いよいよ、ケンの最後の調停日がやってきた。

 

今日で、とうとうナオミとの結婚生活に終止符が打てると思うとケンは、いつもより軽い足取りで、家庭裁判所に向かった。

最寄りの駅まで、リロも来ていて、駅前のカフェで待つことにした。

 

2回の調停、ここまで、約4年間かかった。

 1回目は、円満調停という名で、円満に戻るためのもので、ナオミが立てたもの。

結局、ケンにとっては、婚姻費用を取られることが決まっただけだった。

2回目は、ケンが立てた離婚のための調停。

長かったような、必死だったので、あっという間だったような?そんなことを思い巡らすうちに、もう見慣れた裁判所の入り口についた。

担当してくれた原口弁護士は、すでに来ていた。

「やっと、この日が来ましたね。」

原口弁護士は、明るい笑顔で、待合室のソファから立ち上がって、言った。

「色々ありがとうございました」

ケンも明るい笑顔で、挨拶をした。

まだ、お礼を言うのは、早いとも思ったが、そして、ここまで来るまでの日々に、なかなか進まない時もあり、不満があったこともあったが、全て吹き飛ぶくらい、晴れやかな気持ちになっていた。

 

二階のいつもの部屋に入ると、いつもの頑固そうな典型的な年配の男性と清楚な感じの中年の女性調停員が座っていた。

 

「今日は、最後の調停ですので、おふたりで同席してもらって、進めたいのですが、いかがですか?」と言われた。

 

久しぶりにナオミに会うことになるとは、思ってもいなかったが、ケンの方は依存は、なかったので、承諾した。

 

しかし、ナオミの方が拒否をしたらしく、結局いつもように、別々に進めることになった。

 

 

財産分与も、慰謝料も、決着はついていたし、子供もいなかったので、親権の問題もなく、今日は、実質的には、離婚の書類にサインをするだけだった。

 

この書類にサインをすることで、今日の日付で、離婚は、正式に決定するわけだが、役所に提出する離婚届けは、女性側が提出するものらしい。

女性の方には、離婚後の苗字のことや、戻る戸籍の事があるかららしい。

 

ケンとしては、最後の届けをナオミに託する事が、少し不安だったが、離婚は、成立するのだから従うより仕方なかった。

 

名前をサインする時、長かった4年間を思い出して、色々な感情が込み上げては来たが、早く、リロに報告して、彼女の笑顔が見たいと思った。

 

全てが終わって、ケンは、立ち上がり、調停員、原口弁護士に、はっきりとした口調で、

「ありがとうございました」と、深々と頭を下げた。

 

あとは、リロの元に、走るだけだった。