大阪都構想と一概に言っても、名称を変えるか、変えないかで状況は大きく違ってくる。

 橋下市長が支持した自公の地方自治法改正案は、そもそも名称の変更を想定していない。

 東京都と同じように都区制度を導入するといっても、都は首都だけに使うべきだという議論があったり、東京都が他に都ができることを感情的に嫌うなど、余計な問題を抱えるためだ。

 だが、それ以上に問題となるのは、手続きである。

 都道府県の名称について地方自治法第3条2項は、「都道府県の名称を変更しようとするときは、法律でこれを定める」としている。

 また、憲法95条は「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」と定めている。

 つまり、大阪にのみ適用される法律が制定される場合は、大阪府民全体の住民投票が必要となるのだ。

 ちなみに自公案は、住民投票を大阪市民にだけ求めている。大阪都構想においては、大阪市が廃止される。戦後、地方公共団体が廃止される、言い換えれば、政令市が特別区に”格下げ”される重要性に鑑みてのことだ。

 さらに言えば、WTCへの府庁移転の場合は、議会において3分の2の特別決議が必要だった。一方で、それより府民への影響が大きい都区制度の導入において、議会で過半数の議決しか求めないのであれば、住民投票を経なければ、正当性の点から言って整合性が取れないだろう。

 確かに、名称変更の有無だけで、住民投票の範囲がこうも大きく変わることには違和感を感じる。

 ただ、都道府県の名称変更が、企業や行政、住民の活動に大きな事務的負担をかけるのも事実だ。

 とはいえ、市町村の名称については、「地方自治法に特別の定めのあるものを除くほか、条例で定められる」とされており、それならば、都道府県の名称も、条例で定めても問題がないような気もする。

 将来の道州制を見据えて、大阪州という名前も一部で浮上しているらしい。

 それならばいっそのこと、以前からの私の持論である兵庫・大阪先行合併を行って、第一弾の「関西州」とすればどうだろうか。この場合は、対等合併なので、通常の市町村合併と同じく住民投票すら必要なくなるのだが・・・