6446274102
Eye Navi 取扱説明書: 
https://www.sony.jp/ServiceArea/impdf/sc-smc-sc-8772.html 
4. TapTapSee:カメラで物体を認識
機能
カメラを使って物体を認識し、音声で説明してくれる
物体名、ブランド、バーコード情報などを提供
物体に関する詳細情報を検索
音声読み上げ速度調整
複数の言語に対応
利便性
周囲の物体を理解し、日常生活をより便利にすることができる
買い物や料理などの場面で役立つ
外出先で分からないことがあれば、すぐに調べることができる
詳細情報
TapTapSee 公式サイト: 
https://taptapseeapp.com/
TapTapSee ユーザーガイド: 
https://taptapseeapp.com/instruction.html

5. NaviLens:特殊タグによる情報提供
機能
カメラを使って特殊なタグをスキャンし、音声で情報を提供
公共交通機関や施設内での案内
イベント情報やクーポン情報
音声読み上げ速度調整
複数の言語に対応
利便性
視覚障害者が自立して移動するのを助ける
公共交通機関や施設をより便利に利用できる
最新情報やお得な情報を取得できる
詳細情報
NaviLens 公式サイト: 
https://www.navilens.com/
NaviLens 導入事例: 
https://www.navilens.com/

11.3 未来のテクノロジー覚

障害者向けのテクノロジーは、近年目覚ましい進化を遂げており、今後も更なる進歩が期待されています。本稿では、視覚障害者の自立と社会参加を促進する未来のテクノロジーについて、詳細な情報と最新動向を解説していきます。
1. AIとジェネレーティブAIの進化:情報収集と周囲状況把握の強化

AI技術の進歩は、視覚障害者支援ツールの精度を飛躍的に向上させます。特に、ジェネレーティブAIは、音声認識や画像認識の精度を飛躍的に高め、リアルタイムでの周囲状況説明機能を実現します。これにより、視覚障害者は周囲の情報をより詳細に把握し、安全かつ自立的に行動できるようになります。
参考情報
ジェネレーティブAI技術の最新動向:
https://en.wikipedia.org/wiki/Generative_artificial_intelligence
視覚障害者向けAI支援ツールの事例: https://www.mdpi.com/2076-3417/12/5/2308
2. ARとVR:安全な疑似体験と移動訓練
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)技術は、視覚障害者が安全な仮想環境内で移動や体験を練習できる環境を提供します。例えば、AR技術を用いて実際の環境を仮想的に再現し、安全に新しい場所を探索したり、VR技術を用いて仮想空間での移動訓練を行うことができます。
参考情報
視覚障害者向けAR/VR技術の活用事例:
https://www.perkins.org/resource-center/
AR/VR技術の最新動向:
https://en.wikipedia.org/wiki/Virtual_reality
3. 生体認証技術:デバイス操作の簡便化と安全性向上
生体認証技術の進歩は、視覚障害者がスマートフォンやその他のデバイスにアクセスする際の利便性を大幅に向上させます。顔認証や音声認証の精度向上により、パスワード入力等の煩雑な操作が不要となり、より直感的で安全なデバイス操作が可能になります。
参考情報
視覚障害者向け生体認証技術の導入事例:
https://m.youtube.com/watch?v=cUSeFnZGIzY
生体認証技術の最新動向:
https://en.wikipedia.org/wiki/Biometrics
4. ウェアラブルデバイス:健康管理と情報提供の強化
ウェアラブルデバイスは、視覚障害者の健康状態をモニタリングし、必要な情報をリアルタイムで提供します。心拍数や歩数などの健康データ収集に加え、障害物検知機能やGPSナビゲーション機能を備えたスマートグラスも登場しており、安全な移動と情報収集を支援します。
参考情報
視覚障害者向けウェアラブルデバイスの事例:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5877379/
ウェアラブルデバイスの最新動向:
https://en.wikipedia.org/wiki/Wearable_technology
5. インテリジェントアシスタント:日常生活における情報収集とタスク管理の支援 インテリジェントアシスタント(AIアシスタント)は、日常生活における情報収集やタスク管理を支援します。視覚障害者は音声で指示を出すことで、インターネット検索やスケジュール管理、リマインダー設定などをアシスタントに代行してもらうことができます。これにより、より自立した生活が可能となります。
参考情報
視覚障害者向けインテリジェントアシスタントの事例:
https://www.microsoft.com/en-us/accessibility
インテリジェントアシスタントの最新動向:
https://en.wikipedia.org/wiki/Virtual_assistant
6. 自動運転技術:移動手段の自由度向上と社会参加促進
自動運転技術の進展は、視覚障害者の移動手段として大きな可能性を秘めています。完全自動運転車が普及すれば、視覚障害者も自由に移動できるようになり、通勤や通学、買い物などの日常生活における行動範囲が大幅に広がり、社会参加の促進が期待されます。
参考情報
視覚障害者向け自動運転技術の開発状況:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34237416/
自動運転技術の最新動向:
https://en.wikipedia.org/wiki/Self-driving_car

