というのも、これは私の習慣であって、そうしているところへ、私の目と鼻の先を、友人が、こちらは缶ビールを片手に、ってのはこの人は随分と酒好きな人であるとの噂であって、
何故、噂かと言うと、自分は彼と知り合ってまだ一年程しか経っていず、また、顔を合わせたのも数回であって、その人となりといったものを充分に理解しているとは言えず、人に又聞きしたところそのように推測したのだが、
中には、斯様な人を指して図々しく友達などと紹介するのは如何なものかと、眉をひそめる方もおられるかも知らんが、その数回というのがこれ、とても親切をして頂いたこともあって、その気持ちに応える形で、と言ってはあまりに偉そうではあるけれども、私は彼を友人であると判断、認識している訳であるが、
その友人であるところの彼が、もう片方の手に持ったスマートフォンの液晶画面から発せられる光に照らされた顔面に、無表情な、少しく呆けたような趣きの面を浮かべて、まったく私に気付くことなくその場を通り過ぎてしまったのである
というのはこれ、以前当ブログでも紹介した通り、私のヘアースタイルのトランスフォームに起因すると思われるのだが、だって、彼の知る私というのは金髪、オカッパ、前髪極短という極めて珍妙、愚劣な痴れ者のはずであって、そうでない今の私は彼の中では最早私ではなく、私とは認識できないのだろうと自ら判断を下さざるを得ない
そして、彼のような友人が、と言っても、くどいようだが、私が友人であると認識しているに過ぎないのかもしれぬが、私の周りには相当数居るのではないかと怪しんだ
そう考えると、前述した三重苦というのは私が私である証明であったとも言え、それはある種のアイデンティティとも呼べて、かの邪智暴虐の三重苦を克服し、これからは、うふふ、快活快活、などとほくそ笑んでいた私は、すっかりアイデンティティを失してしまっていたことになるのである
それは最早、交差点で私が立ってぇいてぇぇもぉぉ、もう今は見つけられないかもしぃぃれぇなぁいぃ、といったaikoのアンドロメダを意味するのであって、少しく切ない感傷に浸ってしまいたくもなるのだが、
だったら貴君の方から友人に声を掛ければよかったではないかと、御尤もな叱責を加える賢人も居ろうかとは思うが、よくよく思い返してみると、自分が何故斯様に奇妙なヘアースタイルをかましていたかと言うと、己の人見知り、人恐れ、人恋しによるのである
つまり、斯様に奇妙奇天烈なヘアースタイルをしておれば、自ら相手に印象づけるべく何か努力をせんでも、えへらえへらとしているだけで、相手は私の顔を、というか髪型を記憶してくれるのであり、怠惰、怠慢にまみれた私にとっては、表面的ではあるかもしらんが、世に言う人間関係を円滑に保つ上で非常に好都合であったからである
で、なんだっけ、そう、友達がね、僕に気付かないで目の前をスルーしちゃったのね、んでね、僕はそれがショックだったかっていうと、まぁ、そこまでじゃなくってね、ってか僕の髪型がどうこうじゃなくってね、その友達はスマホを凝視してた訳、うん、だからだと思うのね、気付かなかったのは
御託はいらね、きっかけをください
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