誕生日 | 余命3ヶ月だったバンドマン

余命3ヶ月だったバンドマン

Candy Vox Music 統括とLa'cryma Christi LEVINさんのローディー ケンツのBlog

 

大切な人と一緒に居られること程幸せなことはない

 

 

 

 

 

今日はケンツの誕生日。

「プレゼント何がいい??」

毎年頭を悩ませる。

一昨年は音楽ソフトだったし……

昨年も繰り返した同じ質問。

大抵すぐには決められず「わからん」

後日閃いた時に突如告げられる。

 

10月29日はケンツの一番好きな不二家のショートケーキと

もり一というお店のお寿司を持ち帰るのが定番だった。

 

昨年はケーキもお寿司もなしだったけれど……

 

1年前は9月に見付かった骨転移に因って、

それまで受けていたNOBLEという治療が効いていないと見なされ、

次の治療への変更が余儀なくされての入院だった。

ロンサーフという飲み薬への。

 

2011年にがんが発覚して病院に行く時に毎日手紙を書いて行った。

少しでも勇気付けたかったのと前向きに治療して欲しかった。

そのことを思い出して、しまいっぱなしの便箋を漁った。

タイミングを見計らって渡したつもりが

「要らん」「そこ置いとけ」病院で捨てられてたと思っていた。

それなのに、ケンツが居なくなって一段落ついた頃

「何が入っているのだろう?」

開けた紙袋の中にしまわれているのを偶然発見した。

嬉しかったのと、ケンツに持たせられなかったのとで涙が溢れた。

かつて書いた手紙たちはファンレターと一緒にしまわれていた。

 

 

通院していた時、ご夫婦と思われる奥さんがぬいぐるみを

抱きしめているのを化学療法前に目にしたことがあった。

ある日帰宅するとケンツがカエルのパペットを抱きしめて座っていた。

最初のうちは意地をつつかれているのだと思ったのだが、

抗がん剤後や体調が悪い日は抱きしめて寝るようになった。

安心するのかなとも思ったし、日中一人で耐えていた彼は

本当は心細かったのかもしれない。

 

「要らん」と言われる覚悟で退院に合わせて

カードとプレゼントを詰めた新しいパペットを家のベッドに置いた。

案の定「要らん」と言うケンツ。

「本当に要らないの?中見てごらん?」

そう言うと受け容れたようだった。

本当は持たせてあげたかったけれど……

 

 

今年はどうやって過ごしたらいいのか……

随分前から考えていた。

結果、こうして当日は終わる。

 

スチバーガでの治療は本人が「絶対やらん」と言っていたし

QOLを重視するならばと納得したつもりだった。

しかし、ケンツを失ってそれも正解だったのかわからない。

 

 

今日は今までで、お別れした日の次に辛い日。

 

「明日ケーキ買いに来よう!」

昨日マドレーヌを買いに行ってそう思ったのだけれども……

 

 

 

 

毎年ケンツにおめでとうメッセージありがとうございました。

 

 

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