7. その他の注目技術
音声読み上げ技術:書籍や文書、Webサイトの情報へのアクセスを可能に

音声読み上げ技術は、書籍や文書、Webサイトなどの情報を音声に変換して読み上げる技術です。視覚障害者が、従来は困難だった情報へのアクセスを可能にし、読書や学習、情報収集の機会を大幅に広げます。
主な機能
書籍や文書をスキャンし、テキストデータに変換
テキストデータを自然な音声に変換して読み上げ
読み上げ速度や声質の調整
読み上げ箇所の前後へスキップ
特定の単語やフレーズを検索
最新技術
AI技術を活用した音声読み上げ技術の進化により、より自然で滑らかな読み上げが可能に
読み上げ速度や声質を個人の好みに合わせて調整できる機能
読み上げ内容を要約したり、理解度を確認する質問をしたりする機能
外国語の翻訳機能
参考情報
音声読み上げ技術の仕組みと種類:
https://ondoku3.com/ja/
視覚障害者向け音声読み上げソフトの比較: https://forest.watch.impress.co.jp/library/nav/genre/pic/

点字ディスプレイ:点字による情報表示と操作

点字ディスプレイは、点字を使って情報表示や操作を行う機器です。視覚障害者が、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器を点字で操作することを可能にし、情報へのアクセスとコミュニケーションの機会を拡大します。
主な機能
パソコンやスマートフォンの画面情報を点字に変換して表示
点字入力装置を使って、点字で文字を入力
カーソル移動や操作を点字で行う
ブラウザ操作やメール作成、文書編集などの作業が可能
最新技術
高解像度で高精度の点字表現が可能になった
カラー点字表示やグラフィック点字表示に対応したモデル
点字入力速度を向上させる機能
音声読み上げ機能と連携したモデル
参考情報
点字ディスプレイの仕組みと種類:
https://nichimo-hp.normanet.ne.jp/yogu/
視覚障害者向け点字ディスプレイの選び方:
https://monitors.allabout.co.jp/a16993/

スマートスピーカー:音声による情報収集と操作

スマートスピーカーは、音声コマンドで操作できるスピーカーです。視覚障害者が、音声だけで情報収集や家電操作を行うことを可能にし、生活の利便性を向上させます。
主な機能
ニュースや天気予報、音楽などの情報を音声で提供
スマートフォンのアラーム設定やタイマー操作
家電製品の電源オン/オフや音量調整
インターネット検索や音声通話
最新技術
音声認識精度が向上し、より自然な会話が可能に
複数人の音声を識別できる機能
音声翻訳機能
スマートホーム家電との連携
参考情報
スマートスピーカーの仕組みと種類:
https://kakaku.com/search_results/%83X%83%7D%81%5B%83g%83X%83s%81%5B%83J%81%5B/
視覚障害者向けスマートスピーカーの使い方:
https://www.ueyesdesign.co.jp/blog/?p=1778

