昨日に引き続き、ブログを更新しようと思います。

着替えを終え天幕を出て、三成さんに
お寺のそばに急遽作られた陣営へと案内された

三成「こちらでお待ちください。
           今、白湯をお持ちしますね」

信長「なかなか見られるようになったな」

じろりと見つめられ、天幕の外へと目を逸らすと
三成さんの配下の武将たちが
火を消し止めたらしく、煙は収まっていた

???「御館様、ご無事でしたか」

???「敵に狙われていると聞き、馳せ参じま
              したが·····慌てる必要はなかったようで
               すね」

信長「笑わせる。
           光秀、これまでに貴様が慌てたことなど
           1度たりともないだろう」

(光秀って、まさか明智光秀!?
 信長を裏切って謀反を起こした張本人の·····?)

???「信長様!  お怪我は!?」

信長「秀吉か。大事ない、賊は取り逃したがな」

秀吉「そうでしたか·····」

今度は·····豊臣秀吉!?

秀吉「·····何者だ、お前?  俺を知ってるのか」

(いけない、びっくりしてつい·····っ)

信長「その女のことは気にするな。
           愛華といって·····俺の命の恩人だ」

秀吉「·····かしこまりました」

秀吉「ーー·····おい、光秀。
          どうしてお前がここにいる」

光秀「お前の方こそどうした。
          京にいるとは聞いていないが?」

秀吉「信長様暗殺の知らせを耳にして飛んでき
           た。だが·····お前まで京へ向かったとの 
           知らせは、俺は受けていない」

光秀「何が言いたい?」

秀吉「後ろ暗いところがないと信長様に誓える 
          か?」

ふたりは静かにお互いを見据え、急に空気が張り詰める

光秀「後ろ暗いところがない人間なんて、
           この乱世にいるのか?」

秀吉「はぐらかすな。いい加減、腹の底さらせ
           万が一、信長様を手にかけようとしてた
           のがお前なら·····容赦しない」

怒りをあらわに瞳を光らせ、
豊臣秀吉が刀の柄に手をかける

その人じゃないと思います·····!

私は織田信長を·····っ
·····じゃなくて信長様を襲った人影を見ましたけど
着物の形が違ってました

(暗いし煙で顔は見えなかったけど、
 明智光秀とは別の人だ)

秀吉「口を出すな。お前の件はあとで追及する 
           何の目論みで信長様に近づいたか確かめ
           る」

信長「やめろ、秀吉
          光秀がここに来た思惑はどうであれ俺は
          無事だ」

秀吉「っ·····!  信長様、失礼しました」

秀吉さんの手は、刀の柄から即座に離れた

信長「秀吉、光秀。貴様らはしばらく黙ってい
          ろ。俺はこやつに話がある」

信長「貴様は未来から来たと抜かす大たわけで
           俺の命の恩人だ」

信長「幸いを運ぶ女に違いない。気に入った」

目を見開くと、信長様は私の腰を強引に抱き寄せて·····

信長「貴様、天下人の女になる気はないか」

すみません!転職先、決まってるので·····っ

信長「·····!」

秀吉「おい!」

はあ·····はあ·····。
ここまで離れれば大丈夫·····だよね

(·····待って、全然大丈夫じゃないかも。
 確かバッグの中に·····)

『謀反を起こし織田信長を自害に追い込んだ
   明智光秀は三日間天下を得ましたがーー』

『ーー後日、駆けつけた豊臣秀吉によって
   討伐されました』

(この本に載ってるエピソードが、
 私の知ってる歴史だ)

(織田信長が生きてて、
 明智光秀が謀反を起こしてないなら·····)

(あれ?  歴史、変わった?)

その時、リン·····と鈴の音が鳴り、
落ち葉を踏む足音が聞こえてきた

???「夜分に女子がひとり歩きとは·····どうなさ
              った?」

振り向くと、微笑みを浮かべた男性がこちらに歩み寄ってくる

顕如「私は顕如と申す旅の僧だ。
           困ったことがあるなら相談に乗ろう」

い、いえ·····気持ちだけで十分です

(なんだか、この人·····。
 本能寺で信長様を襲った人に·····
 似てる、ような·····)

息を呑んだ瞬間、彼が大またで私の方に踏み込み
肩に手を乗せた

顕如「早く家へ帰るといい、お嬢さん。
          夜の森は鬼がうろついているからな」

っ·····どうもご親切に!

