再婚するためには、女性は、妊娠していないか確認のため、半年間の待機期間がある。

でも、入籍するまでに、2ヶ月しかない。

 

妊娠していないことを証明出来れば、この待機期間が免除となる。

 

リロは、まずは、産婦人科を探して、妊婦していないことの証明書類を書いてもらわなければならない。

 

産婦人科は、女性にとって、なかなか敷居の高いところだ。

まして、今回のような目的で、受診する人は、あまりいないだろう。

 

昔、不妊治療をしていたこともあり、リロは、特に、産婦人科にいい思い出がなかった。

 

あまり大きくない開業医の産婦人科を探して、まずは、ドアを開けたリロだった。

 

古いその病院は、活気がなく、ドアも待合室の床も、キィキィと音を立てた。

 

おそるおそる、受付で、来院の目的を言ったが、

ちょっとお待ちくださいと、怪訝な顔をされた。

 

健康保険証も、離婚前の名前になっていたし、色々と話が面倒くさいことになっていた。

 

奥に入って行った受付の人が、でっぷりと貫禄のある看護師長らしき人を連れてきた。

 

また、最初から、話をしなくてはならなかった。

再婚をするために、妊娠していない証明書を書いてほしいと。

 

役所でその書類をもらう時も、何度も何度も、その話をしてやっともらったのだった。

 

きっと、病院でも、すんなり行くとは思えなかったが、案の定、なかなか話を受けて貰えなかった。

 

また、その看護師長が、奥に引っ込み、再び戻ってきて、とりあえず、院長先生が、お話を聞きますと、診察室に通された。

 

頑固そうな白髪頭の院長が、古めかしいドアを開けると、座っていた。

また、一から話をしたが、なかなか、その書類を書くとは、言ってくれなかったが、とりあえず、妊娠しているかどうかの検査はやりますか?と、紙コップを渡された。

 

結果が、出るまで、また、待合室で待っていると、

再び、診察室に呼ばれた。

 

「たしかに、いまは、妊娠反応は、出ていませんがね、あなたが、昨夜、何をしていたか、私にはわかりませんから、今、絶対妊娠していないとは、証明できませんよね。」と、意地悪そうに言った。

 

そのドクハラ的な発言に、頭を下げてまで、頼む気にならず、リロは、

「もう、いいです。」と、席を立った。

 

すると、医院長は、

「まあまあ、落ち着きなさいよ。」

と、メガネを少し持ち上げて、私の依頼した書類をやっと、真剣に見てくれた。

 

「ようは、7月の離婚した日までに、妊娠していなかった事を証明すればいいですね。」と、冷たい目で言った。

 

やっと、わかってくれたと、リロは

 

「はい、そうです。書類にサインお願い出来ますか?」

 

「はいはい、また、待合室で待ってて。」

 

どうやら、書いてくれるようだ。

 

嫌な思いはしたが、書類を書いて貰えれば、これで、再婚ができる。

 

やっとほっとした。

 

自費で、お金を払って、書類を受け取り、外に出た。最後まで、好奇の視線を感じて、居心地は悪かったが、これでケンと9月の記念日に入籍できる。

急いで、ケンに報告をして、家に向かった。

 

後日談になるが、この産婦人科は、1年後には、コンビニに、なっていた。