視覚障害者向け地図アプリ

視覚障害者向け地図アプリは、音声案内や触覚ナビゲーション機能に加え、様々な機能を提供することで、安全で快適な移動を支援します。

詳細機能
音声案内 リアルタイムの音声案内で、現在地や目的地までの距離、方向などを詳細に知らせます。
進行方向や交差点、横断歩道などの情報を分かりやすく伝え、安全な歩行をサポートします。
複数言語に対応しているアプリも多く、海外旅行にも安心して利用できます。
触覚ナビゲーション
スマートフォンの振動や音声で、方向や距離を触覚で伝える機能です。
視覚情報が得られない場合でも、直感的に経路を把握することができ、安心して移動できます。
一部のアプリでは、ウェアラブルデバイスと連携し、より精度の高い触覚ナビゲーションを提供しています。
障害物・段差回避
段差や障害物などの情報を事前に通知し、安全な移動をサポートします。
カメラやセンサー技術を活用して、段差や障害物を検知し、音声で知らせてくれます。
一部のアプリでは、白杖と連携し、より精度の高い障害物検知機能を提供しています。
公共交通機関情報
路線図や乗り換え案内、時刻表などを表示し、公共交通機関の利用をスムーズにします。
路線バスや電車だけでなく、地下鉄や路面電車などの情報も網羅しているアプリが多くあります。
バリアフリー情報や混雑状況なども確認できるアプリもあり、安心して公共交通機関を利用できます。
施設情報検索
目的地周辺の施設情報を検索し、音声で読み上げることができます。
レストランやコンビニエンスストア、病院や公共施設などの情報だけでなく、トイレやエレベーターなどのバリアフリー情報も検索できます。
一部のアプリでは、音声で施設情報検索を行うことも可能です。
その他
音声メモ機能
家族や友人への位置情報共有機能
緊急通報機能
オフラインモード
最新情報
AI技術を活用した経路探索機能
より最適なルートを提案するだけでなく、利用者の過去の行動履歴や時間帯、天候などを考慮した提案も行う機能が開発されています。
さらに、混雑状況や障害物回避などを考慮した、より安全で快適なルートを提案する機能も開発が進んでいます。
AR技術を活用した周囲環境表示機能
スマートフォンのカメラとAR技術を活用し、周囲の環境を3Dで表示する機能が開発されています。
視覚情報が得られない場合でも、周囲の状況を把握し、安全に移動することが可能になります。
一部のアプリでは、音声案内と連動し、より詳細な情報を提供する機能も開発されています。 3D音響技術による空間認識支援
3D音響技術を活用し、周囲の物体の位置や距離を音で伝える機能が開発されています。
視覚情報が得られない場合でも、空間を認識し、より安全に移動することが可能になります。
一部のアプリでは、白杖と連携し、より精度の高い空間認識支援機能を提供する機能も開発されています。
障害物検知機能の精度向上
カメラやセンサー技術の進歩により、障害物検知機能の精度が向上しています。
段差や障害物だけでなく、段差の高さや障害物の種類なども検知できるようになっています。
一部のアプリでは、AI技術を活用し、より精度の高い障害物検知機能を提供しています。
参考情報
視覚障害者向け地図アプリの比較:
https://focus-platform.com/www.watch.impress.co.jp
視覚障害者向け地図アプリの選び方:
https://eyenavi.jp/
視覚障害者向け地図アプリの活用事例:
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20231206/2020023971.html

まとめ

視覚障害者向け地図アプリをはじめ、さまざまなテクノロジーが開発されています。AI技術やAR技術、3D音響技術などの最新技術を活用した機能も開発されており、今後も更なる進化が期待されます。


12. 視覚障害者の福祉制度

12.1 現行の福祉制度
視覚障害者向けの主な福祉制度

視覚障害者を支援するための福祉制度は、多岐にわたり、日常生活や社会参加を支えるための様々なサポートが提供されています。以下に、主な福祉制度について詳しく説明します。

1. 自立支援サービス

視覚障害者が自立した生活を送るために、自治体や福祉施設が提供する様々なサービスがあります。以下はその一例です。
歩行訓練士による移動支援: 白杖の使い方指導や、公共交通機関の利用方法の訓練など、安全で自立した移動を支援します。
日常生活動作訓練: 調理、洗濯、掃除などの日常生活動作を安全にこなせるよう、訓練士がサポートします。
情報保障サービス: 音声読み上げソフトや点字ディスプレイなどの機器を用いて、情報へのアクセスを支援します。
リハビリテーション: 視機能訓練や、視覚障害に伴う身体機能の維持・向上のための訓練を行います。

2. 日常生活用具の給付
 視覚障害者が日常生活を円滑に送るために必要な用具が給付されます。以下はその一例です。
白杖: 様々な長さや種類の白杖が用意されており、用途や視覚状況に合わせて選ぶことができます。
点字ブロック: 白杖で触って歩行経路を確認できるブロックです。
音声読み上げ機能付き機器: はかり、時計、電卓など、音声で情報を伝える機器です。
点字プリンター: パソコンで作成した文書を点字で印刷することができます。

3. 相談支援

視覚障害者やその家族が利用できる相談窓口が設置されており、福祉サービスの利用方法や生活上の悩みについての相談が可能です。また、以下のような支援を提供する施設もあります。
視覚障害者総合相談センター: 視覚障害に関するあらゆる相談に対応できる専門的な相談窓口です。
精神保健福祉センター: 視覚障害に伴う心理的な悩みや不安への相談や、カウンセリングを提供します。
家族相談支援センター: 視覚障害者を抱える家族の悩みや不安への相談や、家族関係の改善に向けた支援を提供します。

