マルシン ポルシェ911 1/8 エンジン模型 | kenshayaのブログ

埼玉にマルシン工業株式会社というモデルガンメーカーがある。
 

この会社はかつて知る人ぞ知る、鋳造技術を駆使した、超精密エンジン模型を作っていた。
 

今から20年以上前、ボクが社会人になり、間もない頃、コンビニで立ち読みした1冊の雑誌(確かモノ・マガジン)のある記事に釘付けになった。
 

「卓上のフラット6」


それは73ポルシェ911カレラRSのエンジンを1/8にスケールダウンしたフルメタルキット !
フラット6エンジン内部も忠実に再現されており、ピストン、カムシャフト、バルブ、も正確に作り上げている !
しかもエアーを入れることにより駆動する !!


模型好き、車好き、ポルシェ好き、精密機械好きのボクにとって、コンビニで思わず「おお~、すげー」と声が出そうになった。


しかし、


しかしだ、


値段が、....93,800円   !!!!!!


社会人になったばかりの余裕のないボクに、この金額を模型に使う勇気はさすがに無かった。
気になりつつも、コンビニを後にしたのだった。


それから数年が経ち、生活に少し余裕が出てきた頃、この模型のことを再び思い出した。
しかしすでに生産中止しており、また値段が値段だけに、そんじょそこらの模型店で売っている筈もなかった。


ちょうどその頃、インターネット検索サイトのヤフーにより、ネットを使ったオークションが始まった。
ボクはかなり早い時期に会員になり、最初に中古のノートパソコンを買った。
これはIBM ThinkPad 380Eだった。 Pentium 150MHz, DSTN液晶, 32Mメモリという、今から考えると信じられない低,スペックだったが、中古で35,000円と、結構な値段だった。


話が逸れたが、ヤフオクでもしかすると昔欲しかったマルシン ポルシェエンジン模型があるのでは、と思い、いろいろ探してみたところ、ついに出品されているのを見つけた。

当時の値段が高かった分、出品価格も高く、また狙っている人も多いのか、結構な高値となったが、なんとか78,000円で落札した。


こいつがそれだ。

模型はもちろんのこと素晴らしい出来であったが、箱にも凝っており、合成木材でできた立派な箱に、誇らしげにエンブレムとロック機構までもが付いている。

模型は箱の蓋側と、本体側には3重構造の重箱のような構造で、主要な部品は一つづつスポンジ に埋め込まれていて、実にギミックな構造である。

部品は当時マルシン工業が会社の技術を試すべく、社長自ら陣頭をとり、3年の年月をかけて開発されたというだけあり、このエンジンフィンなどの作りこみは本当に見事である。

総パーツ数は500点余りにもなり、組み立てはさぞ大変であろうが、組み立て説明書がまたいい。 当時はCADなど普及しておらず、すべて手描きで丁寧に書かれており、実に味がある。
この模型の開発に携わったマルシン工業の方には本当に敬服する。

 

その後何年かして、もう一つヤフーオークションで落札した。(笑)
1つは組み立てて完成品とし、もうひとつはキットのまま保管したいと思ったからだ。

初期型と比べ、箱の材質と部品を収めるスポンジのレイアウトが変わったが、中身は全く変わりない。

このモデルは海外にも輸出されていたようで、海外では箱がプラスチックでできた廉価版があったようだ。 何度かインターネットで見たのだが、今なぜか見つからない。 日本でこの廉価版が売られていたのかわからない。


また、完成モデルが158,000円で売られていた。
ボクは組み立てるのが至福の時間だと思うのだが、確かに500点のパーツを組み上げるには相当の技術と覚悟(と時間)がないと辛いものがあるだろう。
また、単に組み上げるのでは簡単に動いてくれず、部品のすり合わせを行う必要があるとのことだ。 綺麗に組み立てるにはホワイトメタルを磨き、更に酸化しないようにクリアを吹いておく必要がある。完成までに果たして完成にどのくらいの時間を要するのだろうか。
そういう人のためにプロが組み上げた完成品というのもありだったのだろう。


そのほか、別売なのか、ピストンやタペットの動作を見ることができるカットモデルも存在したようだが、詳しくはわからない。 どなたかご存知だったらご教示いただければと思う。


今となってはずいぶん市場価格が上がり、年に1~2度くらいヤフオクに出品される本モデルは30万前後の落札価格となっている。


そんなわけで、2つキットがあるのに組み立てる踏ん切りがつかず、現在に至っている。
定年したらじっくり組み立てるか・・・でも目も悪くなるだろうから無理か・・・などと考えつつ...

 

マルシン工業はエンジンシリーズとして、このポルシェの他、ハーレーダビッドソンのVツインエンジンのメタルモデルも存在した。
こちらもヤフーオークションで入手しようと思っていたが、機会を逃しているうちに市場価格がずいぶん上がってしまった。


マルシン工業はホームページを見ると今でもモデルガンを作っているようだが、エンジン模型はハーレーを最後に無いようだ。

モデルガンがどのくらい市場があるのかわからないが、また同社にはエンジン模型にもチャレンジしてほしいと願う。 部品点数の多さから採算を取るのが難しいのであろうが。