地底
「地底旅行」というSF小説があるように、地底と呼ばれる場所は、これまで多くの人々を魅了してきました。
私たちの足元の遥か下に広がる世界。
陸上の地下や、海底の地下など、私たちが普段目にすることの出来ない場所だからこそ、「未知の世界が広がり、未知の生物がいるんじゃないか?」と想像を掻き立てられるのでしょう。
実際、神話の世界では、地底といえば冥界。
死者の世界です。
しかし、この世界の地底はもちろん死者の世界などではなく、多くの生物たちにとってのハビタット(生息地)となっているのです。
このような地下の生物圏(生物が存在する領域)のことを地下生物圏と呼んでいます。
地下生物圏
私たち陸上の生物は、太陽の存在に依存して生きています。
私たちが普段口にするお肉や野菜。例えば、牛の肉を例にとるのであれば、その牛は植物を食べて育ち、その植物は太陽に依存して光合成をするのです。
すなわち、遡れば陸上の生態系は太陽に依存しています。
なので、もし宇宙から太陽が消滅するようなことがあれば、植物はおろか私たち動物も生きてはいけないでしょう。
ですが、これはあくまでも陸上の生物の話。地下生物圏であればどうでしょうか?
地下生物圏はその名の通り、地下の生物圏。当然太陽の光は届かず、酸素も満足に吸えないでしょう。
太陽に依存している私たちとは、根本的に異なる存在であるように思えます。
しかし、太陽の光が届かない地下生物圏も、間接的(もしくは直接的)に太陽の恩恵を受けているのです。
というのも、地下生物圏に暮らす生物の中には、酸素を嫌い、酸素があると死んでしまう生物もいますが、生きるのに酸素を必要とする生物がいます。
そのような生物は、酸素を吸って呼吸をし、生きるためのエネルギーを得るべく有機物の分解を行うのです。
では、その酸素はどこからやって来たのか?
その答えはもちろん光合成によるものです。
植物などが光合成をすることで発生した酸素を吸い、呼吸をしているわけです。
地下に暮らす生物とはいえ、やはり太陽への依存からは脱却できていない様子ですね。
光の届かない生物圏(生物が存在する領域)でさえも、太陽は非常に重要なファクターなのです。