4. 教育・就労支援

視覚障害者の教育や就労を支援する制度も充実しています。以下はその一例です。
特別支援学校: 視覚障害に特化した教育課程を提供し、必要な知識や技能を身につけることができます。
高等教育機関における支援: 大学や専門学校において、視覚障害学生向けのサポート体制が整備されています。
就労支援センター: 職業訓練や就職活動の支援を受けられる施設です。
雇用機会均等法: 視覚障害者の雇用を促進するための法制度です。

5. レクリエーションと文化活動

視覚障害者がレクリエーションや文化活動に参加できるようにするための支援も行われています。以下はその一例です。
視覚障害者スポーツ: 盲導犬レース、ゴールボール、パラリンピック競技など、様々なスポーツを楽しむことができます。
音楽活動: 点字楽譜を用いて演奏したり、音楽鑑賞を楽しんだりすることができます。
文化活動: 美術館や博物館での触覚展示、朗読会、講演会などの文化活動に参加することができます。

おすすめのリソースと情報源
全国視覚障害者情報センター: 視覚障害に関する総合的な情報提供サイトです。福祉制度や支援サービスに関する情報だけでなく、イベント情報や求人情報なども掲載されています。 https://www.naiiv.net/
ヘルプネットわいわい: 視覚障害者向けの情報提供サイトです。日常生活に関する情報や、福祉制度に関する情報、イベント情報などを掲載しています。
https://www.helpnet.ro/contact
視覚障害者コミュニティ: 視覚障害者同士が交流できるオンラインコミュニティです。情報交換や、互いの経験を共有することができます。

情報収集のポイント
最新の情報は、自治体や支援センターのウェブサイトなどで確認しましょう。
視覚障害者向けの情報提供サイトや、視覚障害者コミュニティなどを活用しましょう。
複数の情報源を比較検討し、自分に合った情報を選びましょう。

参考情報
厚生労働省: 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/index.html

12.2 視覚障害者向け支援の種類と受け方
視覚障害者向けの支援の種類

視覚障害者向けの支援は、多岐にわたるサービスがあり、生活のあらゆる場面で支援を受けることができます。主な支援の種類は以下の通りです。

1. 居宅介護
自宅での生活を支援するサービスで、入浴、排泄、食事の介助、家事支援、生活に関する相談や助言などを含みます。障害支援区分に応じて、必要な支援内容と量が決まります。

2. 日中活動支援
日中に社会との接点を持ち、生産的な活動に参加することを支援するサービスです。療養介護、生活介護、短期入所などが含まれます。就労、ボランティア活動、趣味活動など、個々のニーズや目標に合わせた活動支援を受けることができます。

3. 施設入所支援
施設に入所して日常生活の支援を受けるサービスです。入所支援、短期入所、生活介護などがあり、安全で安心な環境の中で必要なケアを提供します。視覚障害による生活上の困難を軽減し、自立した生活を目指せるよう支援します。

4. 訓練等給付
自立訓練や就労支援を提供するサービスで、視覚障害者が自立した生活を送るために必要なスキルを習得します。職業訓練、職場適応支援、情報保障機器の操作訓練などが含まれます。就職や社会参加を希望する方にとって、必要な知識やスキルを身につけるための支援を受けられます。

5. その他の支援 上記以外にも、視覚障害者向けの様々な支援制度があります。例えば、以下のような支援があります。
情報保障:点字、音声読み上げソフト、拡大読書装置などの情報保障機器の貸与や購入支援
移動支援:盲導犬の訓練・貸与、白杖の購入支援、交通手段の利用支援
療養・リハビリテーション:視覚障害による機能障害の回復や維持を目的とした医療サービス
読書支援:点字図書や音声資料の貸出、録音図書の制作支援
心理支援:視覚障害による不安や悩みへのカウンセリング
支援の受け方

視覚障害者がこれらの支援を受けるためには、以下の手順が必要です。

1. 障害支援区分の認定
支援を受けるためには、まず障害支援区分の認定を受ける必要があります。障害支援区分は、個々の障害の特性や生活状況に基づいて決定され、支援の度合いを評価する基準となります。市町村の障害福祉サービス担当窓口で申請することができます。