恐怖がつのり、私は彼の手を逃れて、また駆け出した

愛華が走り去ったあと
ひとり残された顕如は森の奥を見つめる。
音もなく歩み寄るひとりの男の気配を感じたように

顕如「·····蘭丸。
          本能寺の手引き、見事だった。
          だが、あの女はなんだ?」

蘭丸「っ、ごめんなさい。顕如様·····!
          なんで彼女が信長様を助けたのか
          俺にもわからないんです·····」

顕如「そうか。ならば、お前はーー」

もう嫌!次々に変な男に絡まれるし、
道は整備されてないし電灯もないし·····。
夢なら覚めて!

バッグを胸に抱いて走りながら、
思わずぎゅっと目をつむる

???「おい!」

声とともに手首を誰かに掴まれて、
ぐいっと引き寄せられた

わっ·····

バランスを崩して倒れ込み、目を開けると·····

体格のいい男の人が、私の下敷きになっていた

???「痛ってー·····」

·····!すみません!今、どきま·····

???「っ·····バカ、待て!」

立ち上がった瞬間、背中から抱きしめられる。
そして、目の前が崖だったことに気がつく
バックハグ♡

あ·····ありがとうございます。
助けてくれたんですね·····

振り向くと、鼻先が触れそうなほど近くに
彼の瞳が迫っていた

???「··········!」

恥ずかしくなり急いで離れようとすると、
手首をぎゅっと掴まれる

???「待て、急に動くな。
              滑りやすくなってるから足元をちゃん
              とみろ」

すみません·····

???「っ·····別に、怒ってるわけじゃねぇ」

???「キツい言い方して悪かったな。ほら、
              こっち来い」

苦笑いして、彼は大きな手のひらを差し出した

ありがとう

(ぶっきらぼうだけど、悪い人じゃないみたい·····)

差し出された手を取り、崖のふちから離れると·····

???「んー?知らない土地にきて、
              さっそく女の子引っかけたのか、幸」

声のした方を向くと長身の男性が
にこにこ微笑みながら、森の奥から現れた

幸「勘弁してくださいよ、信玄様。
       この女、崖に飛び込もうとしてたんです」

違います!
ちょっと目をつぶって走ってただけで·····

幸「はぁ?
       なんで夜の森でそんな真似してんだよ、
       お前」

それは、現実逃避というか·····

信玄「本能寺で火の手が上がったって夜に
           女の子がひとり歩きとは·····」

信玄「物の怪のたぐいかな?にしては美人だが」

っ·····いえ、ごく普通の人間です

色香を帯びた眼差しを向けられ口ごもると、
背後から声が響いた

???「よくすらすら軽薄な口説き文句がでて
              来るものだな」

信玄「ただの本音だよ、謙信」

(『信玄』『謙信』って、まさかこの人たちも·····)

息を呑んだ時、またひとり、男の人が茂みの中から物音も立てずに姿を見せた

???「謙信様、信玄様、お待たせしました。
              本能寺の火は消し止められたようです」

(今度は忍者!?)

謙信「偵察ご苦労だった、佐助。
          信長は·····生き延びたのだな」

佐助「はい」

(この人たち、信長様と知り合いなの·····?)

信玄「相変わらず悪運の強い男だ」

幸「···············」

(何、この空気·····。
 さっきまで和気あいあいって感じだったのに。
 ここにいる人たちは信長様の敵ってこと·····?)

緊迫した空気が張り詰め、口もきけないでいると·····不意に、忍者の目が私へ向けられた

佐助「·····!  君は·····」

謙信「偶然行き会っただけの女だが·····知り合い
           か?」

佐助「·····いえ、何でもありません。
          迷い子のようですね。俺が里へ送ってい
          きます。信玄様たちは先に町へお戻りく
          ださい」

短く告げたあと、忍者は私の手をそっと掴んで歩き出す

ふたりが立ち去ったあと、幸は辺りを見渡す

信玄「どうした、幸?
          やっぱり、さっきの女の子が気になるの
          か?」

幸「違います。あいつですよ、あいつ。
       途中でふらっと居なくなって。
       どこをほっつき歩いてるんだか····· 

???「ああ、ここにいたんだ」

信玄「義元、無茶はよくないよ。
          本能寺の偵察なら佐助に任せただろう」

義元「鋭いね、信玄は。あの様子だときっと、
          絵や焼き物はもう駄目かな。
          あそこには、いい物があったんだけどね」

謙信「おい、話はそこまでだ。
          いつまでもここにいる理由はない。
           戻るぞ」

ちょ、ちょっと待ってください。
私、実は里の者じゃ·····

佐助「知ってる。俺は君をずっと待ってた」

混乱する私を森の奥へ連れ込むと、
忍者は顔を覆う装束を取り払った

佐助「俺の顔に見覚えはない?」

あ!あなたは·····石碑の前にいた大学生!?

