「誰も守ってくれない」
昨日の記事
に書いたドラマ「誰も守れない」を受けて、映画「誰も守ってくれない」
を映画館に観に行きました。君塚良一脚本・監督作品、第32回モントリオール世界映画祭にて最優秀脚本賞を受賞した作品です。ちょうどその時に滝田洋二郎監督作品「おくりびと」
がグランプリでした(「おくりびと」の記事
)。
世界が認めた脚本の練りと構成と人間描写、リハーサル無しでワンシーンずつ2台のキャメラで一気に撮影したというライブ感溢れる演出、それに応える俳優陣の緊張感みなぎる見事な演技、そして英国少年合唱団リベラ の神々しくも切ない歌声が物語に花を添えます。娯楽映画と云うより重厚なヒューマンドラマといった風格のある社会派映画に仕上がっていました。
「踊る大捜査線」シリーズの取材において10年間温めていたという君塚監督が今回描いた“加害者家族の保護”というテーマ。物語自体が圧倒的な説得力を持っていたのは、丹念な取材に基づく真実が脚本にリアルに生かされていた、そして“セミ・ドキュメンタリー”という撮影手法がそのリアリティを見事に生かし切った結果の賜物に違いありません。
一つだけ指摘するなら、私は志田未来さんの彼氏役の子が女の子だと勘違いしており、途中まで物語に同性愛的な展開すら予感してしまったのですが、あの方は男性なんですね。昨今の男子のユニセックスぶりを表現したかったのか事務所的な繋がりなのか分かりませんが、観客に要らぬ誤解を招くようなキャスティングはどうなんだろうと思ってしまいました。勘違いしたのが私だけなら撤回します。
登場人物全員が何かしらの心の傷を負っています。それはまさしく我々今を生きる者全員に共通するものです。「誰も守ってくれない」は“背筋が凍る”ような現代日本の病巣を見事に描き出した非常に優れた映画だと思います。皆さんも是非劇場で目撃して下さい。このような良質な日本映画が続々と生まれることを祈ります。
【「誰も守ってくれない」予告編】