2. サービス計画の作成
支援を受けるための個別支援計画を作成します。この計画は、利用者のニーズや目標に基づいて設計され、適切なサービスが提供されるようにします。市町村や福祉施設の専門スタッフが計画の策定を支援します。

3. 福祉サービスの申請
必要な支援を受けるためには、自治体に対して福祉サービスの申請を行います。申請には、障害者手帳や医師の診断書などの書類が必要です。申請が受理されると、サービスの提供が開始されます。

4. 定期的な見直し
支援計画は定期的に見直しが行われ、利用者の状況やニーズの変化に応じて更新されます。これにより、最適な支援が継続的に提供されることが保証されます。
情報の更新日
この情報は、2024年5月25日時点のものです。最新の制度内容や支援情報については、各自治体や福祉施設の窓口で確認することをおすすめします。
参考情報
厚生労働省:
https://www.mhlw.go.jp/content/001076188.pdf
全国視覚障害者情報センター:
https://www.jarvi.org/schools_list/
日本盲人会連合会:
http://nichimou.org/introduction/
注意事項
上記の情報は、あくまでも一般的な情報であり、個々の状況によって異なる場合があります。 支援を受けるためには、要件を満たす必要があります。詳細は、各自治体や福祉施設にお問い合わせください。

12.3 福祉制度の改善点:視覚障害者を取り巻く環境の進歩

近年、視覚障害者の地域生活支援、就労支援、緊急対応体制、重度障害者への支援拡充、支援サービスの柔軟性など、様々な分野で福祉制度の改善が進んでいます。以下、それぞれの改善点と最新情報を詳しくご紹介します。
1. 地域生活支援の強化:自立した生活への道を拓く

2024年に施行された改正障害者総合支援法により、視覚障害者の地域生活を支援する体制が大幅に充実しました。
主な改善点
共同生活援助(グループホーム)の整備拡充: 視覚障害者が地域で安心して暮らせるよう、グループホームの整備が促進されています。
基幹相談支援センターの設置: 視覚障害に関する専門的な相談や情報提供を行う基幹相談支援センターの設置が進んでいます。
市町村の努力義務明確化: 視覚障害者の地域生活支援について、市町村の努力義務が明確化されました。

情報源
厚生労働省「障害者総合支援法」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/index.html
全国共同生活援助施設協議会「共同生活援助」:
https://www.socialinclusion.saiseikai.or.jp/encyclopedia/156
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者相談支援センター」:
https://www.jeed.go.jp/

期待される効果
これらの改善により、視覚障害者が地域で自立した生活を送るための基盤が整い、安心して暮らせる環境が構築されることが期待されています。
2. 就労支援の充実:活躍の場を広げる
視覚障害者の就労支援についても、近年様々な取り組みが進められています。

主な改善点
就労アセスメントを活用した「就労選択支援」の新設: 個々の障害特性や希望に合わせた就労支援を提供する「就労選択支援」が新設されました。
短時間労働者の障害者についての特例給付金の廃止と新たな支援策の導入: 短時間労働者の障害者についての特例給付金が廃止され、新たな支援策が導入されました。

情報源 厚生労働省「障害者の雇用」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用支援」:
https://www.jeed.go.jp/

期待される効果
これらの改善により、視覚障害者の就労機会の拡大と、働く場での活躍促進が期待されています。
3. 緊急対応体制の整備:いざという時の安心を
緊急時の対応を強化するために、緊急時受入加算や緊急時対応加算が新設されました。

主な改善点
緊急時受入加算: 災害発生時などに、視覚障害者が緊急避難所等に受け入れられた際に支給される加算です。
緊急時対応加算: 夜間や早朝など、通常よりも対応が困難な時間帯に視覚障害者への支援を行った際に支給される加算です。

情報源
厚生労働省「障害福祉サービスの報酬改定について」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_446935_00001.html

期待される効果
これらの改善により、視覚障害者が緊急事態に直面した際にも、迅速かつ適切な支援を受けられる体制が強化され、安心して過ごせる環境が整うことが期待されています。
4. 重度障害者への支援拡充:一人ひとりに寄り添ったケア
具体的な支援内容

個別支援計画に基づいた支援
個々のニーズや状況に合わせた支援計画を作成し、定期的に見直しを行います。
支援計画には、支援目標、具体的な支援内容、支援方法、支援体制などが明記されます。
支援者は、支援計画に基づいて、視覚障害者が自立した生活を送れるよう支援を行います。

