このところ、私を見ればこそこそと話をしている女官たちの姿を見つける
なにかしら?
私、また、マズイことした?
回廊を歩いていると、また、そんな姿を見つけた
「ユラさん」
私の後ろを歩いているムガクシに、尋ねる
「ねえ、最近、私を見ればこそこそ話している人たちの姿を見かけるのだけれど・・・」
ユラの目が、泳ぐ
「なんでか、知ってる?」
ユラは隣にいた同じムガクシのハニョンと目配せしている
「知ってるのね?」
私は、一歩、彼女たちに近づく
「私、なにかしたかしら?」
ユラとハニョンは肘で互いを突き合っている
イライラしてきて、強めに声を上げる
「ユラさん?」
覚悟を決めたように、ユラが話しだした
「医仙さま。このような噂が立っております」
「なにかしら?」
「ウダルチテジャンが医仙に骨抜きにされたようだ。
毎晩、医仙の部屋に通っている、と・・・」
「はあ?」
私は、目を丸くする
「きっと、もうすぐ、ウダルチテジャンは王様に婚姻のお願いをするはずだ。
なんとめでたいことだ、と・・・」
私は空いた口がふさがらなかった
婚姻、ですって?
私と、チェ・ヨンが?
「・・・ちょっと待って。
婚姻、って、結婚のことよね?」
「はい、そうです。
王宮の者たちはそれがいつか、で賭けをしてまして・・・」
「私とテジャンはそんな関係じゃないのに!
いつも傍にいるあなたたちなら、わかるでしょ?」
クラクラしてきた
テジャンが好きとか、嫌いとか
ましてや結婚なんて!
そんな話、あの男としたこともない
ユラとハニョンは顔を見合わせる
「違うんですか?」
「え?」
ユラの言葉にびっくりする
「てっきり、私達もそう言う関係かと・・・」
「はあ?」
「だって、毎晩、テジャンは医仙さまのお部屋に通っているのはホントではないですか?」
「う・・・」
だって、ちょうどいい枕なんだもの・・・
ウダルチテジャンの腕を枕にして寝ているなんて。
ただ、枕になりにテジャンが通っているなんて
そんなこと、言えない
それこそ、テジャンが私の言いなりだって、言われるのがオチだわ
「毎晩、夜遅くに医仙さまのお部屋に伺って、朝早くに部屋を出られる。
私達もお二人がそのようなご関係だと思っておりました。
テジャンは気をつけていらっしゃるようですが、テジャンを見かけた者もいるらしく・・・」
ユラの言葉に、ハニョンが続ける
「私達も、何人もの方に聞かれました。医仙さま付きのムガクシなら知っているだろうと」
「もちろん、答えませんよ!噂を流しているのは私達じゃないですからね!」
二人とも真剣な顔で私を見る
「噂を流しているのがあなたたちじゃないって信じてるわ。
心配しないで。
チェさん、毎晩だから、きっとどこかで見た人もいるんだと思うわ」
人が出歩かない時間にこっそりと来て
人が起き出す前に静かに出て行く
それでも、大勢の人が働いている王宮だ
誰の目にも触れない、と言うのは無理があるのだろう
甘かった・・・
私は唇を噛む
あまりに高さがちょうど良くて
良く眠れたものだから
チェさんとの寝床のおしゃべりも楽しいし
ついつい、甘えてしまっていた
やはり、結婚前の男女が、夜、同じ部屋にいれば
みんな考えることは・・・ひとつだ
私とテジャンが、そんな仲だと思われても、当たり前だ
「・・・あの、医仙さま」
おずおずとユラが聞く
「なあに?」
「ほんとのところは、その・・・ウダルチテジャンとはどのような・・・???」
「ただのお友達です!」
私はきっぱりと言い放った