次の週末、今度は、ケンの離婚のために、新井弁護士から、紹介された弁護士事務所に、行くことになった。
今度は、わりと大きな弁護士事務所だったが、紹介された、新井弁護士の後輩の弁護士は、その中でも、一番若い、経験の浅そうな感じだった。
原口 裕太と、名乗ったその弁護士は、リロの目から見ても、明らかに、頼りにならなそうな、経験不足のように見えた。
話の進め方も、ケンの方が、主導権を握っているように、見えた。
リロは、黙って見ているしかなかったが、出来ることなら、新井弁護士に、ケンの離婚問題を依頼すればよかったと、少し後悔していた。
リロに送られてきた書類に、2週間以内に慰謝料を振り込むように、書いてあったので、焦ってしまって、まず、そちらを優先してしまったし、利益相反なんて言葉も知らなかった。
そんなことを考えている間に、ケンと原口弁護士の話は、進み、とりあえず、リロに、書類を送ってきた、中田弁護士に、コンタクトを取り、ケンの離婚問題について、
話し合いを申し込む方向で、話は決まった。
思えば、この3年間、二人の愛と覚悟は、固まり、生活の基盤も、だいぶ落ち着いてきた。正式に籍は、入れられなくても、このまま、平和で幸せな日々が続けばいいかな?とも、思い始めていたが、今回のナオミの行動で、むしろ、離婚への拍車がかかった。
ケンが、3年前、家を飛び出したときも、
ナオミが、リロの職場に押しかけてきたことがきっかけだった。
ナオミは、ケンを取り戻そうと、すればするほど、リロとケンの絆を強くする、方向になっていっている。
ナオミの行動は、いつも、裏目に出る結果となっている。
リロが、また、そんなことに思いをはせていると、それでは、よろしくお願いします。と、ケンが立って頭を下げていた。
リロも、慌てて立って、頭を下げた。
弁護士事務所を出たケンは、リロの手をぎゅっと握り、
「さぁ、これから、いよいよ戦いの始まりだよ、絶対に、ナオミと離婚して、本当の意味でリロを幸せにするから。」
ケンが力強く言った。
リロの目は、潤んでいた。