研修修了者による支援
強度行動障害に関する専門的な知識や技能を身につけている支援員が、支援を行います。
支援員は、視覚障害者の特性を理解し、適切なコミュニケーション方法や支援方法を用いて、支援を行います。
定期的な研修やスーパービジョンを受けることで、支援の質を向上させています。
期待される効果
個々のニーズに合わせた、より適切な支援を受けることができる
支援の質が向上し、より効果的な支援を受けることができる
視覚障害者が自立した生活を送るためのスキルを身につけることができる 情報源
厚生労働省「強度行動障害者支援ガイドライン」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28187.html
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「強度行動障害者支援情報」:
https://www.jeed.go.jp/
その他

強度行動障害は、視覚障害者にとって大きな課題となっています。これらの支援の拡充により、強度行動障害を有する視覚障害者が安心して生活を送れる環境が整い、社会参加の機会が増えることが期待されています。

最新の情報によると、強度行動障害者への支援は、全国的にまだ十分とは言えません。今後、更なる支援体制の充実と支援員の育成が課題となっています。

13. 視覚障害者を支援する法律
13.1 法律の現状
視覚障害者を支援する主要な法律は、以下の3つです。

1. 障害者総合支援法

障害者総合支援法は、視覚障害者を含むすべての障害者が、日常生活や社会生活を送るために必要な支援を受けられるようにすることを目的とした法律です。この法律では、以下のような支援が提供されます。
介護給付費: 自宅での介護生活を支援するために必要な費用の支給
訓練等給付費: 障害者自立支援センター等での訓練や就労支援プログラムの利用に必要な費用の支給
特定障害者特別給付費: 視覚障害者等に支給される特別の給付金
地域生活支援事業: 地域での自立生活を支援するための事業
自立支援医療費: 障害者が必要とする医療サービスの費用の支給
障害者総合支援法の詳細については、以下の情報源をご覧ください。
厚生労働省 障害者総合支援法:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/index.html
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者総合支援法:
https://www.jeed.go.jp/

2. 読書バリアフリー法

読書バリアフリー法は、視覚障害者を含む読書障害を持つ人々が情報にアクセスしやすくするための法律です。この法律では、以下のようなことが推進されています。
公共図書館や学校図書館における大活字本や音声図書の整備
視覚障害者向けの電子書籍の普及
視覚障害者向けの読書支援サービスの充実 読書バリアフリー法の詳細については、以下の情報源をご覧ください。
文化庁 読書バリアフリー法:
https://www.mojikatsuji.or.jp/news/2023/10/18/7397/
国立国会図書館 読書バリアフリーセンター:
https://www.ndl.go.jp/

3. 精神保健福祉法

精神保健福祉法は、精神障害を持つ人の医療や福祉サービスの提供を規定した法律です。この法律では、視覚障害を併せ持つ精神障害者に対する以下のような支援が提供されます。
精神科医療: 精神科病院や診療所での診察や治療
生活支援: 生活訓練事業所やグループホームでの生活支援
就労支援: 就労支援事業所での就労訓練や就職活動支援
精神保健福祉法の詳細については、以下の情報源をご覧ください。
厚生労働省 精神保健福祉法:
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152029_00005.html
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健福祉法:
https://www.ncnp.go.jp/
法律の主な改正点
近年、視覚障害者を支援する法律は、より自立した生活を送れるよう、以下のような改正が行われています。

1. 地域生活支援の充実
基幹相談支援センターの設置: 視覚障害者を含む障害者が、地域生活に関する相談や支援を受けられる拠点の整備
地域生活支援拠点の整備: 視覚障害者を含む障害者が、地域で生活に必要な情報やサービスにアクセスできる拠点の整備

2. 就労支援の強化
就労アセスメントの活用: 視覚障害者の能力やニーズを評価し、適切な就労支援を提供するための仕組みの導入
短時間労働者の障害者に対する特例給付金の廃止: 短時間労働者であっても、障害に応じた適切な報酬を得られるよう、新たな支援策の導入

3. 緊急対応体制の整備
緊急時受入加算: 災害等緊急時に視覚障害者を避難所等に受け入れる施設に対して支給される加算報酬
緊急時対応加算: 災害等緊急時に視覚障害者に対して必要な支援を行う事業所に対して支給される加算報酬
これらの改正により、視覚障害者が地域で自立した生活を送ったり、自身の希望に合った就労を選択したりすることがしやすくなっています。
情報の更新日 この情報は、2024年5月25日時点のものです。法制度や支援内容は、随時変更される可能性がありますので、最新の情報については、インターネットなどでご確認ください。

