沙也夏の予感は当たった。

二年目のシーズン、チームは序盤戦は 欠場し、第六戦から出場した。H社のエンジンがきたのが二月で、それからのマシンの改良でとても間に合うはずがなかった。だが、それでも第六戦から出場できたのは、スタッフ全員の協力があったためだろう。とくに、ミッシェルが連れてきたカー・デザイナーの力が大きかった。


 さすがに、ミッシェルとエディの移籍はモーター・スポーツ関係者を驚かせ、一番の話題になった。また、ライバル・チームも前年度とドライバーをがらりと変えて、活気が溢れていた。
 第六戦から出走はしたが、まだまだエンジンの調子もイマイチで十位どまりだった。それでも、ミッシェルやエディが光太郎たちメカニックと一緒になって、マシンをエンジンに合わせて、改良を続けた。

最初のうちはエディとトニーは仲が悪かったが、そこはレース好きのふたりだ。沙也夏の仲介もあって、いつのまにかいいコンビになっていた。


 そして、後半戦の残り五戦でH社のエンジンはそのパワーを見せつけた。残り五戦、ミッシェルはすべて優勝、エディも五位内に入る健闘を見せた。エディは相変わらずハードな走りをしたが、少しずつ変化が見え始めていた。エンジンやタイヤの調子を見ながら走るようになっていたのだ。エディにも、冷静さが身についてきていた。


 沙也夏はあのクリスマス・イブ以来、エディとサーキット以外の所でも話すようになっていた。とくに二年目のオフの時、エディとドライブした時のことは忘れられない思い出になった。