AIJ投資顧問のコンサルとして、被害を拡大した東京年金経済研究所の石山勲社長に対して先月、証人喚問で質疑した。

 そこで私は、金融商品取引業を無登録で行っていた疑いを指摘した。

 その後の金融庁が石山氏に対してヒアリングを行ったところ、新たな事実が判明したという。

 一つには、複数の年金基金との間で、年金の委託運用先の評価と、委託運用先選定にかかる助言業務に関する委託契約を締結していた。

 さらには、年金基金に委託運用先候補として自社の分析により選定した個別ファンドを提示し、委託先の年金基金はその助言を踏まえて投資先を選定していた。

 いずれも、金融商品取引法が禁止する無登録での投資助言・代理業である。すでに石山氏もこれを認めたという。

 これを受け、関東財務局は同社に対して警告書を出すとともに、警察庁への情報提供を始めた。

 これで私が、証人喚問で指摘した構図が明らかになってきた。しかし2000億円の大半が溶けた事実は変わらない。厚生労働省の方針に瑕疵があったことは、事実だと思う。しかし、これを安易に税金で穴埋めするわけにはいかない。

 今後も第2、第3のAIJの存在も噂される中では、尚更だ。

 現在も、給付を減らすにしても高いハードルが設定されている。、故に基金を減らしながら、給付を減らせないという、まさに止血すら行えない現状を短期的に解消することだ必要だ。さらに中長期的には、加入企業の減少で、多重債務者のような状況に陥っている企業の痛みを軽減しなければならない。

 どこまで行っても、いかに広く痛みを分けるかがポイントとなる。

 甘い解決策はない。