おじいちゃんは今、どんな星を見ていますか？
いまから30年前の五十嵐の浜で、
おじいちゃんから果てしなく広い宇宙のことや、
星の光が今の僕達の目に届くには、
何億光年の光を見ている。だから、何百年、何千年前の光で、
今は爆発して無くなっている可能性もある光なんだと、
目を輝かせて教えてくれた、あのキラキラした眼差しは
今でも脳裏に焼きついています。
そう思うと、与えられた寿命というのはとても短く、
一緒に過ごせる時間は有限であり、
そのひとときひとときに沢山のことを教えてもらった時間は、
当たり前ではなく、本当に有難いものだったのですね。
あなたは毎年私の誕生日に手紙をくれました。
宇宙や星座の話、日本語（大和詩）の由来、
沢山のメッセージの真ん中にいつもあったのは、
「正しい勉強をしなさい」ということでした。
そして、正しい勉強とは学校だけで学ぶものではなく、
社会や周りの人から学ぶものでもあり、
生活そのものが勉強の場所であると書いていましたね。
おじいちゃんの影響で星が好きになり、
おじいちゃんの影響で活字や言葉と触れ合うことが好きなり、
おじいちゃんの影響で人と触れ合うことがどれほど素晴らしいものなのかを、
成長するごとに噛みしめることができるようになりました。
今あらためて感じることは、
おじいちゃんの想いがこもった教えが、私の言葉となり、
おじいちゃんが教えてくれた価値観が私の道標になっています。
おじいちゃんの安らかな顔を見て、今さらながら気づきました。
これからゆっくり時間をかけて御礼を伝えたいと思います。
おじいちゃんは、卓球が好きで最近まで午前午後の二部練をこなし、
将棋が好きで、よく新聞欄の詰将棋と一戦交えてましたね。
歌うことが大好きで、よく居間でギターを携え
低い声色で優しく温かな歌を歌っていましたね。
苦いものは体に毒だから、あまり好んで食べるものではないよ。
運動していた人は心臓が肥大するから、大人になっても
少しずつ運動を続けなさいね。
過ちはすんなよ！
不自然なものを寄せ付けない、自然なことのみを受け入れる
人一倍の心配性。
おばあちゃんを誰よりも心配し、
余計なことすんなて！ジッとしてれて！と言って、
おばあちゃんをさりげなく気遣うおじいちゃんの優しさは
ずっと最期まで変わりませんでした。
自然体で繕わず、愛する妻と娘二人、親族、友人を気遣い心を配る姿。
私欲なく、他者に媚びず、他人と比較することもなく、
ただただ身近な平和を求め、常に正しく、正直に歩まれた背中を
心から尊敬しています。
日本人の平均寿命83.4才
日本人が自立して生きれる健康寿命は72.0才
じいちゃんの寿命80才
じいちゃんの健康寿命79.9才
日本人は不健康な期間が約11年あるこの時代に
じいちゃんは不健康な時間は1ヶ月でした。
見事な大往生だったと思います。
本当に最期まで自然体で、じいちゃんの望む生き方を家族に伝え、
大好きな自宅の居間で天国に向かっていったことも
おじいちゃんらしいなと思います。
あなたが幼き頃に命からがら満州から帰国し、
若かりし頃から、寝る間も惜しんで昼夜問わず働いてくれたおかげで、
いまの山田家と親族の笑顔が溢れています。
本当にお疲れ様でした。
最後に、私が9才の誕生日を迎えるにあたり、
あなたが勤めていた社報に投稿したコラムの一節を引用します。
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欠食時代を生きてきた私は、飽食時代に生きる小三の孫の前で
弦をはじき、うたう。
ふれあいのかけらが
人生をかえてゆく
言葉でもなく
物でもない
ひとつの出逢いから…
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おじいちゃんから受け継いだDNAは、飽食の時代に生まれた孫の私達が、
真正直な信念を持ったあなたから与えられた知識と考えを携え、
これからの世の中に貢献して参ります。
あなたの孫であることを心から誇りに思います。
いずれ、天国でもまた、祖父と孫として、
少しのビールと少しのうなぎの白焼きを食べて、
また腰を据えて語り合いましょう。
おじいちゃん、おつかれさま。
ありがとう。
平成27年12月23日
親族代表 初孫 木村大地
