和ろうてはりますか~
余計なひと言を言ってしまわぬよう気をつけているけんすけ福のかみでござる
主人は茶の湯を催す準備のため太郎冠者に“野中の清水”を汲んでくるよう言いつけてござるが、たびたび行くことになっては迷惑と存じた太郎冠者は“鬼”が出て追いかけられたフリをして帰ってござるが、その時鬼に投げつけて壊れてしまったという秘蔵の桶を惜しがった主人が取り戻しに行くと言い出かけてござるによって、太郎冠者は鬼の面を着けて先回りし、さんざんに主人を脅し、ついでに自分への待遇改善を要求してござる。ホウホウの体で帰った主人は・・・
鬼に脅されたことを苦々しくも太郎に語る主人でござったが
あまり太郎冠者の肩を持つ鬼であったによって、鬼に親類はないか?と問うてござれば
はじめはとぼけた太郎も「従兄弟鬼、とやらハトコ鬼、とやらが清水に居ると申しまする」と応えれば
主「え~い、鬼の親類!置くことではない!あちへ失せい、あちへ失せい!」
と言うてはみたものの、「それはツッと古のことでござる」と応えた太郎に古のこととあらば了見してやろうという主人は
清水で鬼は何と言うて脅したかをいま一度言うてみさせてござれば
太郎冠者は調子に乗って語りまする
「ヤイ!おのれは憎いヤツの
七つ下がってこの所へうするは
定めて己が武辺立てであろう!!
頭から一口に!いで喰らおう~!!!
あ~っ!!!」
思わず口を押さえましてござるが、主人はどうやら鬼の声と、太郎冠者の声が一つ(同じ)であることに気づきましてござれば、いま一度「ヤイヤイ太郎冠者、なんじが清水へいたとき鬼はなんと言うた?」
さっきのいまで誤魔化すことができるとも思えませぬが、さきほどとは声色も変えて
「いで~食びょう~
と申しました」
「いで~噛も~
と申しました」
再三の誤魔化しも効かず再び鬼の脅す声をさせられた太郎冠者
「ヤイ!おのれは憎いヤツの
七つ下がってこの所へうするは
定めて己が武辺立てであろう!!
頭から一口に!いで喰らおう~!!!
ああ~っ!!! と申しました」
さて鬼が太郎冠者だと判った主人はなにとするのでござろう、このまま手打ち!は狂言ではないわけでござるによって
あと僅かで終幕ではござるが、次段へ続くことにいたしましてござる
4日後になりましてござる
わたくしの出演いたしまする狂言素人会は9月22日の土曜でござる
午前10時の開演からほどなくして一つ目の出番『千鳥』でござる
こちらでは人の好い“酒屋”(アド)をいたしまする
そして夕方4時頃の予定で二つ目の出番『舟船』がござる
こちらでは太郎冠者よりモノを知らぬ主人(アド)でござる
ちなみに朝一の謡いはわたくしの師匠の師匠茂山千作師によるもの
また最後の小舞三番はこの社中会の師匠方によるものでござる
普段の狂言会などでは観られないものでござる(#^.^#)