客席からは先程にも増して、惜しみない拍手がどよめいた。
健太はミネラルウォーターを飲んだ。たまらないほど、おいしく感じた。


「ありがとう。今日はほんとうに気持いい汗をかかせてもらいました。これもみなさんのおかげです。ありがとうございました」
 健太は深々と頭を下げた。客席からは拍手が鳴り響く。
「こうやってみなさんの顔を見ていると、顔見知りの人や初めて見る人な色々ですが、もうなんか友達のような感じです。セブンカラーズはこれからもどんどんライブをやるつもりです。ライブを通じて、昨日まで知らなかった同士が友達になってくれたら最高だなって思います。では、そんな願いをこめて最後の曲を聞いてください。〝フレンズ〟」


 電話のベルが鳴る。客席はちょっと驚いた様子だ。実はこれ、純子がシンセで作った効果音だ。けっこう苦労したらしい。
 そして、再び圭子のエレクトリック・ピアノが鳴り響く。
この曲はミディアム調で、徐々に盛り上がっていく感じだ。
健太はめずらしく、客席を見て歌い始めた。

〝ハロー、オールド・フレンド。元気かい。
何年ぶりだろう、こうやって電話するのは。電話の向こうのおまえは眠そうな声だ。その眠そうな声が驚きに変わり、あの頃のふたりが鮮やかに蘇る。俺もおまえもバイク好きで、ツーリングによく行ったけ。何人、女をナンパしたとか、たわいもないことを競いあってた。

だけど、互いに目指す夢は違ってた。俺はアメリカに住むことで、おまえは好きな女と暮らすことだった。風のたよりに聞いたけど、おまえはあの頃夢中だった女とは別れたらしいが、また別の暮らしを見つけたんだってな。幸せで何よりだ。俺は今だにひとりだけど、夢は実現したよ。こうして電話をしている窓の向こうには星条旗がはためいている。またいつかあの頃に戻って、ツーリングに行きたいな。でもそれはまだまだ先のことになりそうだ。俺たちの人生はまだ通過点だから。それまでお互いに元気でいようぜ。じゃあな〝
 ラストナンバーのために作った詞なので、長めだった。この曲もソロらしいソロはなく、エレクトリック・ピアノとギターのからみがいい味をだしていた。