ヒロシも淳之介を健太と同じように見ていたようだった。
健太はヒロシの話を聞いて、あらためて思った。
〝淳之介のように女に慣れてる奴でも、失敗する時ってあるんだなぁ。そうか。淳之介も言ったか。ずいぶん悩んだろうな〟
「で、結論はでたのか?」
「一週間考えたよ。淳之介や純子と話したりしてな。淳之介も仕事探すっていうし、本人たちが産んで育てるっていうんだから許すしかないだろう。純子が母親とは、信じられんよ」
「自分の妹はまさかって気持はあるだろうけど、人生ってそんなもんかもしれん。とくに今、俺なんかそう思う」
「それはわかる。健太も沙也夏さんとすごい展開になってるからな。今年はお互いに忘れられない年になりそうだ。俺もひょっとすると、ひょっとするかも・・・」
「なにっ?ヒロシもか?」
「まだ分からないけど。あ、すまんな。沙也夏さんが来てるときに。とりあえず報告まで。詳しいことはまた連絡する。じゃ」
健太は受話器を置くと、すこし淋しい気がした。
〝結婚・・・たしかに結婚はするべきだろうけど、それに伴って好きなことはやれなくなる。バンドもしばらく休業だろう。そのまま解散ってこともありうるかも。それも仕方がないことか〟
再び電話のベルが鳴った。受話器を取ると女の声がした。
兄の次は妹だ。
「もしもし、健太?」
「ああ。純ちゃんか」
「今いい?沙也夏さんいるの?」
健太は兄貴と同じこと言いやがると思って苦笑した。
「いるけどいない」
「何それ?」
「風呂だ」
「あ、ごめん。今からいいとこって時に」
「やっぱ兄弟だな。ヒロシもさっき同じこと言ってた」
「電話あったのね。じゃ知ってるんだ」
「結論はね。結婚するんだろ」
「・・・うん」