13.2 視覚障害者を支援する法律

法的支援の種類

視覚障害者を支援する法律は、多岐にわたっており、それぞれ異なる側面から支援を提供しています。以下に、主要な法的支援の種類と、最新の情報を織り交ぜながら詳細な内容を説明します。
1. 障害者総合支援法
障害者総合支援法は、視覚障害者を含む全ての障害者を対象とした、日常生活および社会生活を支援するための包括的な法律です。2018年の法改正により、支援内容が充実し、より個々のニーズに合わせた支援が可能になりました。
主な支援内容
介護給付費: 介護サービスの利用に係る費用の全部または一部を支給
具体的には、入浴、排せつ、食事の介助、通院介助、家事援助、外出支援などを含む
2021年の法改正により、新たに「夜間対応加算」が設けられ、夜間の介護サービスの利用が促進
訓練等給付費: 自立を目指すための訓練や就労支援を提供
具体的には、機能訓練、生活訓練、就労移行支援、情報保障訓練などを含む
2024年4月から、新たに「アートセラピー」が訓練メニューに追加
地域生活支援事業: 地域での自立生活を支援するためのサービスを提供
具体的には、移動支援、生活支援、相談支援、情報提供などを含む
2022年から、オンラインでの情報提供や相談支援が拡充
自立支援医療費: 医療費の補助を提供し、視覚障害者が必要な医療サービスを受けられるようにする
白内障手術、緑内障手術、網膜剥離手術などの費用の一部を補助
2023年4月から、新たに「視覚障害者のための遠隔診療」が保険適用

参考情報
障害者総合支援法:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/index.html
介護給付費:
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698.html
訓練等給付費: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
地域生活支援事業:
https://www.mhlw.go.jp/index.html
自立支援医療費:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.html
2. 読書バリアフリー法
読書バリアフリー法は、視覚障害者やその他の読書に困難を抱える人々が情報にアクセスしやすくするための法律です。2019年の法改正により、情報アクセスの機会がさらに広げられました。
主な支援内容
公共図書館での大活字本や音声図書の充実: 視覚障害者が利用しやすい書籍の数を増強
2021年までに、全国の公共図書館で利用できる大活字本が約30万冊、音声図書が約50万冊に増加
情報アクセスの促進: 視覚障害者が書籍や情報にアクセスするための支援サービスを提供
音声読み上げサービス、点字資料の貸出サービス、読書支援ボランティアの派遣などを実施
民間事業者への支援: 視覚障害者向けの書籍や情報の提供を促進するための支援制度を設ける
電子書籍リーダーや点字ディスプレイの購入費用助成、視覚障害者向けのコンテンツ制作支援などを実施
参考情
読書バリアフリー法:
https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_01304.html
公共図書館における読書バリアフリー:
https://www.mojikatsuji.or.jp/news/2023/10/18/7397/
情報アクセスの促進:
https://www.mojikatsuji.or.jp/news/2023/10/18/7397/
3. 精神保健福祉法

支援体制の強化
2022年の法改正により、精神保健福祉法に基づく支援体制が強化されました。具体的には、以下の取り組みが行われています。
相談支援拠点の整備: 全国各地に精神保健に関する相談支援拠点が整備されています。視覚障害者の方やその家族は、これらの拠点で、専門スタッフによる相談や情報提供を受けることができます。
相談支援拠点の数は、2022年から2024年にかけて約20%増加
オンライン相談や多言語相談など、利用しやすい体制を整備
精神保健福祉センターの連携強化: 精神保健福祉センターと他の福祉サービス機関との連携が強化されています。これにより、視覚障害者の方が、より包括的な支援を受けることができるようになっています。
2023年から、精神保健福祉センターと視覚障害者支援団体との連携協議会が全国で開催
関係機関の情報共有や共同事業の推進などに取り組む
ピアサポートの活用: 同じ悩みを持つ仲間同士が支え合うピアサポートの取り組みが推進されています。視覚障害者の方同士が交流し、情報交換や経験談を共有することで、精神的な支えを得ることができます。
2024年から、オンラインピアサポートプログラムが開始
全国各地でピアサポートグループの活動が活発化

その他
情報保障: 視覚障害者の方が必要な情報を入手できるように、情報保障サービスが提供されています。具体的には、点字資料の提供、音声読み上げサービスの提供、要約筆記サービスの提供などがあります。
2021年から、公共機関における情報保障の義務化
民間事業者への情報保障ガイドライン策定
権利擁護: 視覚障害者の方の権利が守られるように、権利擁護の取り組みが行われています。具体的には、成年後見制度や任意成年後見制度の利用促進、意思決定支援の提供などがあります。
2023年から、成年後見制度に関する情報提供や相談体制の強化
意思決定支援を行う専門スタッフの育成

