細胞の中の世界へ!



細胞どうしが連絡を取り合い、お互いに連携する上で、シグナルと受容体が重要であることを述べて来ました。



そして今回は、いよいよ細胞内での情報伝達のお話です。



情報(シグナル)が受容体にキャッチされた後、その情報はどのようにして細胞内に伝わっていくのでしょうか。



「情報」受け取りの2大拠点


「シグナルが受容体に受け取られ、その後、細胞内に情報が伝わっていく」というのが情報伝達の流れですが、


シグナルを受け取る受容体には、主に2つの種類があります。


それが、細胞膜上の受容体細胞内の受容体


これらは、存在する場所が違うのはもちろん、受け取るシグナルの種類も違います


細胞膜上の受容体の場合、受け取るのは親水性のシグナル大型のシグナル


親水性のシグナルの場合、脂質でできた細胞膜を通過できないため、細胞膜上の受容体で受け取るしかなく、


大型のシグナルの場合は、大きすぎて細胞膜の隙間を通過できないため、同様に細胞膜上の受容体で受け取られるのです。


一方で、細胞内に存在する受容体は、反対に疎水性のシグナル小型のシグナルを受け取ります。


疎水性であれば細胞膜を通過でき、また、小型であっても細胞膜の隙間を通れるからです。


つまり、細胞膜という障壁を越えられるかどうかで、シグナルを受け取る受容体の場所が変わるんですね。


指令が複雑すぎる!



シグナルが受容体に受け取られたことで、細胞内での情報伝達が始まりますが、



細胞が情報を受け取った結果、何かしらの挙動を示すには、エフェクタータンパク質と呼ばれるものが直接関わります。



そして、このエフェクタータンパク質は、受容体が生み出す細胞内シグナルからの刺激によって働きを変えるため、



受容体がどんな種類の細胞内シグナルを作り出すか、そして、そのシグナルがエフェクタータンパク質にどんな刺激を与えるかで、細胞内の情報伝達は非常に複雑なものになるんですね。



情報がない=死



現代の社会において、情報を正しく見極められない人や、必要な情報を持っていない人は、時に危うい状況に陥りますが、



細胞にとって、情報の不足はもっと深刻な結果を生み出します。



それが「死」です。より具体的には、細胞死アポトーシス)ですね。



アポトーシスは、ヒゲダンの曲名になっていたりもしますよね。



このアポトーシスというのは、細胞が自ら死を選ぶ行為で、いわば細胞の自殺です。



必要な情報が届かないと、細胞は自殺してしまうのです。



なぜなら、細胞は何をするにしても、細胞外からの情報(シグナル)に依存しているから。



生存増殖分化など、細胞にとって必要不可欠な働きには、シグナルが関わっています。



そのシグナルを受け取れず、正常な働きが出来ない場合、個体に損失が及ぶ可能性があるため、細胞は自ら死を選ぶのです。


なんというか、細胞のとんでもない忠誠心を感じますね。