2022年7月24日

 

安部元首相を国葬に付すことに反対する声明

 

原発・自然エネルギーをすすめる苫小牧の会

会長 浦田 操

 

7月8日の、参院選の応援演説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相への銃撃は、銃規制の厳しい日本で起きた暗殺事件として日本国内は勿論、世界を震撼させる衝撃的事件であった。

 

岸田内閣は事件直後の11日の持ち回り閣議で、元首相に対して従一位と日本の最高勲章に当たる大勲位菊花章頸飾を贈ることを決め、さらに22日の閣議では、元首相の国葬を9月27日に日本武道館で行うことを決定した。

 

しかし、既に様々な立場から国葬に反対する表明等が行われ、中には予算執行の差し止め仮処分を東京地裁に申し立てている市民団体まである。

 

本会も、「脱原発・自然エネルギーをすすめる」運動をしている一市民団体として、以下の理由で国葬を取りやめるよう政府に強く求めるものである。

 

元首相は、2014年及び2018年の「エネルギー基本計画」において、原発推進・再稼働を主導した。これは当然、本会の立場と相容れない。

 

のみならず、秘密保護法をはじめとする非民主的な弾圧的法律を次々に強行成立させた。

 

取分け、2015年に強行した「平和安全法制(安保法制)」は、それまで歴代自民党政権も否定し、かつ国民的合意でもあった

「集団的自衛権の」不存在を捻じ曲げてこれを認定して成立させるという、禁じ手を用いた違憲立法であった。

 

即ち、これがために日本は米国の惹き起こす戦争に自動的に巻き込まれ、場合によっては専ら「専守防衛」を任務とすることで憲法との折り合いをつけてきた自衛隊が、第三国に対する先制攻撃をかける可能性をもつことになったのである。

 

ロシア・ウクライナ戦争では、プーチンは核の使用を示唆し、原発(敷地内)への攻撃を行った。

 

これは、国内に多数の原発を抱える日本が、いざ戦争になったら原発が攻撃され、壊滅的被害を被る可能性があることを示した。

 

原発への攻撃はジュネーブ条約で禁止されてはいるが、極めて危険な状況に日本を引きずり込んだ張本人が安部元首相である。

 

また、元首相は「核の共有」論を主張し、勿論これ自体は噴飯・荒唐無稽なものであるが、唯一の被爆国の元首相とは思えぬ暴論を展開した。

 

「核の共有」とは、NATO加盟国の中で行われている、自国の核兵器を持たない加盟国が計画的に関与することであり、特に核兵器が使用される場合その国の軍隊が核兵器の運搬に関わるのである。

 

従って、もし「核の共有」をした場合、有事には日本の自衛隊がどこかの国に核兵器を空から落としたり、その国に向かって発射したりすることもあり得る極めて危険な思想なのである。

 

元首相に限らず、そもそも人を銃撃し殺傷に至らしめることなどあってはならないことである。その点に関してはお悔やみ申し上げる。

 

だが、どのように弔意を示すかは個人の問題である。

 

国葬は、国民の大切な金を使い、国民こぞって弔意を強制されかねないし、その手続き上の法的根拠も存在しない。

 

だが、政府は国会審議すら拒否している。

 

本会は、安部元首相の原発や核に対する認識が国民を危機的状況に追い込みかねないほど危険なものであったことに鑑み、元首相を国葬に付すべきでないということを強く主張し、声明とするものである。

 

 

以上