参考情報
精神保健福祉法:
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152029_00005.html
相談支援拠点:
https://www.mhlw.go.jp/index.html
精神保健福祉センター:
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-08-003.html
ピアサポート:
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/docs/supportguide.pdf
情報保障: https://www.mhlw.go.jp/content/001076188.pdf
権利擁護:
https://www.mhlw.go.jp/index.html

13.3 国際的な視点からの法整備:視覚障害者支援の現状と未来

近年、グローバル化の進展に伴い、視覚障害者を取り巻く環境も大きく変化しています。各国や国際組織による多様な取り組みを通して、視覚障害者の権利擁護や生活の質向上に向けた法整備が進められています。本稿では、国際的な視点からの法整備の現状と未来について、最新の情報を踏まえながら詳細に考察していきます。

1. 国際的な取り組み
1.1 世界盲人連合(WBU)
世界盲人連合(WBU)は、1920年に設立された世界最大の視覚障害者団体です。約253万人の盲人および部分視覚障害者を代表し、190カ国以上の国および国際的な視覚障害者組織と連携して活動しています。WBUの主な活動内容は、以下の通りです。
視覚障害者の権利擁護: 差別撤廃、教育へのアクセス、就労機会の拡大などを推進
生活の質向上: リハビリテーションサービスの提供、情報アクセシビリティの向上などを支援
国際的な協力: 国際連合や世界保健機関(WHO)などの国際機関と連携し、視覚障害者に関する政策提言
啓発活動: 視覚障害に関する理解促進、差別撤廃への世論喚起

参考情報
WBU公式サイト: 
https://worldblindunion.org/
WBU年次報告書: 
https://worldblindunion.org/en/news-archive/
1.2 国際視覚障害者教育協議会(ICEVI)
国際視覚障害者教育協議会(ICEVI)は、1952年に設立された国際的な視覚障害者教育専門機関です。視覚障害者の教育へのアクセス促進と質向上を目指し、以下の活動を行っています。
教育プログラムの開発: 視覚障害児のニーズに合わせた包括的かつ質の高い教育プログラムの開発
教師研修の実施: 視覚障害児教育の専門知識を備えた教師の育成
教材の開発: 点字教材や音声教材などの開発
調査研究: 視覚障害児教育に関する調査研究の実施
国際的な情報共有: 視覚障害児教育に関する情報の収集と共有

参考情報
ICEVI公式サイト: 
https://icevi.org/
ICEVI年次報告書:  https://icevi.org/
1.3 包括教育の推進
近年、多くの国々で、視覚障害者を含む障害児のための包括教育が推進されています。包括教育とは、障害の有無にかかわらず、全ての子供が同じ教室で教育を受けることを指します。包括教育の導入により、視覚障害児は健常児との交流を通して社会性を身につけ、自立心を育むことができます。
参考情報
ユネスコ包括的教育に関する情報: 
https://www.unesco.org/en/inclusion-education
世界銀行包括教育に関する報告書: 
https://www.worldbank.org/en/topic/education/brief/inclusive-education
1.4 専門職団体の支援
視覚障害者支援の専門職団体も、国際的な視点からの法整備に貢献しています。例えば、視覚障害者教育とリハビリテーションの専門職団体(AER)は、以下の活動を行っています。
専門職の能力開発: 視覚障害者支援の専門職向け研修やワークショップの開催
情報発信: 視覚障害者支援に関する情報誌やウェブサイトの発行
政策提言: 視覚障害者支援に関する政策提言
国際的な協力: 国際的な視覚障害者支援ネットワークの構築

参考情報
AER公式サイト: 
https://www.aerbvi.org/
AER年次報告書: 
https://www.aer.ca/protecting-what-matters/reporting-on-our-progress/annual-report

2. 結論

視覚障害者を支援する国際的な法整備は、多くの国際組織や専門職団体の協力によって進められています。これらの取り組みは、視覚障害者の権利を擁護し、生活の質を向上させるために重要な役割を果たしています。今後も、国際的な支援策を理解し、積極的に活用することで、視覚障害者がより良い生活を送ることが可能となるでしょう。
5: 「目の見えない世界を理解する:視覚障害者の日常と挑戦(5)」に続く