本日、6月18日は元ビートルズのポール・マッカートニーの誕生日です。御年81歳を迎えますがまだまだ現役で活動しているミュージシャンです。ローリング・ストーンズの新曲への参加や、ビートルズ名義の新曲も制作する事が発表されたりと今後の活躍が楽しみです。と云う事で、ポールのボーカルとベースプレイを堪能出来るシングルを御紹介いたします。

今回は1969年にリリースされたビートルズのシングル”Get Back/Don’t Let Me Down”です。1969年になりますと、ステレオの技術は大分発達しましたが、イギリスではステレオの浸透が遅かったようで、シングルでは本作までモノラル盤でのリリースでした。


UKオリジナル盤を所有しております。型番はR 5777でモノラル盤です。光沢紙タイプのスリーブも付属していますが薄手の紙が使用されているためか此のタイプは傷んでいるものばかり見掛けます。実際、僕が入手したものにも傷みが見られます。幸いな事に破れや裂けなどといった致命的なダメージはありませんでした。正式なアーティスト名義は”The Beatles with Billy Preston”となっています。ビリー・プレストンとは様々なアーティストのレコーディングに参加しているキーボーディストでビートルズの所謂ゲット・バック・セッションにも参加しています。”Get Back”の曲中では間奏部分のエレクトリックピアノ(簡単に申し上げますと、キーボードの事です)を演奏しております。


この盤はジュークボックスに対応して中央部を取り外す事が出来るプッシュアウトセンタータイプです。この頃になるとジュークボックス非対応のソリッドセンタータイプ(通常のLPのような形で中央部分は取り外す事が出来ない)も並行して作られるようになります。


レーベルには再販価格に関する表記が有りますので最初期のプレスです。69年9月以降にプレスされたレコードではこの表記が削除されますので僅か5か月間(Get Backは69年4月発売)見られた形態と云えるでしょう。マトリクスは両面1Uの初回盤です。


A面”Get Back”は実質ポールが書いた楽曲。ソウルフルなボーカルが特徴です。この曲ではジョンがリードギターを弾き、ジョージがリズムギターを弾いています。ジョンのリードギターを堪能する事が出来る数少ない曲でもあります。アルバム”Let It Be”にも同名曲が収録されていますが、其方はフィル・スペクターが編集を行なったものですのでアレンジが異なっています。シングルバージョンは曲が一旦中断した後、再び再開し、段々とフェードアウトしながらエンディングを迎えるというアレンジとなっています。このシングルバージョンはパスト・マスターズ等で聴く事が出来ますが、これらはステレオバージョンとなっていますので、モノラルバージョンを聴きたいと思われた際は当時のシングル盤を入手する必要があります。モノラルバージョンはステレオバージョンとも異なったミックスとなっており、エンディングがやや長くなっているのが特徴です。


B面”Don’t Let Me Down”は実質ジョンが書いた楽曲で、ポールの弾く正に”歌う”ようなベースが特徴的です。歌詞は後に結婚するオノ・ヨーコへ向けた内容となっています。この曲もパスト・マスターズで聴く事が出来ますが、矢張りモノラルバージョンは基本的にこのシングル盤でしか聴く事が出来ません。


“Don’t Let Me Down”のミュージック・ビデオ。ルーフトップ・コンサートの一幕です。