ブログご訪問ありがとうございます。
今の日本のマスメディアの多くは権力側やビッグスポンサー側に属した腐敗組織のように感じています。311以降、国民目線で論じるメディアを応援したいと思います。
今回は最近出版された『原発ホワイトアウト(講談社)』について述べます。
<原発ホワイトアウト(講談社):3人の書評より>
(書籍概要)
キャリア官僚による、リアル告発ノベル! 『三本の矢』を超える問題作、現る!!
再稼働が着々と進む原発……しかし日本の原発には、国民が知らされていない致命的な欠陥があった!
この事実を知らせようと動き始めた著者に迫り来る、尾行、嫌がらせ、脅迫……包囲網をかいくぐって国民に原発の危険性を知らせるには、ノンフィクション・ノベルを書くしかなかった!
(書評その1:乃木坂駅46番出口さん)
朝日新聞の広告を見てアマゾンで購入し、通勤時間の2日で読み終わりました。
結論から言うと、今まで読んだ小説の中で(大して読んでいませんが・・・)、断トツ素晴らしい小説でした。
登場人物は、実在しない名前が使用されていますが、読者なりに実在する人物を推測できます。
例えば、
原発の再稼働に反対している新崎県知事 伊豆田清彦→新潟県知事 泉田裕彦氏
保守党で原発反対の一匹狼議員 山野一郎→自民党 衆議院議員 河野太郎氏
脱原発俳優 参議院議員 山下次郎→参議院議員 山本太郎氏
反原発運動を支援している海土弁護士→弁護士 海渡雄一氏
など
そのため、現実に存在する人物を想像しながら読み進めることができました。
著者は霞が関の官庁に勤務する現役キャリア官僚とのことですが、経済産業省の相当官邸に近い立場の方ではないかと推測されます。
日本の現状に憂い、小説という合法的な形で、官邸、自民党、経産省、電力会社等々を告発されたのだと思います。
この小説のテレビドラマ化、映画化を是非、実現して欲しいです。そうすることで、広く日本人に警告をすることができます。
フクシマの悲劇を二度繰り返す喜劇をしないために、テレビドラマ化、映画化の実現を心よりお願い致します。
(書評その2:bilderberg54さん)
福島原発事故のあと原子力政策を論じた本は何冊もでている。その多くが原子力村の人々が書いた再稼働推進のポジショントーク本か、反原発系の人が書いた感情的に放射能の脅威を論じる本であった。
本書は小説というスタイルをとることで様々な立場、ポジションの登場人物が自らの業界の利益を語る。電事連をモデルにした組織や自民党・民主党をモデルにした政党、佐藤元福島県知事のように国策捜査の毒牙にかかる原発立地県の改革派知事も登場する。様々な業界の「立場」が登場人物のセリフとして語られる。どの立場にもその立場なりの正義は存在する。
この作品は小説という体裁をとっているが、現在の福島原発事故後の日本が抱えている様々な原子力をめぐる問題をわかりやすくまとめてある。原子力問題は放射能問題というよりは、国の統治のあり方そのものを浮き彫りにする問題であることがよく分かる
。この本を読んだあとサイレントマジョリティの有権者は「原発再稼働はまだ時期尚早」と思うに違いない。客観的な情報の裏付けがあるとろこにこの本の価値がある。
著者の若杉氏は現役キャリア官僚のようだが、素性は一切書かれていない。本書の中でもマスコミに協力して内部情報をリークする善良な官僚が出てくるが、官僚というのは守秘義務を負うから、実名ではできないのだろう。
タイトルの「原発ホワイトアウト」。この意味は最後になって明かされる。ブラックアウトではないところに注目してほしい。
この本を読むことで、多くの読者が原子力問題を一歩立ち止まって考えることになれば、非常に良いことでしょう。「再稼働反対」だけを唱えるのではなく、国民が自分の頭で考えて一歩を踏み出さないと、また福島原発事故のような事故は必ず起きる。
原発政策は国家の最高機密であるという問題から本書は内部告発や機密保全法をめぐる問題にまで踏み込んでいる。
東大法学部卒の現役官僚の作品とのことだが、作者は複数かもしれない。そう思わせられるくらい、多方面にわたる裏話が真実味を持って語られている。原発再稼動に反対の方へ~もしデモに参加する意向があるなら、その前にこの本を読んでください。何が起こるのか?原発再稼動賛成の方へ~やはりこの本を読んでください。誰のための再稼動か?じっくり考えてください。当初の再稼動のロジック=電力が足らない=はいつの間にか消えましたね・・そして・・?
同じ東大卒でも官庁による格差、果ては四谷大塚(言わずと知れた中学受験の予備校)時代までネタにしながら、政界、官界、電力業界の力関係と利害関係を、登場人物の的確なプロファイリングにより炙り出しながら日本の権力構造をわかりやすく喝破している。個別のストーリーも、よくある二流ジャーナリストによる醜聞集のような物語とは一線を画する、科学的知識と数値データに基づく迫真の内容であり、特に最後の「ホワイトアウト」の場面は秀逸。日本の原発ムラが、フクシマ以降も何も反省もなく変わっていないこと、そこに群がる政治家の媚態、検察、警察権力の実態、お寒い原発施設防衛の描写が生々しい。あまりに生々しいので逆に絶望的な感覚にも襲われるが、であるが故に、大きな問題提起の書として、できるだけ多くの読者に読まれるべき作品と思う。原発が抱える多様な問題がよくわかる教科書代わりの作品だ。
(終わり)
今朝これらの方々の書評を読み書店に即予約注文しました。今夜からが楽しみです。
この勇気ある書籍を執筆された著者、そしてこの書物を出版するにあたりご尽力された関係者の皆様にお礼申し上げます。
最後までお読み頂きありがとうございました。