今日、
空へ帰る天使を見送って来た

とても綺麗だった
この上もなく美しく
あきれるくらいに輝いていた

見上げた空は
目眩がするくらい青くて
その人がいなくなった後に
むじゃきな夢が残されていた

その夢を支えていかなきゃ、って
いまにも折れそうな心を抱えながら
いまにも溢れそうな涙を堪えながら
必死になって立っている彼がいて
やっとの思いで絞りだした声は
助けて、って

なにもできないけど
なにかしてあげなきゃ
そう思った

そして気づいたんだ
はかない、って
消えてなくなりやすい、ってことじゃなくて
人がいる限り夢はなくならない
そういうことなんじゃないか、って

いや
ぼくがいいたいのは
そんなに耳障りのいいことじゃないんだ
絶望の淵でこそ
希望の光が見える、って?
だから立っていろ、って?
そんなのってありか?
ぼくらは神さまじゃない
ぼくらは神さまじゃないんだ

辞書はいつでも無表情だけど
聖書は時に優しくほほえみかけ
時に怖ろしいほど冷たく突き放す

鐘の音が響き渡り
見送りが終わると
誰かが置き忘れた
その言葉を記した白いページが
はらはらと風にめくられていった
そのために集まった
ぼくの知らない
たくさんの人たちが去っていった
まるで一本の樹に咲いては散る
はなびらのように

それでも
もうすぐまた春が来る
それでも
もうすぐまた春は来るんだ

Kenn Kato

追伸、
おそれいりますがこの散文詩に関するコメントはご遠慮くださるようお願いします。