今日は午前中に銀行に行ってきた。〇△銀行本店・・・・


銀行には
「銀行さんのОLさん」
というオーラがたくさんいる…。
昔の今も銀行さんのОL流さんは容姿が整っている。
小白川のメンチカツ屋の娘さんも容姿が良くてだからか、銀行の窓口にいたなぁ…。


かつてとあるか銀行に私とよく似ているといわれていたОLさんがいた…。T野さんという人だ。私みたいに細くて私みたいに髪が長い。
当時私はМ会館に勤めていた…。事実上の準県職員・・・そんな私に
「この人と一緒になったらどうだ・・・?」
という話が舞い込んできた。
МK沢さん・・・。県職員でまじめ一筋の大人しい人…。
一度あったけと、なんかつまらなそうな人…という印象。少なくとも女心をくらっとさせるような魅力は感じられなかった…。
とある秋も深まった頃、このМK沢さんと近場の観光地に一泊の旅行に出かけた。お互い浴場から帰ってきて浴衣姿…。てれびをつけているけど間がもたかない…
その場を持たせるためかどうか、私はМK沢さんに
「あたしを抱いてもいいよ。」
といったかどうか・・・は別として…。
その月も生理が来て、そしてその次の月も生理が来た。つまり妊娠はしていなかった・・・。ほっとした…。
妊娠していなかったんだったって・・・。

そして私はМ木沢さんを降ってしまって外国に行った。その時に世話になったのが私に似ているという噂だったT野さん・・・。T野さんにいろいろ外貨建てのことなどを世話になったけど、も最後にT野さん、私にこういったんだ。
「私もここ(銀行)辞めてどこかに行こうかな・・・ここに居れば何も変わらないから…。」

そして私は外国に行ったんだ。
思い出してみるとМ会館にいた時とМ会館を辞めて異国を一人彷徨っていたあの頃って私は何を求めていたのだろう…?
М会館の時は受付嬢をしていて、雨の日はバス、それ以外は自転車で通っていた。そしていつでも外国に一人で旅に出る事ばかりを夢見ていたし、同僚ーにもそういう話ばかりしていた。
そして一人で異国を彷徨い、時折出会う日本人の一人旅の人と話をするけど、話の内容が日本のことばかりだった。
そして帰国後、例の銀行のT野さんと山大前の東原でばったりあった。銀行員時代とは異なりジーンズ姿のT野さん・・・。
「ねぇ旅、どうだった?」
「大変だった…。」
その後何度かあってそして近場の観光地に一泊の旅をした。
二人とも浴衣姿…ひなびた宿の一室はなにか私が私が六歳まで過ごした官舎アパートの一室のような空気が漂っていた…。
「なんか懐かしいね…。」
「そうだね・・・。」
「モーツァルトのクラリネット協奏曲の第二楽章知っている?先生も好きだった・・・。」
T野さんのいう先生とは私の父あの文学者のこと・・・、
「知っている。」
「わたしね、ずっと前から香織さんに似ているっていわれていたの・・・。それがなにか嬉しくて…、香織さんね、セーラー服着て先生と一緒に銀行に来たじゃない…。」
「・・・そんなこともあったのかな…?」
「うん、夏でね、青いスカーフのセーラー服・・・。あれどこの学校?」
「О市のT女っていう女子高」
「そっか・・・髪が長くてほっそりとして目が大きくて・・・私の妹にしたいな…っと思ったの、その時…。私があなたに似ているって言われるのも、とてもうれしくて…。」
このひなびた観光地のひなびた宿は胸が熱くなるような懐かしさでいっぱいになった。
そして私はその晩、T野さんの細い腕に抱かれて夢路へと進んだ…。T野さんの柔らかい身体とぬくもりは筆舌しがたい幸福感で私を包み込んでくれた。

今思えば、私のあの一人旅は、旅から帰ってT野さんと一夜を過ごすことに意義があったのだなぁ…と思うのだ。そしてあの夜が一番の思い出になっている。それは深い深い夜だった・・・。私の心の扉は開き、六歳まで過ごした官舎アパート時代に戻ったのだから・・・。
あの晩、T野さんの子供時代の思い出話もたくさん聞いた…そんなT野さんの幼いころの話を聞くと、私の心の中の幼いころへの扉も開いていろんなことを思い出した。





さて、もし仮に私があのとき、МK沢さん子供を身籠っていたらどうなっていただろう・・・。おろす事は私にはできないと思うし、やはりМK沢さんと一緒になっていただろう・・・。