佐助「正確には大学院生だ。
          だけど覚えてくれていて良かった。
          話が早い。」

あなたもタイムスリップしてきたの!?
でも、どうして忍者の格好なんて·····っ

佐助「順を追って説明する。
          俺の名前さ佐助と言って、君と同じ
          現代人だ。」

混乱する私に、佐助くんはこれまでの出来事を
ゆっくりと語り始めた

(目まいがしてきた·····)

つまり、あの雷が原因で時空が歪んで、
私たちはタイムスリップしちゃったってこと?

佐助「ああ。原理の説明は省くけど、大まかな 
          解釈はそれで合ってる。で、俺は君と
          一 諸 にタイムスリップして、今から四年前
          の戦国時代に飛ばされたんだ」

佐助「この四年間でわかったんだけど·····
          ここは、俺達が学校で習った戦国時代とは
          違ってる 」

驚く私に、佐助くんが説明してくれたことによるとタイムスリップした瞬間に時空が歪んで、歴史が変わったらしい

佐助くんがタイムスリップした先は、上杉謙信が倒れかけた現場で·····私が織田信長を助けたのと同じように、上杉謙信の命を救った

ーー日本史の通りなら、
その時に上杉謙信は死んでいたはずなのに

その上、同じように本来は死んでるはずの
武田信玄という武将も、この世界では
生きてるのだと佐助くんは教えてくれた

(タイムスリップに別の歴史って·····
 これじゃ、まるでSF映画だ)

佐助「俺は大学で宇宙物理学を専攻してて、
          個人的にタイムスリップ理論を研究して
           た」

佐助「ワームホール出現のパターンと条件を
          割り出すことに成功して、あの日あの場
          所で、自分の研究か立証出来ないか考え
         込んでいたんだ。」

(佐助くんは私と同じ現代人だけど、
 武将と同じレベルで変わってるな)

佐助「同じ場所に居合わせてた君も、タイムスリップしただろうと予想して探してたけど·····
俺より四年あとに飛ばされてたのは想定外だった」

夢じゃないんだよね、これ·····

佐助
「ああ、幸運にも。
  自分の目で戦国武将を見られるとは思わなかった」

え、幸運·····?

佐助
「親の影響で日本史は昔から好きなんだ。
『佐助』って名前も猿飛佐助からとったらしい」

佐助「せっかくだから今は『猿飛佐助』と名乗ってる。架空の人物だし歴史に影響しないだろうから」

でも、なんで忍者になってるの?
戦国時代で修行したってこと?

佐助「ああ。無職ではいられないから手に職をつけた。そういうわけで俺は、ある武将たちの元で働いてる」

(凄い適応能力·····)

呆れる私に、佐助くんがてを差し伸べる

佐助「君も一緒に来ればいい。
帰る方法は、必ず俺が見つける」

手を取ろうとした、次の瞬間

秀吉「愛華、どこだ?」

(この声·····秀吉さん!?)

佐助「·····」

ふと険しい表情を浮かべ、
佐助くんが闇に姿を溶け込ませ消えてしまう

(え、嘘でしょ!?
 大事な時に忍術なんて披露しないでよ·····っ)

声を上げる暇もなく、大きな馬が二頭近づいてきた

秀吉「ようやく見つけた。
訳の分からない理由で信長様の御前から
姿をくらますとは·····無礼にも程がある」

そんなこと言われても·····!
『俺の女になれ』なんて命令聞けないよ

大声で言い返した時、
もう一頭の馬の上から笑い声が聞こえてきた

???「胆の据わった女だな。
信長様に食ってかかったって話は本当らしい」

今度は誰·····?また武将なの!?

やけになって叫ぶ私に、
眼帯で右目を隠した男性が馬上から腕を伸ばす

???「その通りだか、そこじゃ話がしにくいな」

え·····?わっ!?

片腕で軽々引き上げられ、
私は彼の馬に乗せられてしまっまた
胸元に抱き寄せられ、鋭く好戦的な笑みが目の前に迫る

政宗「伊達政宗だ。覚えておけ」

秀吉「政宗は信長様と同盟を結んでる武将で、
欧州の名言、伊達家の当主だ」

紹介ありがとうございます。
でも、もう下ろしてください·····!

秀吉「信長様は先に出発なさった。
お前を連れて来いとの命令だ」

政宗「少し飛ばす。振り落とされるなよ」

え、待って、やだ!!
どこに行くつもりなの!?

抵抗も空しく馬はスピードを上げ、
夜通し休まずかけ続けた。
そしてーー